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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㊵

 それから、リウはすぐにスティルペースと別れ、上機嫌に帰り道を歩いていた。

 スティルペースと仲良くなった上に、プレゼントも贈り合って、美味しいクレープのお店まで教えてもらって、それから自分の案が採用された、なんて知らせも受け取ったのだ。

 今日はいい日だ、と鼻歌でも歌いなくなる。

 だが、家ではともかく外でそんなことをするのは恥ずかしかったので、リウはリアの顔を思い浮かべて急ぎ足で家へと向かった。


 家に到着し、リウが玄関を開けるとすぐにリアが走ってくる音が聞こえた。

 そしてリアは、ぷくりと頬を膨らませて抱きついてくる。


「お姉さま! ひどいです、私が嫌がるってわかっていてあんな写真……! わざわざ送らなくてもいいのに!」

「ごめんね、リア。ただ……からかいたくなっちゃって。ふふ……でも、お姉さまに仲の良いお友達がいることには、喜んでくれるでしょう?」

「今日できたばかりのくせに」

「むっ……そんなことはないわ。今日、以前よりとても仲良くなっただけよ。以前からお友達ではあったわ!」


 ふふん、とリウが胸を張るが、リアは疑わしそうにリウを見つめるだけだった。

 それにリウは少しむっとしつつ、いつまでも玄関先で話しているわけにもいかないので、家に上がる。

 そして、リウは部屋に荷物を置くと、拗ねているリアを抱き締めた。


「もう、リアったら……私が悪かったから、そう機嫌を損ねないで頂戴な。可愛くてからかいたくなってしまうわ」

「お姉さまったらもう……! あんまりからかうと、口を利いてあげませんからね!」

「ふふふっ……ええ、もうしないわ。今度、一緒にあのお店に行きましょうね。クレープ、とっても美味しかったの」

「約束ですからね。……それで……そんなに上機嫌なのには、お友達と仲良くなった以外にも理由があるんですよね?」


 見透かすような瞳をしてそう言われ、リウは目を丸くした。

 そして、一気にニコニコと更に笑顔になると、嬉しそうに声を跳ねさせて頷く。


「そうなのっ! あのねリア、聞いて! この前から私学園祭の実行委員の子のお手伝いをしていたでしょう? あの子に提案した案が採用されたの! みんなを巻き込んで学園全体で出し物をするあの案が! きっと今年の学園祭はとっっても面白いことになるわ!」

「わあ……おめでとうございます、お姉さま。凄く気が早いのに資料を集めようとするくらい、この案が採用されてほしかったんですもんね。じゃあ、これから資料を纏めて、その人に送るんですか?」

「ええ、そのつもりよ。声を掛けられた時に、案出しだけでいいとは言われたけれど……少々特殊な案だもの。資料くらいは送らないとね」


 リウはそう言うと、スキップでもし出しそうな軽やかな足取りで再び自分の部屋に向かった。

 自分からからかってきたくせに、ちゃんと構ってくれないリウに不満を覚え、リアはとことことそれに付いていった。

 当然のようにリウとともにリウの部屋に入り、リアは慣れた様子でソファーに腰掛けた。


「……ねぇ……リア? どうして付いてきたの?」

「お姉さまがちゃんと構ってくれないからです。わかっているでしょう? 私はお姉さまのことが大好きなので、あんな風にからかわれたら、ちゃんと構ってくれるまで納得できません。……それに……なんですか、あの袋。知らない袋です。帰った時にも持ってました」

「ち、近い、近いから、ちょっと離れて……スティルペースと、服を贈り合ったの。それだけよ。クレープ屋さんがあるところに一緒にあるから、クレープ屋さんに行った時に服屋さんにも寄る?」

「……それなら、いいです。服をプレゼントし合うくらい親密になったなんて、びっくりしました……」


 リアはリウから離れつつ、少し恥ずかしそうにしながらそう言った。

 自分が自分で自覚していたよりも拗ねていて、段々と恥ずかしくなってきてしまったのだ。

 だからリアはそれを、びっくりしてしまったからと理由を付けて、自分の中で言い訳をしておく。


「一緒にいたいだけなので、私はここで静かにしています。お姉さまはどうか、作業をしてください」

「……そう? それじゃあ……寂しくなったら、いつでも声を掛けていいから」

「はい、その時は声を掛けます! ……でも、なるべく邪魔はしません……!」

「ふふっ……ええ、ありがとう。退屈になったら、いつでも戻って大丈夫だから。私のことは気にしないで」


 リウはそう声を掛けてから、資料を集めて纏める作業に没頭し始めた。

 何をしても優秀なリウは、数ある情報からてきぱきと必要な情報を抜き出し、纏めていく。

 静かな部屋で、どれくらいの時が過ぎただろうか。

 リアがぼんやりとリウの横顔を眺めていると、時間はあっという間に過ぎて、リウは資料を纏める作業を終えた。


「……ふう……っ。こんなものね……時間は……うん、思ったより早く終わった。……今送っても迷惑じゃないわよね……えっと……連絡先、連絡先……」

「……ぁ……お姉さま、お疲れではありませんか? 私、紅茶淹れてきますねっ」

「ああ……ええ、ありがとう。後でリビングに行くから、そっちに置いておいて」


 リウはそう言って、資料の最終確認を済ませると、資料を送信して息を吐き出した。

 短めのメッセージも添えてから、リウは部屋から出てリビングに向かう。

 するとそこには、お湯が沸くのをそわそわ待っているリアが居た。


「……結局、ずっと私のお部屋にいたのね。退屈じゃなかった?」

「えへへ……お姉さまのお顔に見惚れていたら、時間があっという間でした……」

「……あ、あら……そう……それは良かった、わ?」

「ふふっ。……あっ、お湯沸いた……! お姉さま、すぐに紅茶を淹れてきますね! 座って待っていてください!」

「ええ。……急いでいないから、慌てずにね?」


 少し心配そうにしつつ、リウはのんびりと紅茶が出来上がるのを待った。

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