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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㊴

 スティルペースに買ってもらった服が入った袋を、リウはぎゅうっと抱き締める。

 友達が選んでくれた服というのは嬉しくて嬉しくて堪らなくて、無自覚の内に頬が緩んだ。


「えへへぇ……ねぇ、スティルペース、次はどこに行くの? ふふふ……」

「ご機嫌ですね。……化粧品も、見に行こうかと。一つ、切れかけのものがあるんです。付き合っていただけますか?」

「うんっ。私……そういうのは、皆さんにお任せしているのだけれど……わからないわけではないから! きっと楽しめるわ!」


 普通に歩いているはずなのに、リウがぴょんぴょん兎みたいに飛び跳ねているように見えて、スティルペースは無言で目を擦ってみた。

 やっぱり普通に歩いているのに、ぴょんぴょん跳ねているように見える。

 おまけにぶんぶんと振られる犬の尻尾も。


 絶対に幻覚なので、スティルペースは頭を振ってからリウに笑いかけた。


「それは良かったです。ただ、生憎、今から行くお店は、比較的安価なものを置いているところですから……肌に直接使うものなのに、リウさんが安価なものを使うわけにはいかないでしょう?」

「うん……そうね。私としては、面倒極まりないけれど……怒られてしまいそう。傍で見るに留めるわね」

「はい。……もしつまらなくなってしまったら、別のところを見ていて大丈夫ですからね。見終えたら連絡しますから」

「お気遣いありがとう。でも、大丈夫よ。私、スティルペースが色々選んでいるところを見るだけで楽しいから!」


 心底そう思っていそうな顔で、リウはそう言った。

 スティルペースはそれに頷くと、リウを連れて化粧品を見に行く。

 リウは事前に言った通り、とても楽しそうにスティルペースが化粧品を眺めるところを見つめていた。

 スティルペースが化粧品の購入を終えると、二人は一緒にクレープ屋さんに向かい、それぞれ好きなものを注文する。


「ここにはクレープ屋さんがあるのねっ。クレープって、クレープ屋さん以外には置いていないことが多いし……ふふ、いつぶりかしら……」

「それは良かったです。ここのクレープ、美味しいんですよ。……でも、そろそろいい時間ですし……クレープを食べたら、帰りましょうか」

「……あら、もうこんな時間……そうね。連絡はしてあるけれど、あまり遅れると心配させてしまうわ。……あ、リアから連絡……」


 リアから連絡が来ていることに気付き、リウが通知を押した。

 そこには、遠回しにやきもちを伝えるメッセージが届いている。


「……ふふふ……ねぇ、スティルペース。一緒にクレープ食べてる写真撮ってもいい? リアに送るの」

「……いいですけど……あんまりからかうと、拗ねちゃうんじゃないですか?」

「ええ。あの子はそういうところが可愛いの! たまにからかうくらいなら平気よ」


 楽しそうにリウはそう言い、クレープが届くとスティルペースと一緒にツーショットを撮った。

 そして、リウはぷらぷらと足を揺らしながらリアに写真を送信する。

 数秒ほど待つと、画面には洪水のようにリアからのメッセージが溢れた。


 誤字だらけで読みづらいそれをなんとか解読すれば、そこには、ひどい、なんで、ずるい、なんてことが書かれていて、最後には今からそっちに行きます、なんて文章を発見して、リウは急いでクレープを食べ終わったら帰るから、と伝えておく。

 それから念押しで、このお店には今度二人で行きましょう、と伝えると、リアからのメッセージの嵐はようやく止んだ。


「……ふうっ。びっくりした……ちょっとやりすぎたかしら? 後でちゃんと埋め合わせしないと……」

「なんだか……凄く反応が返ってきていたみたいですけど、大丈夫でしたか……?」

「ええ。大丈夫よ、ちゃんと埋め合わせするから……ん?」


 リアからのメッセージ通知に紛れ込んで、別のところからメッセージが届いているのに気付いてリウが首を傾げた。

 開いてみると、そこには感情溢れる、とてもとても嬉しそうな文面があった。


「……あっ!? 私の案っ……採用されて……!?」

「えっ? ……ああ……お手伝いをしているんでしたね。採用されたんですか……どんな提案をしたんですか?」

「あ……ご、ごめんねスティルペース、あなたと遊んでいる最中なのに、全然関係の無いことを……えっと、全学年、クラス合同での出し物を提案していたの。そしたらそれが、採用されたみたいで……明日は、土曜日よね? 資料をまとめておかないと……!」

「無理はしないようにしてくださいね。リウさんは昔から、嬉しくなるとやりすぎる人ですからね」


 じとりとした視線でスティルペースに言われてしまい、リウはそっと目を逸らした。

 色んな人に指摘されるので、一応自覚してはいる。

 ただまぁ、自覚したところでそれをやめるかどうかは別問題なのだが。


「……コホン……今はスティルペースとの遊びの時間だもの。そっちに集中しないと! クレープ、とっても美味しいわ。いいお店を教えてくれて、本当にありがとう……!」

「いえいえ。こちらこそ……お洋服一式まで買っていただいて……」

「もう。それは、私がプレゼントしたかっただけなのよ? そんなに申し訳なさそうにしないで、喜んでほしいわ」


 リウがそう言うと、スティルペースはこくりと頷き、嬉しそうに微笑んだ。

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