ifストーリー 楽しい学園生活㉟
「さぁて! それじゃあリウちゃんリアちゃん、お母様に学園でのことを聞かせて頂戴!」
リーベにそんなことを言われて、リウとリアは顔を見合わせた。
そんなことを言われても何を言えばいいのかわからず、二人は困った顔をする。
だがまぁ、こういう時は姉として先陣を切り、お手本を見せてあげるべきだろう、とリウが口を開く。
「そう、ですね……高等部に上がってから、何ヶ月か経ちましたが……中等部とそう多くは変わりません。ただ……授業内容が難しくなってきているので、勉強で頼られることが多くなって……中等部の頃より、友達はできやすくなっている気がします」
「ふふ……そう。学園に通っていて、楽しい? 嫌なこととかはないかしら?」
「嫌なこと……レインは鬱陶しいですが、そのくらいですね。先生方も皆様お優しいですし、クラスメイトも嫌な方はいませんよ。通っていて楽しい……と、言えるのかはわかりませんが……お友達に会えるのが、ただただ嬉しいです。ふふ……学園祭の準備も、少しだけお手伝いしているんですよ!」
嬉しそうにリウが報告すると、リーベは優しくリウの頭を撫でた。
リウの話が一段落したので、次はリアが口を開く。
「私は……はぁ。全員が全員、このまま高等部に進むわけではありませんし……もうこの年で終わりと思うと、寂しいです……あっでも、お姉さまと同じ高等部に行けるのはとっっても嬉しいです! ……うぅ、同い年だったら同じクラスに行けたかもしれないのに……」
「リアったら……ふふっ。来年になったら、時々教室まで迎えに行ったりして、一緒に帰りましょうね。学年こそ違うけれど……今より多少、そういう機会は増えるでしょうから。……私たちが仲良しなことなんて、もう学園中に知られているし。恥ずかしがる必要もないわ」
「わあ……! ふふっ、そうですね! なんだか楽しみになってきました!」
「良かったわねぇ、リアちゃん。だけど……そうね、たくさんのお友達とお別れするのも事実だもの。会う機会はとても……とても、減ってしまうわ。だから今の内に、たくさん楽しむのよ。それから、連絡先を持っていないお友達とは、忘れずに連絡先を交換しておきなさいね」
「はい、お母様! それから……ふふん、受験をする子もいるから、無理は言わないように!」
ですよね、という顔をするリアを、リーベはニコニコしながら撫でた。
撫でられて嬉しそうなリアを見ながら、リウは余計なお世話かな、とは思いつつ、軽くその頬を摘む。
「リ〜ア〜……? 念のために言っておくけれど、あなたも試験が無いわけではないのよ?」
「うぅ!? お、お姉さま、それはぁ……」
「リアは成績優秀な子だし……よっぽど低い点数を取らない限り、大丈夫でしょうけれど……噂では、あれは一年生時点の成績にも響くかもしれないんだそうよ。高等部に上がれない、なんて事態は稀でも、良い点数を取るに越したことはない……試験、そろそろでしょう。少しくらい対策しておきなさい」
「ふふ……そうねぇ。リウちゃんったら、抜けているものだからすっかり忘れていて……試験の一週間前に思い出して、必死になっていたの……見ていたでしょう? やる気が出ないならデートの名目にしてでも、多少はしておいた方がいいわ。内容なら、お姉さまが知っているしね?」
からかうような口振りでリーベが言うと、リウはむっとして顔を逸らした。
そして、消え入りそうな声でお母様、とだけ呟くと、リーベは更に言葉を続ける。
「忙しそうにしていた私たちにも、珍しく声を掛けて、助けを求めて……それで、なんとか優等生として良い点数を収めることができたのよね」
「うっ……そ、その節は、ご迷惑を……」
「ああ、ごめんね、怒っているわけじゃないのよ。むしろ……私たちは、とっても嬉しかったの。とっても優秀でいい子なリウちゃんは、これまでほとんど私たちに頼ることはなかったから。リウちゃんが完璧な超人じゃなくてよかったって、心底安心したのよ? だから……我儘も、もっとたくさん言って頂戴。ねぇ、リアちゃん? あなたもそう思うでしょう?」
「そうですよっ。お姉さまは、何事においても気を張りすぎです!」
「ひゃああ!? ちょ、ちょっと、リア! お母様まで……!」
家族二人に揉みくちゃにされて、リウが目を回した。
しばらくすると恥ずかしさに耐えかねて、リウはよろよろと二人から距離を取り、防御体勢に入る。
そんなリウがやっぱり可愛いので、リアとリーベは顔を見合わせた。
「あらまぁ……リウちゃんったら。……恥ずかしい思いをさせてごめんなさいね、もし良ければ……学園祭のお話も、聞けたらなぁって思うのだけれど……」
「……まだ詳細は決まっていません。ただ……全学年、全クラス合同での出し物を提案してみようかと……」
「あら、いいわね! 規模を考えると、採用されるかどうかは……実行委員や先生方の方針次第、かしら?」
「ただのお手伝いだから、気軽に案を出してくれれば……と言われているので。……採用されるといいな……」
えへへ、とふんわりリウが笑うと、リアとリーベは微笑ましそうにそれを眺めた。




