表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1207/1214

ifストーリー 楽しい学園生活㊲

 それから、リウはどう友達を作ればいいか悩みつつ、今日の授業を終えた。

 放課後になると、クラスメイトはいくつかのグループになり、間に入れそうにないほど話し込んだり、会話をしながらさっさと教室から出ていったりする。

 友達になろうと言えば友達になってくれる人はたくさんいる、なんてレインは言っていたが、そもそも話しかけられないならどうしようもない。


「……う、ぅ……」

「どうしたの、リウ? 僕が一緒に……」

「昨日も一緒に帰ったでしょ。あなたとはもういいから……」

「えー、約束無いんでしょ? 一緒に帰ろうよ〜」

「いいから。ほら、先に帰って。……詰め寄って来ないで……そんなことをしても、折れたりしないわよ。あまり困らせないで」

「はーぁ……はいはい、わかったよ……寂しいなぁ」


 レインは未練たらたらな顔でリウのことを見つめながら、教室から出ていった。

 それを確認すると、リウはそわそわと教室内を眺めてみる。

 教室に残っている人はあまりいない。

 その中で、リウは声を掛けられる人がいるとすれば――


「……スティルペースぅ。一緒に帰りましょう……?」

「リウさん? どうしたんですか、急に……いつもなら、妹さんと……」

「スティルペースぅぅ……」

「……途中までで良ければ。では行きましょう、リウさん」


 中等部からの仲だったスティルペースに声を掛けてみれば、なんとか受け入れてくれてリウはぱあっと笑顔を浮かべた。

 子どものようで、幼気な可愛さのあるその顔に、スティルペースは苦笑いしながらリウを教室から連れ出す。

 そして、学園から出てしばらく歩いてから、スティルペースは口を開いた。


「リウさん、どうして突然私と一緒に帰ろう、なんて思ったんですか?」

「な、何よっ……お、お友達……と、一緒に……帰りたいって思っちゃ、ダメ……?」

「……お友達」

「えっ、あっ、ち、違った……!? ご、ごめんなさい、そうよね、私たち……お友達になろうなんて、一度も……」

「早とちりなさらないでください、リウさん。ただ……珍しいなと思って。昔からリウさんは優等生で……人気者ですが、誰かと遊びに行くような姿は、ほとんど誰も見たことがない。そんな人でしたから」

「……それは、だって……習い事もあって、あまり時間が取れなかったし……お友達なんて、いなかったから」


 リウはそう言って、しょんぼりと肩を落とした。

 結局のところ、リウはずっと人気者だが遠巻きにされてもいて、友達なんて居たことがなかったのだ。

 それなのに、今更友達の作り方なんてわかるわけがない。


「友達になりたい人は、たくさん居ると思いますよ」

「レインにも言われたわ。私から友達になりたいって言えば、受け入れてくれる人はたくさん居る……って。でも、どうすればいいの? クラス内にはもうグループが固まってしまっていて、話し掛けられないわ……」

「リウさんは……ある程度の気遣いはするでしょうけど、あまり気にすることなく話し掛けられると思っていました」

「それは、まぁ……お友達同士なら、突撃できるわ。でも、そこまで親密でもないのに突撃なんてしたら……とても失礼だし、私も相手もどうしたらいいかわからなくなってしまうでしょう」


 はぁ、と息を吐き出して、リウは少し俯いた。

 突撃したとして、リウはその後どうしたらいいのかわからないのだ。

 きっと、相手を困惑させるだけで終わってしまう。


「うーん……リウさんにも友達は居るでしょう。その人たちとは、どうやって友達になったんですか?」

「……わからないわ。気付いた時には、もうお友達になっていたから。いつからそうなのかとか、曖昧で……あなたともそうよ。いつも、気付いたらお友達になっているの。私……どうやってお友達を作ったのかしら……?」

「遊んでいれば、自然にそうなるものだと思います。そうですね……リウさんなら……良く、勉強で難しいところがあると、リウさんに教えてもらいに行く人が結構いるでしょう? そういう人たちに、教え終わったあとに一緒に遊ばないか提案する……なんて、どうでしょうか?」


 スティルペースの提案に、リウはぱあっと表情を輝かせた。

 そして、ぱしっとその手を掴み、感極まったように目を輝かせる。

 そのまま、リウはぴょんぴょんと飛び跳ねてスティルペースにお礼を言った。


「スティルペース! あなたは……あなたはっ、私の恩人よ! 本当にありがとう! そうよね、私が誰かと話すタイミングって、大体そういうタイミングだものね……!!」

「あはは……それはそれで、少し不憫な気はしますけど……でも、誰一人リウさんをただの便利な人だとは認識していませんし……不思議な人ですよね、リウさんは」

「そう? 自分では、よくわからないわ……でも」


 リウは微笑むと、そっとスティルペースの手を取った。

 そして、少し緊張した面持ちで、口を開く。


「もし、良ければ……できれば今日、どこかに遊びに行かない? カフェに行くとか、後は……あ、どこかのお店とか……ショッピングモールに行くとか……! ど、どう?」

「今日は……大丈夫ですよ。ふふ……リウさん、私とも仲良くなりたかったんですか?」

「もちろん、私はみんなと仲良くなりたいんだもの。じゃあ行きましょう! どこに行きたい?」

「じゃあ……ショッピングモールで。買いたいものがあるんです」


 リウは頷き、見るからに上機嫌な様子でスティルペースの手を繋いて歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ