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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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リアとヴェルジアの結婚式⑳

 そんなこんなで、時間も過ぎ。

 リアとヴェルジアの挨拶回りが終わると、二人は会場の一番前に立った。

 そして、リアが楽しそうな満面の笑みを浮かべ、言う。


「みなさま、多くの祝福をありがとうございました。とても、とても嬉しいです。……この日のことは、きっと永遠に忘れません……ですが、思うのです。これだけでは足りない、と」

「ふふ……そうだね。どれだけ幸せで、忘れがたくても……記憶に永遠の保証なんて無い。時間の経過によって記憶が薄れることだってあり得るし、何らかの事故による記憶喪失なんてこともあり得る。だから……今日の思い出を、ちゃんと、いつでも見返せるよう、物として残そう。僕とリアは、話し合ってそう決めたんだ」

「ですので、写真を撮ります! 今日の思い出がぎゅっと詰まった写真を、たくさん! ……実はもう既に少し撮らせてもらいました! ごめんなさい、堪えられなくて……!」


 リアは申し訳なさそうにそう白状し、ぺこりと頭を下げた。

 しかし、次の瞬間には楽しそうな笑顔に戻っていて、リアはヴェルジアにくっついてにへらと微笑む。


「……うん、いい写真。こんな感じで撮るから、とりあえず集まって。先ずは集合写真撮ろう。あ、もちろん撮った写真は配るから。はい、じゃあ集まって」


 ヴェルジアが集まるよう呼び掛けると、少しずつ二人の周りに人が集まってきた。

 しかし、リアはきょろきょろと周囲を見回すと、大好きな姉がいないことに気付いて表情を険しくする。

 あの姉ときたら、もしや変な気遣いでも発揮してどこかに姿を隠したのか、と。


「……ヴェルジア、お姉さまがいません。まだ天界にいるはずです、連行しましょう」

「連行って……過激だなぁ。……ええと……ああ、お化粧とか直してるみたいだよ。魔法も使って急いでくれてるみたいだから、ちょっと待とうか。……ふふ、写真を残すって聞いたから、しっかり準備したいみたいだね。だからって何も言わずに消えなくてもいいとは思うけど……焦ってたのかな。……リアは大丈夫? どこか気になるところがあれば、直してきて大丈夫だよ?」


 ヴェルジアがそう訊ねると、リアはふるふると首を横に振って大丈夫だと伝えた。

 しかし、すぐに〝あ〟とだけ声を零すと、軽く爪先立ちになって指先でヴェルジアの前髪を整える。

 少しだけ、髪型が崩れているようだ。

 リアは丁寧にヴェルジアの前髪を直し、満足するとにっこりと微笑む。


「……ごめん、気付かなかった……」

「ヴェルジアったら、仕方のない人ですね。他に乱れているところはありませんから、大丈夫ですよ。それに、よく見ないと気付かない程度ですから。きっと誰にも気付かれていません」

「そ、そう? それなら良かったけど……リアは僕のことを注視してたってこと――痛っ、や、やめて、抓らないで……ごめん、謝るから……怒らないで……」

「怒ってなんていません。……あっ、お姉さま!」


 指摘されたくないことを指摘され、拗ねていたリアが大好きな姉の姿を見つけて駆け寄った。

 そして、嬉しそうにその手を取ると、ぐいぐいと人混みの中へと引きずり込んでいく。


「お姉さま、こちらです! 隣で写りましょう!」

「え、ええっ……? 隣はヴェルジアの場所……反対だとしても、そこはリテア辺りがいるべき場所ではないかしら……!?」

「リテアは私たちの間にいますから、空いていますよ! それに、お父様とお母様は私のすぐ後ろにいらっしゃるんです、お姉さまも一緒じゃないと寂しいではないですか! ですから、お姉さまに拒否権はありません!」

「……わ、わかったから、拒否なんてしないから、引き摺らないで……ちゃんと付いて行くから……うぅ、一番前に居るつもりなんてなかったのに……端っこか、後ろに居られれば……それで……」


 リウが少しぷるぷるしながらそんなことを呟き、しかし少しすると、しょうがないなぁとばかりに苦笑いしてリアの隣に立った。

 まぁ、折角お化粧も直したのだし、過度に嫌がることもないだろう、と。


「みなさま、写真撮影の準備が整いました! 笑ってくださいね! ……お姉さまも、ほら!」

「もう……そんなに動き回ってはいけないでしょう。じっとしなさい。ああ、それと……もっとヴェルジアの方に寄って」


 リウがそう言うと、軽くリアをヴェルジアの方に押した。

 そうして微笑むと、無事に写真が撮られ――その中心には、ヴェルジアにもたれかかってはにかむリアの姿があった。

 この密集状態では狭いので、リウは少し離れてから、ヴェルジアに向かってウィンクをしてみせる。

 すると、ヴェルジアはリウに近付いてきて、真顔で言った。


「リウって……天才? 流石お義姉さま……毎日寝る前に眺めるね……! ありがとう……!!」

「そんなに大喜びすると、リアがまた拗ねてしまうわよ? ……あの子も……恥ずかしくて、中々踏み出せずにいたみたいだから。ちょっと背中を押しただけ。……あんなにそわそわして、お姉さまが気付かないとでも思っていたのかしらね?」

「……そんなそわそわしてたの? 全然気付かなかった……」

「ふふん……私はあの子のお姉さまよ。お姉さまの観察眼を舐めてはいけないわ」


 リウは誇らしげにそう笑い、胸を張った。

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