第71話.保護
「すみませーん、どなたか居ますかー?」
・・・・・・
コンコン
「すみませーん」
スススススっと引き戸少し動き、女の子が顔を覗かせる。
「…誰?」
「やぁ、僕はここの土地の持ち主なんだけど、ちょっと良いかな」
ピシャッ
「あ」
コンコン
またもやスススススっと引き戸が動き
「何の用ですか」
「えーとね、お父さんかお母さんは居るかな?」
「居ません」
「買い物にでも行ってるのかな?」
「コホッコホッ、おねえちゃん、だれかきたの?」
「寝てなきゃダメでしょ」
「うん…、でも、さっきおとうさんかおかあさんって…、コホッコホッ」
「妹さん風邪か何かですか?」
「分からない、あと、あなた土地の持ち主って言ってたよね、こっちは他に行く宛も無いの…。衛兵につき出すのは待って、妹が治るまではここに…」
「ティファ」
『はい』
「あのっ、何でもs」
「ストップ!、安易に何でもしますなんて言っちゃダメだ」
「だったらどうすれば…、他に行くとこ無いのに……」
「あー、泣くな泣くな、行くところがないなら面倒みてやっても良いぞ」
「…何が目的なんですか!?」
「んー、お手伝いしてくれれば良いや」
「本当にそれだけで?」
「あぁ、そこに領主のレギルさんも居るし、証人はバッチリでしょ」
「…」
「それよりもだ、妹さんとついでにお前も診てもらえ」
「私はいいから」
「いや、二人一緒に!。ティファ、あのときレシカさん達を診たように、この子たちも診てくれないか」
『分かりました』
突如として大きくなった異質な物が目の前にある
「わあああ、コホッコホッ、すごいねおねえちゃん!、コホッコホッ」
「こ、これは何?」
「これはな、移動できる病院だよ。さ、中に入って」
『どうぞ』
「ちょっと、待って、え?、そんな、お医者様に掛かるお金なんて無い」
「大丈夫だ、さ、ほら」
『お金のことなら大丈夫ですよ』
「レギルさん、あの子達、しばらく預かろうと思いますが、良いですか?」
「まぁ、スグル殿が構わないなら良いが、住居も出来ていないのに大丈夫かい?」
「この件、アテラさんが絡んでそうな気がしてならないんだ」
「旧街から改変時に漏れたことも有り得ると?」
「意図的、と言った方がしっくり来るかも」
「確かに。あの日はここに何も無かったのを確認してある。姉妹二人ではこの小屋も建てられないだろうからな」
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