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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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ifストーリー 楽しい学園生活㉜

 リウの自宅の玄関前にて。

 結局ここまで着いてくることに成功したレインが、とても嬉しそうにニコニコしていた。


「……何なの?」

「リウって甘いよね。ストーカーだ、嫌いだ、来るな……って言うのに、無理矢理やめさせたりはしないんだから」

「やめさせられるならとっくにやめさせているわ。甘いんじゃなくて諦めているの。一応、今のところあなたの私に対する加害性は……私があなたに向ける感情故の、精神的なものを除けば……っ、ほとんど、皆無に等しいから……!」

「……除いていいものじゃなくない? というか、僕には口だけの抵抗しか聞いた覚えがないんだけど……やめさせようとしてたの……?」

「気付いてすらいない……!?」


 リウが思わず開いてしまった口を手で覆い、とても衝撃を受けた様子で目を見開いた。

 気付いていなかっただけで何かされていたらしい、とレインが少し不思議に思いながら首を傾げる。


「全然気付いてないんだけど……何したの?」

「ストーカーがどれだけ不愉快なものか経験してもらおうと思って、頑張ったのに……」

「えっ」

「一生懸命、尾行したのに……」

「かわいい……じゃなくて、そんなことしてたの? 全然気付かなかったよ?」

「うん、した……」


 しょんぼりしながら肯定するリウに、レインは口を閉ざした。

 嫌いなくせに気付かれなかったことにしょんぼりはするらしいリウが、可愛くて仕方がなかったので。

 当然、仕草も可愛すぎるので、レインは少し目を逸らして言う。


「……たぶん、僕よりストーカーの才能あるんじゃないかな……」

「嬉しくない」

「もっと付き纏ってほしい。幸せな気持ちになるから」

「ふんっ、あなたは色んな人たちに好かれているじゃない。その子たちにお願いしたら? 熱狂的だから、きっと応えてくれるわよ」

「リウじゃないと意味ないよ……あいつら顔と地位目当てだし」

「……外でそんな言い草をするのはやめなさい。とにかく……私、ちゃんとやめさせようとはしているんだから。言いがかりはやめて。……また明日ね」


 なんだかんだまた明日は言ってくれるリウに、甘いというのは言いがかりじゃない気がするけど、とは思いつつレインはくるりと踵を返した。

 元々本当に、リウが一人だったから着いてきただけなのだ。

 もちろん、私欲が無いとは言わないが。


「……リウがストーカーなんて……いつしてたんだろ」


 結局わからなかったところにレインは一言呟いて、自分の家へと向かった。



 ――それを、家の窓から確認していたリウはふうっと息を吐き出す。

 レインなら何をしでかしてもおかしくないから、家の中から警戒していたのである。

 帰ったことも確認したので、リウは鞄を部屋に置き、そのままソファーに座ってスマホを手にする。


「えっと……あの子の連絡先……連絡先…………あったっ。連絡を入れておいて……これでよし。後は……」


 タンタンタン、とリウはスマホを操作して、少し調べ物をする。

 学園全体で出し物を統一し、合同で作り上げた事例を探しておこうと思ったのだ。

 参考になりそうな資料でもあれば、内容を詰めるのにも役立つだろう。

 採用されるかどうかはまだ先の話だが、事前に調べておくのは悪いことではない。


「……ふむ……あの学園では、いくつかのクラスが合同で出し物を完成させた事例こそあるけれど……全体で、というのはないのね。別のところだと……結構ある。これは……ハロウィンでおばけ屋敷に改造……謎解き屋敷に、……で、デスゲーム会場……? ……学園全体を使うとなると、やっぱりアトラクションみたいな感じになるのね。ふむふむ……」


 やるとしたらやっぱりそういう方向性の方がやりやすいかな、とリウが苦笑いした。

 学園全体を使ってレストランをしても仕方が無い。

 というか、合同である意味がなくなってしまうだろう。

 なら、こういった全体をくまなく活用できるようなものの方がいいのだろう。


「……さて、確か今日は……リアは、遅くはないはず。えっと……そう、お友達とゆっくり話をしながら帰ってくるって……普段に比べれば、ほんの少しだけ遅くなるかもしれないって話していたわね。……中等部、巻き込めるかしら?」


 リウはそう呟くと、教科書とノート、筆箱を持って部屋から出る。

 少しリアと話がしたいので、部屋ではなくリビングで勉強をしようと思ったのだ。


 暇潰しも兼ねてリウが静かに勉強をしていると、玄関の扉が開く音がした。

 帰ってきた、とリウが頬を緩め、ちらりと玄関の方に視線を向けてみる。


「お姉さまっ、ただいま戻りました!」

「おかえりなさい、リア。カバンをお部屋に置いていらっしゃい。飲み物を用意しておくわね」

「はい! じゃあ、お姉さまの淹れた紅茶を飲みたいです! お砂糖は……いつも通りで!」

「ええ、わかったわ。……紅茶はすぐにできないから、急ぎすぎて転ばないようにね」

「はーい! 急ぎすぎないように、気を付けてすぐに置いてきますね!」


 忙しなく走っていくリアに苦笑いし、リウは立ち上がって紅茶を淹れ始めた。

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