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飛羽編ー3

3


ガルディアン第3支部基地管轄内ー廃都市ベツマデフ。


次の日の早朝、異空間の狭間から2体の侵略者アントリューズが同時に出現し、そのうち1体が、ガルディアン第3支部管轄内方面へ移動を開始した。


今回、襲来した侵略者アントリューズは、サイと闘牛、鳥類が融合した容姿を持ち、全身に鳥類のような羽毛をまとった2足歩行の侵略者アントリューズだ。


大きさはエグゼキュシオンよりも少し身長が高いが、侵略者アントリューズの中では通常サイズに該当する。


そんな侵略者アントリューズにガルディアンが与えたコードネームは『オレジネラ』。


オレジネラを討伐するため、出撃命令を受けたユノとサラリエの2人は、コックピットモニターでオレジネラの進行状況を常に確認し、廃都市ベツマデフで待ち受ける。


「前にシレディアとポストルが倒した侵略者アントリューズみたいに特殊能力とかあったら面倒ね」


ユノが懸念しているのは、ポストルやシレディアが討伐したシュヴァのように急所をついても死なず、復活する能力を備えているのではないかという点だ。


幾多の戦いを乗り越えてきたが、急所をついても死なない侵略者アントリューズを見たのは、ユノにとってもシュヴァが初めてだった。


異能を持つ個体は、過去に何度か地球に襲来し、人類に猛威を振るったが、シュヴァのような能力を持つ個体は初めてだった。


明らかに侵略者アントリューズの能力が飛躍的に高まり、想像もできなかった異能を備えた侵略者アントリューズがこの先も襲来する恐れが非常に高い。


「油断せず倒すわよ!」


「はい!足を引っ張らないよう頑張ります!」


通信回線を通して聞こえてきたサラリエの頼もしい言葉にユノは、自身の機体のコックピット内でクスっと笑う。


「さっさと倒して女子会しなきゃ!」


これから侵略者アントリューズとの戦いが控えているにも関わらず、緊張感のないユノらしい発言にサラリエの緊張が解れ、表情に少し明るさが戻る。


ユノは、自身の天真爛漫な性格を活かし、現状に悲観せず、できる限りの範囲で楽しみを見つけ、気分転換をしている。


半ば強引な時もあるが、ユノの楽しみに付き合わされているシレディアも彼女のお陰で嫌なことがあっても気分転換になっている。


「確か今日の夜にシレディア特尉と女子会なんですよね?」


他人事のように言葉を返してきたサラリエに対してユノは、コックピットの外にまで聞こえそうな声量で言葉を返す。


「サラリエも参加に決まってるでしょ!」


自分も女子会に参加とは一切聞かされていないサラリエは、目を丸くして驚きの表情を隠せない。


「わ、私もですか!?」


驚くサラリエに当然と言わんばかりの表情でユノが答える。


「当たり前でしょ!友達なんだから!」


ユノの口から初めて『友達』と言われたサラリエの瞳が、驚きと嬉しさから光り輝く。


サラリエは、人工適合者や疑似人工適合者に対して差別別意識が全くなく、ユノにとって親しみやすい貴重な存在だ。


当初ユノは、サラリエが名家の娘ということで、人工適合者や疑似人工適合者に苦手意識や差別意識を抱いているのではないかと不安視していた。


しかし、その不安とは裏腹に堅苦しい部分も多々あるが、サラリエの方から声をかけてくれたりと親しみやすい。


「あと!今日の女子会で私の予備のスーツあげるから今度からそれを着て出撃ね!」


「えっ!?そ、そ、それは流石に」


「大丈夫!私とサラリエの身長とか同じくらいだし!3人でお揃いしよう!」


「そ、そういう話ではなく」


サラリエが気にしているのは、新兵である自分がシレディアやユノとお揃いのパイロットスーツを上の許可なく着ていいのかということ。


個人的に着るならまだしも出撃時となれば周りの目にも入るだろうし、視線の的になるのがサラリエには恥ずかしい。


「きっと似合うだろうなー」


「だからその……っ!?」


「来たね!」


和やかな雰囲気を壊すように討伐対象のオレジネラが、コンクリートの地面を踏み潰し、喉を鳴らしながら接近してくる。


排除対象である2機を肉眼で確認したオレジネラは、腹の底から空気を出し、天に咆哮をとどろかせ、やる気十分な様子だ。


「いくわよ!」


「はい!」


ユノの言葉を合図に2機のエグゼキュシオンが同時に動き出し、討伐対象のオレジネラへ立ち向かう。

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