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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㊸

 それから、数日が経ち。

 学園祭では、宝探しをすることに決まった。

 クラス内で準備できることも多く、実行委員会の手が回らない、なんて事態に陥りにくいというのが理由だ。

 というわけで、学園祭の準備期間が始まった。

 高等部では取れる時間もそう多くはないが、それだけにリウは張り切って準備に取り掛かる。


「えっと……宝物をどこに隠すか、から決めるのよね……謎を用意しても良し、単純に隠すも良し……みんなは、どんなことを考えているかしら」

「僕はリウの意見に賛成だよ。リウはどうしたいの?」

「……賛成するなら普通、意見を聞いてからでしょう……まだ纏まっていないわ。でも、ただ隠すだけでは面白くないとは思っているわね。あなたは?」

「僕は……あはは、こういうの得意じゃないから。得意な人に任せるよ……身内が喜んでくれるものは考えられるけど、大衆受けするものは……よくわからない。僕はなんでも楽しめるからね」


 なんでも楽しいと感じるからこそ、何をすればいいのかわからないと言うレインに、リウはふぅん、と興味無さげな相槌を打った。

 だが、レインは色々と優秀な人物である。

 実際のところ、面倒くさがっているだけだろうな、と思ったのだ。


「……面倒なら、考えなくてもいいけれど。やるべきことは、きちんとやりなさいね?」

「ふふっ、それはもちろん。特にリウの手伝いは、全力でやるよ! さぁ、何か手伝ってほしいことはない!? リウのためなら、苦手なことでも頑張るよ!」

「手伝ってほしいこと……そうねぇ。あなたに話しかけられると集中できないから、離れていてくれる?」

「やだ。折角、教室内で自由に動ける時間が長いんだよ。リウの傍にいられる時間が長いんだよ!」

「あっ、スティルペースぅ〜♪ 何か思い付いた? あなたのしたいこと、私に教えてほしいわ!」


 力説しているレインを無視して、リウが軽い足取りでスティルペースの元へと向かった。

 突き刺さる視線も気にすることなく、リウはニコニコとスティルペースのことを見つめる。


「リウさん……えっと、視線が……」

「視線? ……レイン、スティルペースを困らせないで。スティルペースを困らせることは、私を困らせるのと一緒よ」

「……ちぇっ。はいはい、わかったよ……ごめんね、スティルペースさん。ちょっと羨ましくなっちゃって」


 ひらひらと手を振り、レインが肩を竦めてリウから視線を外したのを見て、リウはふぅっと息を吐き出した。

 そして、改めてスティルペースに向き直ると、笑顔でスティルペースの意見を聞く。


「私は……えっと。お花を飾りたいなって、そればかりで……」

「まぁ、お花? スティルペース、お花には詳しいものね。いいと思うわ! 上手く活用したいけれど……どうしようかしら。お花の中に宝物を……いえ、お花が傷んでしまうかも……うーん……」

「お客さんはそれなりに多いでしょうから、傷むでしょうね……ただ、いい案だとは思います」

「そうかしら。傷むのもそうだけれど……少し考えれば、わかることだわ。お客さんの手が土で汚れるのはダメよ。手袋を用意すれば汚れはしないけれど、お客さんの数は予想することしかできない以上たくさん用意するしかないし、サイズの問題もある。……考えれば考えるほど、問題だらけ……でも、飾るだけなら何も問題はないわ!」


 リウがそう自信満々に言えば、スティルペースは嬉しそうに微笑んだ。

 そして二人は、固まってああでもないこうでもないと議論を続けた。

 その雰囲気はとても楽しげで、少しずつ少しずつ、二人の周りには人が集まっていく。


 その様子を、レインは少し離れたところからじっと眺めていた。

 妬ましい気持ちはあるが、たくさんの人に囲まれて嬉しそうにしているリウを見れば、そんな気持ちは一瞬で吹き飛ぶ。

 良かったね、なんて保護者目線の感想しか抱けなくなって、レインは苦笑いした。


 こういうところも、リウのずるいところだ。

 子どもっぽいところがあるから、微笑ましいが先行して邪な気持ちが消えていってしまう。

 こんな気持ちは間違っている、なんてことを思ってしまう。


 同い年だから、この感情に何らおかしなところなんて無いというのに。

 まぁレインの場合、問題は年齢ではなくその執着の方なのだが。


「……学園祭……宝探しねぇ。宝物の供給、間に合うのかなぁ……」


 お客さんの数が例年通りならば、宝物は、いくつかの同じ物を使い回すにしても供給が間に合わないはずだ。

 ある程度の広さがある場所なら、箱の中にでもたくさん入れておけるが、今のところ話はわかりにくい場所に隠す方面で進んでいる。

 そうなると、箱の中に入れておくのは難しいだろう。


 リウの前でこういうのを考えるのは苦手だ、と言い放ったレインは、リウが後で困ってしまわないよう対策を考える。

 もし決定した場所が広い場所なら箱にたくさん入れておけばいいが、そうでないならば――


「……うん」

「何か考えがありそうね、レイン。私に聞かせて頂戴な」

「っうわ……!? えっ……!? ……急に話しかけないで、びっくりするでしょ……いつの間に近くにいたの?」

「あなたが遠くで考え込むような顔をしていたから、来てみただけよ。なんだかんだ言いながら真面目に考えてくれているんでしょう? ほら、早く聞かせなさいな」

「……や、僕のは、ほら、有意義な案とかじゃなくて……」

「ええそうね、あなたが考えていたのはもっと現実的なこと。この案の問題点と、その解決方法……でしょう?」

「……リウには敵わないな。わかったよ、考えてたことを教える……活用するかしないかは、自由だけど」


 レインはそう言って苦笑いすると、考えていたことを素直に話した。

次の作品を書こうと思っているので、これからは三日に一回の投稿になると思います。よろしくお願いします。

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