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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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1203/1213

ifストーリー 楽しい学園生活㉝

 リウはリアのために紅茶を淹れ、素早く戻ってきてニコニコしていたリアに差し出した。

 リアは早速紅茶を口に運ぶと、嬉しそうに頬を緩める。


「やっぱり、お姉さまの淹れた紅茶はとっても美味しいです……ふぅ。……リビングでお勉強なんて、珍しいですね。もしかして、私のことを待っていたんですか?」

「ええ。少しお話がしたくて……今、大丈夫? お友達と遊ぶ約束とかがあるなら、そっちを優先して大丈夫よ」

「今日は大丈夫です。遊ぶ約束は明日なので!」

「ふふ……そうなのね、それは明日が待ち遠しいでしょうね……それなら、ちょっと聞きたいことがあるのだけれど。学園のことでね」


 リウの言葉にリアが首を傾げると、リウはそっとその頭を撫でた。

 幸せそうに、ゆるゆるな表情になるリアが可愛くて目を細めつつ、リウは用件を口にする。


「中等部では、学園祭の準備ってどうなっているか知っているかしら? 高等部ではちょっと遅れてて……」

「うーん……遅れているどうかは……わからないです。でも、実行委員の子が大変そうにしているのは見たので……」

「そうよね。やっぱり……実行委員になったことがないからわからなかったけれど……学園祭が合同なら、どちらも遅れているということになるのよね……? ……じゃあ、中等部も巻き込めるかも。先に進んでいないのであれば、中等部もまだ何も決まっていないはずよね」


 ぶつぶつと独り言を呟き始めたリウに、リアが首を傾げた。

 学園祭の準備の状況について聞きたかった、というとはわかったが、それ以外はよくわからない。


「……お姉さま?」

「あっ……ご、ごめんね、リア。置いてけぼりにしてしまって……ええとね、学園祭の案出しだけ、ちょっと手伝っているの。それで……全てのクラスが合同で出し物をすれば面白いと思って。中等部も巻き込めたら、もっと規模を大きくできるでしょう? ……まだ、私の案が採用されるかどうかもわからないけれど」

「……えっと……気が早いと思います。……でも……そうですね、お姉さまの案は素敵です! 色んなものを楽しめるのもいいですが、合同で大きなことをするのも楽しそうですよね!」

「ええ、そうでしょう! ふふん、リアならわかってくれると思っていたわ! だからね、何をしておくかの構想もある程度練っておこうと思って――」

「気が早いと思います」


 じとりとした目付きで言われてしまい、リウが肩を落とした。

 するとリアは、可愛い姉を落ち込ませてしまった、と慌ててフォローを入れ始める。


「あのっ! ダメと言っているわけではなくて、むしろ事前に色々準備をしておくのはいいと思います……! ……ただ……お姉さまは、何も言わなくても折角準備をしたのに採用されなかったら、落ち込んでしまうでしょう。それなら、採用されてから準備した方が絶対にいいですし、気が早いなぁと……」

「……私の案が採用されない前提?」


 とても面倒なことを言い出したリウに、リアは曖昧に微笑んだ。

 じゃれつき半分なのだろうが、ちょっと拗ねている。


「あっ、誤魔化したい時の顔してる! 酷いわリア、お姉さまが悲しんでいるのに慰めてくれないの?」

「ふふっ……はい、慰めてあげません」

「……はぁ。小さい時のリアは、すぐに信じて、可愛い顔をしておねえさまだいじょうぶ? って聞いてくれたのに……」

「い、いつの話ですか。騙されてたのなんて、ずっと前ですよ……どうしてまだ覚えて……」

「決まっているでしょう、お姉さまだからよ。……話は変わるけれど……学園祭、ヴェルジアは来るの?」


 リウがそう質問してみると、リアがびくりと肩を震わせた。

 そして、両手の指を絡め、目を逸らしながらリアは答える。


「その……来てくれる、そうです。……恋人だってわかるような言動や行動は、禁止みたいですけど……」

「それは……そうでしょうね。そんなことをすれば、リアの評判にも影響が出るでしょうし。ヴェルジアもあなたのことを思ってそう言ったのでしょう。ちゃんと言うことを聞くのよ? 楽しくなって、ついくっつきすぎないようにね」

「は、はい。……でも、その……ヴェルジアさんは……親戚に対する距離感と誤魔化せる程度なら、近くてもいいって……」

「親戚……とても仲がいいという前提があれば、手を繋ぐくらいならいけるかしら……?」

「ね、年齢的にも、ちょっと年上のお兄さん……くらいですし……! ……手を繋いで、歩けるでしょうか……」


 不安と期待が綯い交ぜになった表情のリアに、リウは笑ってその頭を撫でた。

 その年齢差から、二人は学園内を一緒に歩いたことはない。

 だからリアは、ヴェルジアと手を繋いで学園を案内したいのだろう。


「きっと大丈夫よ。私の目の届く場所なら、私もフォローは入れるわ。ヴェルジアと親戚、という体でね。……でも、はしゃぎすぎちゃダメよ?」

「わ、わかっています……! が、学園祭って……制服でしたっけ……オシャレとか……」

「学園祭は……その……特別なクラスTシャツ、というか……ね?」

「ああぁ……せめて、せめて着ていて恥ずかしくないデザインで……!!」


 少なくとも服装の方ではオシャレができそうになくて、リアがぷるぷると震えながら着ていて恥ずかしくないデザインになるよう祈った。

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