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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㉞

 一通りリアからヴェルジアの惚気を聞き、満足したリウは自分の部屋に戻っていた。

 リアからは気が早すぎると言われてしまったが、どうしても資料を纏めておかないと気が済まなくて、リウは絶対に何も伝えず、もし採用されたら渡そう、と心に決めつつ資料を纏めていく。

 リアが気が早いと言ったのも、結局は採用されなかった時にリウが落ち込んでしまうから、というものだった。

 つまりは、落ち込まないならリアも止めなかったということだ。

 ならば、落ち込まなければいいのである。


「ふふん。……もう少し、情報が欲しいかしら? えっと……」


 リウが更に情報を集めようとしたところで、スマホから着信音が鳴った。

 電話の相手を確認してみると、そこには〝嫌いな人 出ちゃだめ〟と書かれている。

 そういえば、レインの名前を勝手に変更してたんだった、と思い出しつつ、少し悩んでから一応電話に出る。


「……もしもし……レイン?」

『あ……出てくれた。ふふっ……突然ごめんねぇ。出てくれてありがと♡』

「ええ、存分に感謝して。じゃあもう切るから」

『待って待って待って待ってちゃんと用件あるから! ごめんって……えっとね、さっきリアから連絡があって、たぶんリウは気が早いって言われても資料を集めるだろうから、止めてほしいって言われて……たぶん学園で言えばそれで良かったんだろうけど、リウのことだし……もうやってるでしょ』

「……なんでわかるの。気持ち悪い」


 リウが吐き捨てると、レインが少し笑う声がした。

 苦笑いの交じるそれにリウが無言で不服そうにしていると、レインの声が聞こえる。


『君はずっと僕のことを嫌ってるけど、それでもリアとの差はあんまり無いってくらい、長い付き合いなんだよ。わからないはずないでしょ?』

「私はあなたのこと、よくわからないわ。どうして私にそんなに執着するの?」

『それくらい好きだから。好きだから、よく見てるんだよ。とにかく……リアは、リウが落ち込んでるところ見たくないんだって。だから、なるべく落ち込まないようにしてあげてよ』

「わかったわ……リアに落ち込んでいるところは見せない」


 むっとしながらリウが言うと、レインはしばらく口を閉ざした。

 そして、少し経ってから言う。


『ニュアンスが違う気がするけど、気のせい?』

「ええ、気のせいよ」

『……いや絶対違うよね、隠そうとしてるだけだよね。そうじゃないんだって、リアが嫌がってるのはリウが落ち込むことそのものだよ。別に本当に落ち込んでたらちゃんと向き合って励ましてくれるだろうけど……やらなくて済むに越したことはない。なのに、なんでそんな嫌がるの……』

「答え、あなたならわかるんでしょう?」

『……はいはい、拗ねてるだけね……わかったよ、もう。本当、拗ねると面倒くさいんだから……そういうところも可愛いけど。じゃ、伝えたからね。もう切るけど、身体には気を付けて。最近、ちょっとずつ冷えてきたから、風邪とか引かないようにね?』


 わかったから、とだけ言い、リウは電話を切った。

 そして、部屋のソファーに身体を投げ出すと、唇を尖らせる。

 拗ねて反抗をしたのはちょっと良くなかったな、とは自覚しつつ、それでもリウはやめられなかった。

 だって、レイン相手に何を遠慮することがあるのだろうと、リウは本気で思うのだ。

 迷惑を掛けないと、きっと離れてくれないから、と。

 

 それが逆効果であるなどとは想像だにしていないリウは、普段からレインに八つ当たりをしている。

 今回も、同様である。


「……長らく効果が出ていないのは、どうしてなのかしら? こんなに面倒な人の対応、進んでやりたくはないわよね……? ……私、何か間違ってるのかな……」


 今度レイシェ辺りに相談してみよう、と考えつつ、リウは机にスマホを置いた。

 反抗はしたものの、あそこまで言われてなおやるつもりはない。

 リアが嫌がるのなら尚更だ。


「……連絡は、しておいたし。後は返事が来るのを待つだけね……はぁ……」


 やることも無くなってしまって、リウが溜息を吐いた。

 仕方が無いのでリウが勉強をしようとした時、コンコンと扉がノックされる。


「お姉さま、お姉さま。お母様が帰ってきましたよ!」

「あら? こんな時間に……? 何かあったのかしら……」


 少し心配そうにしながらリウが部屋の外に出ると、リビングにリーベがいた。

 リウは小走りでリーベに近寄ると、緩くお辞儀をする。


「おかえりなさい、お母様。この時間に帰ってくるのは珍しいですね。何かあったんですか?」

「ふふ……ええ、ただいまリウちゃん。何か問題があったわけじゃないのよ、ただ……後はもう家でできることだけだったから帰ってきただけなの。それに、リアちゃんとリウちゃんともお話したかったから!」

「私たちと……? ……リア……わ、私たち、何かしてしまったかしら……!?」


 顔を青くしてそんなことを言うリウに、リアは苦笑いした。

 こんなことは珍しいので、リウは自分たちが何か悪いことをしてしまったかと不安になってしまったらしい。


「そんなわけないでしょう、お姉さま。……お母様、お話というのは……学園に関する事でしょうか?」

「ええ、その通りよ。リアちゃんは中等部最後の年だし、リウちゃんは高等部に上がったわ。どこかのタイミングで話を聞きたいと思っていたのだけれど、今まで逃してしまっていてね。でも、やっと時間を取れたから、お話を聞かせて頂戴。それからついでに、学園祭についても!」

「……お母様……本題は、学園祭についてですね……」

「ふふ……何のことかしら?」


 リーベの誤魔化す気のない言葉に、リウとリアは顔を見合わせて、困ったように微笑んだ。

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