第76話.使者誤入
国王より、東にある旧サンラ領を不当に占拠している団体がいると聞かされた。
しかし、その団体から先日、初代王妃の母君のものとされる石棺が運び込まれた。
だが国王は相手に無礼を振る舞う暴君と化してしまった。
直ちに旧サンラ領からの撤退を求めるという書簡を預り、もし要求飲まなければ国を挙げての戦いになるという。
「なぁ、これって宣戦布告になるんじゃないか?」
俺は仲間のダイナに聞いた。
「あ?、そうだとしても王命だから、俺たちゃやらにゃいかんっしょ、タジルよ」
「だがなぁ…」
「それにな、気付いてたか知らんけど、ここに集められたんは、どうも、95年前にサンラを捨ててきた領民の家系っぽいぞ」
「まじか…、というか同じ区の住人だから、薄々は思ってたが、サンラ繋がりだったか…」
95年も放っておいた土地に誰が住もうが良いじゃないか。
良好な関係を築けない王国が悪いんだろうよ。
「さてと、行きますか」
「だな」
「「「おおう」」」
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95年前に滅んだサンラと王国を結ぶ街道…
「なぁ、流通などが無かった割には、街道の状態良くね?」
「だな…、観測班によれば魔物も減っているという話だが」
「もし、要求を飲まなかったらどうする?」
「だよなぁ、非武装とはいえ敵になるんだもんなぁ」
「敵よりも、王国にも帰った時がやばいんじゃないだろうか」
「俺たち下っぱを使うくらいだもんな、決裂させたお前らが悪いと切ってくるかもな」
最悪じゃねーか
「亡命していいかな…」
「やったらやったで、残った家族や仲間がどうなることか…」
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「おい、なんか立て札があるぞ」
「ん?あぁ本当だ、何々?」
── ここよりサンラ自治領、入領税は以下の通り。
・エステリア王国関係者
一人 1000Eny
馬一頭 100Eny
馬車一台 100Eny
・上記以外
一人 10Eny
馬一頭 1Eny
馬車一台 1Eny
「おい、王国関係者だけ100倍ってなんだ、俺たち20人居るぞ?、2万Enyってぼったくってないか」
「まて、まだ書いてある」
── なお、サンラ自治領では新規の貨幣を発行した、これをサンラEnyと呼び、交換レートは、サンラEny1に対してエステリア通貨Eny5とする。
「待て待て、え?何だこれ、聞いてねーよ。これあれか?、入領税だけで20人10万Enyになるのか?」
「払えねーよ、無視だ無視」
「無視して進むぞ!」
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- 『スグル殿、例の使者が領内に侵入しました』
「侵入?」
- 『はい。入領税を無視する模様ですので来客扱いにはしません』
「これは、俺が出向いた方が良いのか…、いや、レギルさん任せた」
「スグル殿そりゃないぞ、一緒に、な?」
∽∽∽∽∽
「おいおい、こりゃ最近占拠したとか、そんなんじゃ無いぞ、なんだよこの街の外壁は…」
「十数年じゃ利かないな…」
「どちら様で?」
「ん?、門番か、俺たちはエステリア王国から、国王の遣いで来たんだが、ここの代表に会わせてもらえるかな」
「それでは…、えーと、まずは入領手続きと致しまして20名に馬車が4台、馬が8頭ですので、21200Enyとなります。あ、お支払がエステリア通貨の場合は、申し訳ございませんが10万6千Enyです。」
「このふざけた入領税は誰が決めたんだ?」
「ふざけたも何も、ここサンラ自治領が定めた物となります故、従われない場合はお帰りください」
「誰の許可を得て決めたんだ?」
「誰、と申されましても、サンラ自治領にて取り決めしたことですから他国の干渉は受け入れませんよ?」
「そもそも、ここはエステリア王国の物で、おまえらが勝手に占拠しているんだろ?、いいから早く代表に会わせろ!」
「?、可笑しな事を申されますな、我々は少なくとも95年前から此処に暮らしてておりますぞ。たしか王国では土地の利用に際して、他者の所有であっても30年間所有の意思を示さなかった場会、現行の利用者に所有権が移るとされておりますな。過去95年間、誰も王国から所有権を主張する話は来て無いのですよ」
「そりゃ、自分の国の土地に住んでる者達に言うわけないだろう」
「でも、放棄したのは事実だよね」
「あ、スグル殿、と、レギル様」
「なんだお前たちは」
「私が、ここの代表であるレギル・ファルモア、こちらが相談役のスグル殿だ。君たちは何の用かね?」
「お、俺たちは、エステリア王国国王の遣いで来た」
「国王の遣い?…、にしては、王国や国王の関係者を示す物が掲示されておりませんが、本当に遣いの方なのですか?」
「そんなのはどうでも良い!、これを渡し内容に従えとのことだ」
封蝋付きの書簡を渡してくる
「受け取りは出来かねますな」
「なっ、そんなことをしたら」
「戦争だーって言うの?」
「話はそれだけですかな?」
「ちっ、あとは岩塩の買い取りを要求する!」
「取引に舌打ちって、何なんだい君たちは」
「五月蝿い!、この馬車に積んできた岩塩を以前みたいに売ってやると言ってんだよ」
「塩は間に合ってます」
「そんな筈は無いだろ、95年も取…引………」
「どうした?、95年も取引していないのに今さら売ると言われてもな」
「(タジルよ、ここは退いた方が良くないか)」
「(ここまで虚仮にされて引き下がれるか)」
「なぁ、二人でこそこそ話をしてないで、聞いてくれよ」
「「な、何だ」」
「まずは、王国とは取引はしない。戦争だと言うならば受けて立つ。以上。あー、あと、これがサンラ自治領の新しい貨幣だ、記念に1セットあげるよ」
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