1‐04‐2 知らないと?
「ところでナギサ君。君はいくつだね」
「え?」
いくつかのやり取りをしたあと、いきなり年齢を問われた。そもそもナギサ自身が今の自分がどういう状態なのか知りたいと思っている現状で、年齢なんて答えられるはずもない。
黙り込んだナギサを見て何を思ったのか、ウォーリはナギサの前に腰を落とし、その手をとった。
「今から君の鑑定をおこなわさせてもらう」
有無を言わせない口調で言い切られ、よくわからないままナギサが承諾すると、ウォーリは手をとったまま何やら呟いた。
「......」
静止していたウォーリがわずかに顔をあげる。その目が若干見開いているような気がするが、静かにナギサを見つめた後、何故か深いため息をついた。
「10歳か」
ウォーリはそれだけを口にすると立ち上がり、部屋の外で待つ神殿騎士を呼び、ナギサを部屋まで送るよう言いつけた。
「神官長様! あの本でまったくわからないことがあるのですが」
「役職に様はいらぬ。神官長でよい。で、何かね。手短に言いなさい」
「はい。“コーマの技”とは、どのようなものですか?」
空気が凍る、というわけではないが、周囲の動きが止まった。神官長も部屋にいた神殿騎士もこれでもかというほど目を見開き、ナギサを見つめている。
——これは、やってしまったか?
「“コーマの技”を知らない......と?」
信じられない、とでもいうように銀縁眼鏡の奥の目をわずかに見開いたウォーリは、指でそっとこめかみを押さえた。




