第38話.決意
「スグル殿、中央、エステリアまで私を運んでくれぬか」
「どうされるんです?」
「金鉱扱う工業大臣に掛け合って融通してもらう」
「大丈夫なんですか?」
「実のところ、井戸に水があるからと楽観視してた私が悪いのだ。この命に変えても領民を守らねば」
「まぁまぁ、訴えに行って更迭されたら意味がありません。ここは一つだけ濾過機を作って貰えませんか?」
「一つだけで、何となると言うんだ!」
「話しは最後まで聞いてください、ティファなら物品を複製出来る」
「ふくせい?」
『えぇ、欲に目が眩むと使えなくなる魔法ではありますが』
「どうです?、濾過機を設置して病気の蔓延を防ぐというのは」
「た、頼む」
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「これが…濾過機、か?」
「えぇ、砂利や砂で濾した水をティファ特製の中空炭素繊維を通すことによってバクテリアまで除去してくれます。これで何と3年持ちます」
「さ、3年!?」
「お値段なんと、実費のみで100,000Eny」
「じ、実費のみで10万だと!?、工賃を入れたら…」
「街中には無理でしょ?、なのでサンラのみの仕様です。ティファ、これを共同井戸の数だけ複製してほしい」
『主、一つ確認です。』
「なんだい?」
『この濾過機は何のための複製するのですか?』
「ん?、共同井戸って言ったろ?」
『はい』
「中流以下の貧困区がある地区に共同井戸があるんだ。それも川に近い方にね」
『え?』
「この街の地下がどうなってるのかは分からないけど、一定のラインを越えると、地中で濾過が働いてるようで濾過機は要らないんだ」
『……』
「そ、そうなのか?」
「まぁレギルさんも知らないのは当然かも。任期制の領主の弊害かも知れないな。実は商業ギルドで天気の資料を貰うまでの空いた時間で、この街の土地取得について調べてみたんだ」
「土地を買うのか?」
「何時までもここに厄介になってられないからね。んで、共同井戸のある地区では新たな井戸掘りは禁止されていて、腹痛などの病気を起こしやすいとあったんだ。ただ、安全な地区含めて全体的に井戸の水は煮沸が推奨されていたな」
「なんと…」
「貧困区で煮沸が毎回行えるかというと、無理だよね?、水魔法で水を出せれば良いけど。」
『では主、これは慈善事業だと』
「まぁエゴかも知れないけどな、生きるために必要な水でも腹痛を起こす不安のある生活は減らしたいじゃない」
『承知しました。では共同井戸427基分の複製を行使します。』
「ちょ、ちょっと待て、427基だと?」
「えぇ、数が足りませんか?」
「違うんだ、私が把握している数は362基なんだ」
『数が65基違いますね』
「それって、多分、路地に面してある井戸の数だと思いますよ」
「え?」
「長屋、共同住宅みたいな所だと井戸を中心に造られたりしますから」
「そうか、外からじゃ分からない井戸もあると…」
「そういう事、なのでティファ続けて」
『畏まりました』




