第93話.除去
「これは井戸かな」
「あぁ、掘り井戸さ。彼奴らに岩塩で埋められたんだ」
「これなら何とかなるかもな」
「ほ、ほんとうか?!」
「ん、んじゃ、やってみますかね、じゃティファ」
『はい。転送! 井戸¥岩塩 エステリア¥上空』
この日、エステリア王国の広範囲で岩塩が降る騒ぎがあった。
「おお、消えた」
「これで岩塩は取り除けたけど、あれだね、塩分が地中に染みてるね、これ」
「じゃぁ、飲み水としては…使えないのかい?」
「いや、構成を知っていれば、浄化で行けると思うんだが、ティファやってみてくれないか」
『対象は如何しますか?』
「そうだなぁ、まずは塩素化合物は除去しようか、NaClとKClの二種類だな、あとはFeにKdにSくらいかな」
『範囲はどうしましょうか』
「ネキツさん、真水が飲める範囲はどこまで?」
「えっと…」
『地図ならここに』
「これは、なんと正確な絵じゃないか、ここシズタミ全区域が載ってるのか…」
「線引いていいから、大体の範囲でいいから教えてよ」
「わ、分かった…。(これが他所に流れたら、シズタミは終わりだ…)」
「これで良いかい?」
「あぁ、大丈夫だろう、ティファ頼む」
『承知しました。……………!浄化!!」
町のほぼ全域が白い光を放ったかと思うと、次第に光が弱まっていき消えた。
『終わりました』
「ありがとう、ティファ」
「これで、飲めるようになったさ?」
「それは、以前の状態が分からないから、俺からは何とも言えない。ここの住人に試飲してもらう他はない」
「それじゃ、お前達、この記しの場所の水を汲んで来ておくれ」
「「「「はい」」」」
「ここの水は、わしが飲んで見るか……。コクコク……」
「どうだ?」
「旨い!、前よりまろやかになってるではないか!」
『恐らく鉄分を除いたのが影響かと』
「そっか、当面はこの水質が維持されると思うよ」
「ありがとう!!」
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「他の井戸も大丈夫だ、井戸水の使用制限を解除するよ!!」
「「「おおおおお」」」
ストック切れと体調不良により投稿ペースが落ちます。
時々お伝えしていますが不定期更新です。