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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう

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研究発表

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数時間後、リウは未だにレアに水魔法の応用を教えていた。

リアが来ることなど綺麗さっぱり忘れている。


「……お姉さま」


じっとりとした瞳でリウのことを見つめながらリアがリウのことを呼んだ。

ビクリと肩を震わせるリウ。


「あ……り、リア、来たのね」

「……もしかして、一歩もベッドから出ていませんか」

「え、えーっとぉ……」

「はぁ。まぁいいです。レアちゃんも、そろそろお家に帰らないと家族が心配するんじゃないですか?」


諦め混じりに溜め息を吐き、リアが心配そうにレアのことを見た。

しかし、レアはあっけらかんと告げる。


「あ、いえ。お城に行くとは伝えてありますし、私がリウ様のお部屋や執務室に入り浸るのはいつものことなので」

「そうなんですか?」

「はい! これでもリウ様の補佐をしてますからね!」

「……お姉さま、こんな小さな女の子に仕事をさせるなんて……」


リアから責めるような瞳を向けられてリウがたじろいだ。

そして、弁明をしようと口を開く。


「ご、誤解よリア! 違うのっ! 一番忙しかった時期……グアルディアを広告塔にして国の宣伝をしたときに、レアが自主的にやり始めたの! 止めても聞かなかったから忙しい時期だけお手伝いさんとしてって思って! でも、落ち着いてきてやめるようには言ったけどなんかレアの立場が定着してやめさせようにもやめさせられなくて……!」

「わ、分かりましたから! レアちゃんが自分でやり出したんですね! 分かりました!」


涙目になってリアに詰め寄りながら弁明したリウに向かってリアが慌てて分かったと告げた。

リアがリウの手を取り、優しく微笑む。


「お姉さま、お祭りって今日までですよね。一緒に観光しましょう? 夜会も今日は参加しなくてもいいんですよね?」

「行く」


リウが即答した。

リアが苦笑いし、レアに視線を向ける。


「よかったらレアちゃんもどうですか? なんか、色々やってるらしいですよ」


リアに誘われたレアは首を振って小さく微笑んだ。


「いえ、遠慮しておきます。姉妹水入らずで楽しんできて下さい。私はお父様とお母様と一緒に楽しむので!」

「あら、そうですか? 気を遣わせちゃいましたね。でも、家族で楽しむのならよかったです」

「気にしないで下さい! お二人共行ってらっしゃいませ!」

「ええ、行ってくるわ。レアも楽しんでね」

「それぞれ楽しみましょうね!」

「はーい!」


リウとリアが城下町へと向かった。



最初に二人が向かったのは、研究班による研究の成果の発表。

その内容は、魔方陣についてだった。

魔方陣とは、魔法を発動するために必要なもの――一般の知識で言えばそんなものだ。

発動できればそれでいいと言う者もきっと居る。

だが、それでも彼ら研究班は魔方陣の研究を進めたのだった。


「魔方陣の研究をすることに決めた私たちは我等が女王陛下、リウ様から〝魔方陣の解読から進めた方がいい〟という助言を賜り、助言通りに魔方陣の解読を進めました。とはいえ、最初は私たちも魔方陣の解読と言われてもピンと来ていませんでした。しかし、リウ様が仰るのだから解読することが可能なのだろうと魔方陣を眺めていると、違う魔法の魔方陣に共通した模様があることに気付きました。ここで、私たちはリウ様の言葉を理解したのです。この模様一つ一つに、ちゃんとした意味があるのだと! だから、リウ様は解読をと仰ったのです!」


そこで、一人の男性が巨大な紙を三枚持ってきた。

それを風魔法で浮かせ、発表をしていた男が再び口を開く。


「この紙に描かれているのは〝水球(ウォーターボール)〟と〝水刃(ウォーターカッター)〟の魔方陣です。そして、ここ。拡大した紙があるのでそっちを見て下さいね」


中心らへんを指差してから男が二枚目の紙を指差し、魔方陣の中心辺りを注目させた。

二つの魔方陣を見比べると、確かに同じ模様が描かれている。


「同じ模様が描かれているでしょう! 私たちはこの模様は水、または水属性という意味を持つのではないかと考えました。そして、その確証を得るために行ったのが他属性との比較です。こちらは〝火球(ファイアーボール)〟の魔方陣です。水球(ウォーターボール)の火属性バージョンですね。こちらは中心の模様が違います。つまり、この模様は水属性という意味になります。研究を続けていく内に分かったのが、この中心の模様は属性を意味するということ。他にも判明していることはありますが、今回はここら辺で終わりとしておきましょう。先が気になる方は奥へ。もっと詳しく話させていただきます。ただし、奥での説明では専門用語などが出てきますので、ご注意下さい」


そう言って男は立ち去っていった。

会場から去っていったり奥へ向かったりする人々を眺めつつ、感心したようにリウが呟く。


「事前に軽く確認したけれど、凄いわねぇ。というか、手探りなのによくここまで分かったわね。あれ以来助言してないのに」

「そうなんですか、凄いですね!」


研究発表の感想を言い合いつつ、二人は会場から出ていった。

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