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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㊹

 数日を掛けて、話し合いは進み――その案は、明確になっていった。

 宝物の在り処は謎解き形式で示し、普通に探すのでは見つからないようにする。

 やはり、ただ探すだけでは、レインの危惧通り新しい宝物の供給が間に合わないからだ。

 供給が間に合うようにするには箱の中に宝物を入れる必要があるが、そうすると今度はあまりにもわかりやすくなってしまう。

 謎解きの内容には、スティルペースが提供してくれる飾り用の花を利用する、なんて案などがある。


 ――と、そんなことを興奮気味にリアに話したリウは、勢いに任せてぎゅうっとリアのことを抱き締める。

 今日は休日で、リウはリアに学園祭の準備の進捗について話していたのだった。


「ふふ、ふふふっ……とにかく、こっちはそんな感じなの! ねぇ、リアは? リアはどう?」

「お姉さま、近いです。……ええと、そうですね……まぁ、順調だと思います。詳しい内容は、ぜひ当日に」

「あっ……そ、そうね、生徒も、ちゃんと遊ぶのだものね……ごめんなさい、リア。私、はしゃいで自分たちがやることの説明を……」

「いえいえ、具体的な話はしていませんでしたよ。はしゃぎ過ぎていたのが功を奏しましたね!」

「り、リア……なんだか言い方がトゲトゲしている気がするわ……!?」


 ニコニコ笑顔でちくりと刺してきたリアに、リウは悲しそうにそう訴えた。

 リアはそれを素知らぬ顔で無視しつつ、机の上に置かれたノートを見る。

 それは、リアが勉強に使っているノートだ。


「……はあぁ」

「なぁに? リア……勉強、飽きちゃった?」

「う……はい。気分転換にお姉さまのお話を聞こうと思ったのですが……効果はありませんでした……」

「そうねぇ……余裕があるなら、中断してもいいけれど。切羽詰まっていたり……やらないとって気持ちがあるのなら……おやつ休憩にする? 一旦、意識を切り替えてしまうのはどうかしら」

「おやつ……! 今日はなんですか!?」

「ふふ……まだ、聞いてみないとわからないわ。でも、そろそろ時間だし用意はできている頃のはずよ。聞いてみましょうか」


 リウはそう言うと、椅子から立ち上がって厨房の方へと歩いていった。

 そこに顔を覗かせ、リウは微笑みながら訊ねる。


「甘い匂い……ねぇ、今日のおやつはなぁに?」

「本日はミルフィーユですよ。苺をふんだんに使用しております」

「苺がたくさん? ふふ、美味しそうね。今からおやつ休憩にしたいと思っているから、準備ができ次第リビングに運んでくれて大丈夫よ。楽しみに待っているわね」

「お姉さまと楽しくお話をして待っているので、慌てなくて大丈夫ですからね。ミルフィーユ、楽しみです」


 リウに続けてリアもそう伝え、二人は手を繋いでリビングに戻った。

 そうして二人が何気ない話を続けていると、ミルフィーユが運ばれてくる。

 つやつやした生地の上には粉砂糖が掛かっていて、クリームと苺がバランス良く挟まれている。

 綺麗で美味しそうなミルフィーユだ。


「ん〜……! 美味しいですね、お姉さま! 勉強の疲れが癒されます……」

「そんなに勉強が嫌い? 新しいことを学ぶのは、私は好きなのだけれど……」

「好きなことを学ぶのは好きですが、嫌いなことを学ぶなら楽しいなんて思えません……お姉さまが付き合ってくれるので、まだ楽しいですが……一人の時なんて、もう、もう……はぁ。……もう、ずっとお姉さまのことだけ学んでいたいです……」

「……私について知らないことはないってくらい、あなたは私のことを知っているでしょう? もう学ぶことなんてないわ」

「学ぶことはいくらでもありますっ。例えば、お姉さまに未知の食べ物を食べさせたりすれば、新しく好物や苦手な物が生まれるかもしれません!」


 目をキラキラさせながらそんなことを言うリアに、リウは困った顔をした。

 新しく自分が知らないことを作ってでも、リウのことを学びたいらしい。

 懐いてくれるのは嬉しいが、ここまで行くと少々困りものでもある。


「リアったら……ああ、ほら、はしゃいで話すから口元にクリームが……じっとして、取ってあげるから……ん、取れたわ。これで大丈夫ね」

「えへへ……ごめんなさい。……口元にたくさんクリームを付けたら、それも拭いてくれますか?」

「変なこと言わないの。食べ物を粗末にするのもダメ。……気持ちとしては、そうしてあげたいけれど。変な成功体験をあげたくないから、やらないでおくわ」

「変な成功体験って……私、子どもじゃないんですよ。誤学習なんてしません」

「あなたは子どもだし、大人でも誤学習をすることはあるわよ?」


 自分の分のミルフィーユを一口大に切り、それをフォークで刺してリアに差し出しながらリウはそう言った。

 とても自然に甘やかされていることにリアは嬉しそうにしつつ、ぱくりとそれを受け取る。


「美味しい?」

「美味しいです! ……でも、同じ味なのに……わざわざ分けなくてもいいんですよ。……つい、受け取ってしまいましたけど……」

「私がリアを甘やかしたいだけだから、いいの。……ふぅ……さて、食べ終わったら勉強を再開しましょうね。私が……お姉さまが傍で教えてあげるから」

「はい。嫌ですけど、頑張ります」


 大人しく頷くリアに、リウは目を細めて微笑んだ。

中途半端なところなんですが、新しい話を書きたい欲が強すぎるので一旦中断します。

次はリテアのお話です。

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