ifストーリー 楽しい学園生活㊲
それから、リウはどう友達を作ればいいか悩みつつ、今日の授業を終えた。
放課後になると、クラスメイトはいくつかのグループになり、間に入れそうにないほど話し込んだり、会話をしながらさっさと教室から出ていったりする。
友達になろうと言えば友達になってくれる人はたくさんいる、なんてレインは言っていたが、そもそも話しかけられないならどうしようもない。
「……う、ぅ……」
「どうしたの、リウ? 僕が一緒に……」
「昨日も一緒に帰ったでしょ。あなたとはもういいから……」
「えー、約束無いんでしょ? 一緒に帰ろうよ〜」
「いいから。ほら、先に帰って。……詰め寄って来ないで……そんなことをしても、折れたりしないわよ。あまり困らせないで」
「はーぁ……はいはい、わかったよ……寂しいなぁ」
レインは未練たらたらな顔でリウのことを見つめながら、教室から出ていった。
それを確認すると、リウはそわそわと教室内を眺めてみる。
教室に残っている人はあまりいない。
その中で、リウは声を掛けられる人がいるとすれば――
「……スティルペースぅ。一緒に帰りましょう……?」
「リウさん? どうしたんですか、急に……いつもなら、妹さんと……」
「スティルペースぅぅ……」
「……途中までで良ければ。では行きましょう、リウさん」
中等部からの仲だったスティルペースに声を掛けてみれば、なんとか受け入れてくれてリウはぱあっと笑顔を浮かべた。
子どものようで、幼気な可愛さのあるその顔に、スティルペースは苦笑いしながらリウを教室から連れ出す。
そして、学園から出てしばらく歩いてから、スティルペースは口を開いた。
「リウさん、どうして突然私と一緒に帰ろう、なんて思ったんですか?」
「な、何よっ……お、お友達……と、一緒に……帰りたいって思っちゃ、ダメ……?」
「……お友達」
「えっ、あっ、ち、違った……!? ご、ごめんなさい、そうよね、私たち……お友達になろうなんて、一度も……」
「早とちりなさらないでください、リウさん。ただ……珍しいなと思って。昔からリウさんは優等生で……人気者ですが、誰かと遊びに行くような姿は、ほとんど誰も見たことがない。そんな人でしたから」
「……それは、だって……習い事もあって、あまり時間が取れなかったし……お友達なんて、いなかったから」
リウはそう言って、しょんぼりと肩を落とした。
結局のところ、リウはずっと人気者だが遠巻きにされてもいて、友達なんて居たことがなかったのだ。
それなのに、今更友達の作り方なんてわかるわけがない。
「友達になりたい人は、たくさん居ると思いますよ」
「レインにも言われたわ。私から友達になりたいって言えば、受け入れてくれる人はたくさん居る……って。でも、どうすればいいの? クラス内にはもうグループが固まってしまっていて、話し掛けられないわ……」
「リウさんは……ある程度の気遣いはするでしょうけど、あまり気にすることなく話し掛けられると思っていました」
「それは、まぁ……お友達同士なら、突撃できるわ。でも、そこまで親密でもないのに突撃なんてしたら……とても失礼だし、私も相手もどうしたらいいかわからなくなってしまうでしょう」
はぁ、と息を吐き出して、リウは少し俯いた。
突撃したとして、リウはその後どうしたらいいのかわからないのだ。
きっと、相手を困惑させるだけで終わってしまう。
「うーん……リウさんにも友達は居るでしょう。その人たちとは、どうやって友達になったんですか?」
「……わからないわ。気付いた時には、もうお友達になっていたから。いつからそうなのかとか、曖昧で……あなたともそうよ。いつも、気付いたらお友達になっているの。私……どうやってお友達を作ったのかしら……?」
「遊んでいれば、自然にそうなるものだと思います。そうですね……リウさんなら……良く、勉強で難しいところがあると、リウさんに教えてもらいに行く人が結構いるでしょう? そういう人たちに、教え終わったあとに一緒に遊ばないか提案する……なんて、どうでしょうか?」
スティルペースの提案に、リウはぱあっと表情を輝かせた。
そして、ぱしっとその手を掴み、感極まったように目を輝かせる。
そのまま、リウはぴょんぴょんと飛び跳ねてスティルペースにお礼を言った。
「スティルペース! あなたは……あなたはっ、私の恩人よ! 本当にありがとう! そうよね、私が誰かと話すタイミングって、大体そういうタイミングだものね……!!」
「あはは……それはそれで、少し不憫な気はしますけど……でも、誰一人リウさんをただの便利な人だとは認識していませんし……不思議な人ですよね、リウさんは」
「そう? 自分では、よくわからないわ……でも」
リウは微笑むと、そっとスティルペースの手を取った。
そして、少し緊張した面持ちで、口を開く。
「もし、良ければ……できれば今日、どこかに遊びに行かない? カフェに行くとか、後は……あ、どこかのお店とか……ショッピングモールに行くとか……! ど、どう?」
「今日は……大丈夫ですよ。ふふ……リウさん、私とも仲良くなりたかったんですか?」
「もちろん、私はみんなと仲良くなりたいんだもの。じゃあ行きましょう! どこに行きたい?」
「じゃあ……ショッピングモールで。買いたいものがあるんです」
リウは頷き、見るからに上機嫌な様子でスティルペースの手を繋いて歩き始めた。




