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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第一章】

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13/343

1‐03‐2 知らない言葉


 


 時間もあることだからと、丁寧に読んでいたら意外に時間がかかる。結局、すべてを読み終えるのに数日かかってしまった。


 この本は、学舎に十一歳で入学する子供達に貸与するものだからか、かなり易しい表現で書かれている。十一歳の子供相手というより、小学生低学年相手のような表現が多い。物足りなさは否めなかったが、反面、この世界を知らない己にとってはかなり読みやすく、この世界のことが少しだけ理解できた。


 主な内容は、元世界でいう社会と道徳。それに、簡単な創世神話だ。

 この本によれば、この国は“ヴィルディステ聖国”、首都は聖都イスで、大神殿が国の中心。王制ではなく、巫女姫が最高権力者を務めている。


 王政でないためか、王族や貴族といったものはないようだ。上位者への礼を尽くすことなどは記載されているが、それ以上のことは触れてなかった。他国については、ほとんど記載がない。ただ、王族や貴族がないとわざわざ明記されているあたり、他国にはそういう階級社会があるのだろう。


 だが、貴族という身分はないとあるが、この国での神官の地位は高いようだ。高位神官への対応や礼儀作法がこと細かに記されていた。


(建前はともかく、実質的な身分制はあるというわけか)



 本の後半には学舎で学べること、その先の進路の概略があった。

 学舎は神官を目指す子供達が学ぶ場所だが、資質によっては学舎を卒業した後に研究者(学者)になることも可能なようだ。まぁ、医療神官、神殿騎士も神官扱いだというのだから、神官と言っても、帰属が神殿であるだけで、かなり職業選択の自由はありそうな気がする。


 学舎で学べることの一つに“魔法”という文字があった。

 この二文字を見つけた時、胸がどくりと高鳴るのを感じた。


 元世界で散々魔女と罵られ、出来もしない魔法を強要されたことが幾度となくあった。忌避感や恐怖がないと言えば嘘になる。だが、おとぎ話でしかなかった力が、この世界では現実に存在するのだ。

 ただ、元世界の知識に倣うなら、魔法と言えば魔力である。魔力がなければ、魔法は使えないだろう。果たして異世界人の己が、すんなり魔法が使えるようになるのだろうか。それでも、その可能性を夢想するだけで、何故だか楽しくなってくる。


 もちろん、首をひねる記述も少なくない。

 その中で、魔法や魔道具と並んで述べられ、誰もが知っている前提で書かれている単語があった。

 ——“コーマの技”。


 一体、それは何を指しているのだろうか。




国名や巫女姫のことは、クラーヴィアからの名乗りで聞いているのですが、あの時点のナギサは理解が追いついていなかったのです。

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