第74話.貨幣
「それじゃエステリア王国を経済破綻させようか」
「スグル殿、いくら何でもそれは…」
「はははは、まぁ、置いといて、まず初めは塩で行けるかな」
「置いとくのですか…、後々やっちゃうんですね?……。塩ならばまずは、シズタミと交渉せねばなりませんぞ?」
「レシカさんが、まだ交渉材料を持ってれば良いけど」
「確か私が預かっていた…、えーっと、お、あったあった。これだと思うがどうだろうか」
「ふむ〝シズタミ産 海塩 取引覚書〟か。なるほど…」
「シズタミも中々だ。取引前に精製塩の濃さを確かめて、必要量を発注するように、と書いてある」
「実際は濃さを確かめたのか?」
「いや、まだだ。推定では拳大の岩塩の20倍程度と見込んでいるんだが、ただ…」
「ただ?」
「シズタミで検証したときは、精製後は親指の先程度しか残らなかったと、これには書いてある」
「それ、もう塩の岩じゃなくて、塩の味がする岩だよね、毎日岩を砕いて食ってたの?」
「岩、そうだな、岩…だな……」
「この覚書の効力は?」
「期限や制限などは無さそうだが、向こうがどう認識するかによるが…」
「よし、んじゃシズタミで交渉して塩の購入だな」
「だが支払いはどうするんだ?」
「そうだな、新しく貨幣を作ろう!」
「サンラ領にはそんな余裕も設備もないぞ?、しかも、周辺国では貨幣が統一化されているのではないか?」
「でも、ここから東側には及んでいないんでしょ?」
「確かにそうだが、新たな貨幣が認知されなければ意味は無いのではないか?」
「まぁ、そこは徐々にということで。これが俺が居た国の貨幣だ」
「こ、これですか?!」
硬貨:1円、5円、10円、50円、100円、500円
紙幣:1000円、2000円、5000円、10000円
「どう?」
「高額な物は、これは紙ですか?」
「あぁ、こうやって光に翳すと…」
「おお、人物の顔が現れましたぞ」
「これは“透かし”というものなんだ」
「スグル殿の国は凄いんですな、しかしこのような細かい模様など描けないぞ」
「ここまで細かいものは作らないさ、それに初めは大量に作らないといけないからね」
「大量にと言っても…」
「ギルドに転写する機械が有ったよね、あれを改造してさ紙幣を5万枚作ろう」
「スグル殿よ、それだと誰でも作れてしまうんじゃないか?」
「そこで製法を秘匿し、真偽の確認に魔法を組み合わせれば良いんじゃないか」
「なるほど、魔力は確か、魔紋があると言ってたな」
「硬貨もそれぞれ1万枚だな」
「お任せするよ」
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