4.泥酔の先に異世界があった。
どさっ。
次元がゆがむって、こんな感じなのだろうか。
視界がゆらぎ、モワモワっとなると、浮遊感のようなものに襲われたかと思った瞬間、強い力で引っ張られ体がキューと伸ばされるような感覚に、もう無理っと思った瞬間、俺は急にものすごい力で頭を押さえつけられているような重力を感じ、気づいたらどさっと落ちたような衝撃を受けた。
「うわっ!!! なっ、なんなんだ。」
強い光で目がくらんで視界がぼやける。
あれだけの衝撃を受けたのに、体に痛みはない。
「ようこそ! トキョへ!!」
顔をあげる。
「ああ、精霊さん、君は平気なんだね。」
「ああ! 言ってませんでしたね。 次元酔いしちゃいましたか? 気持ち悪いですか?」
「ん~うん? 次元酔いか、、 大丈夫なのかな? 今は気持ち悪くないけど。」
「大丈夫そうですね~。 これも、すぐになれますよ!」
赤、青、オレンジ、ピンク、、、
頭と視界がしっかりしてきた。
パステルカラーとビビッドな色が混同している、鮮やかな、虹色の建物が、、
町並みは、どこか見覚えのる、俺のアパートの近所と同じ、、
でも、明らかにちがう。 建物の色、道路の色、、、
そして、何より、空の色が、、、なんだ、、、、
「うわっ! すっ、すげー! 空が、虹色だ!!」
「ふふふっ。 綺麗でしょ~。 トキョのほうが可愛いですよね~!」
ファンタジーだよ!! おおお!!!! ファンタジーだぜ!
「た、な、か さ~ん。 もしかして、感動ですか~? 」
「おおっ。 すごいな。 」
これは、感動するだろ! 数千円払っていくテーマパークのクオリティをはるかに超えてる!
「では、行きましょう!」
「お、おう! そうだな。 って、どこに?」
「どこに? って、安定した就職先に出会いにですよ~。」
「??」
「あ~。 いちいち面倒くさい人ですね。 いいから付いて来てください!」
そうだった! これは、夢だ! 精霊さんごめんよ。夢の中で疑問とか持つな、空気よめっよ! てことだよね。
「そうだね! はは、よし! 出会いに行こう!」
ふふん、ふふん~。
精霊さんの鼻歌BGMを聞きながら、パステルタウンを進む。
まだ早朝だからか? 閉まってる店もおおい。
朝食が取れそうなカフェはオープンしている。
人は、、 普通の人間ぽい。
「住んでいる人は日本人ぽい人が多いな。」
「そうですね。 トキョは、東京のテスト環境ですからね。」
「・・・」
おい、おい、精霊さん、 サラリとヤバい発言してくるな。
「ああ、わかんないですか? 本番機の東京にいきなり施策を打つのは、リスクが高いでしょ? だから、東京モジュールの部分テスト環境を構築していて、トキョで試してから、東京には施策を実装するんですよ~。」
「・・・」
「まだ、わかんないですか? 田中は見かけ、そういうの得意そうに見えたんだけど。そうですね。 本番機は、ものっすごっく、複雑なプログラミングなんですよ。長年スクラッチで構築しすぎてきて、モジュールといっても、東京とほら、お隣の埼玉とかだけでも、きれいに切り離せない感じで、もー何をしても、大量のバグを誘発してしまうような、それはそれは腫物を触るようなしろものなんですよ~。」
「・・・」
「まだ、わかりませんか! 願いをかなえるために、バッチを当てても、影響範囲が広すぎるんですよね~。だから、ちょっとしたと制限させてもらっているんですけどね~。」
「・・・」
「まだ、ですか!!! あっ! わたしが腕がない精霊だから、出来ないんじゃないか?って疑ってますか? それは、誤解ですよ~! これでも、プログラミングの腕を買われて、精霊に転職してるんですから! 今回の件だって、わたしだから田中のちょっとした願いをかなえられるんですよ~!」
「・・・」
「まだ! まだ! ですか!!!」
「あっ、ごめん。」
付いてきてるか? 俺! 精霊さん、なんか、スゲー話してんぞ!
しっかりするんだ、俺。
頭を整理しろ!
プログラミングとか言ったな。
確かに、倒産した会社もアプリの開発事業もあった、俺は営業で詳しくは知らないが、スクラッチの成れの果てのソフトのリプレイスの愚痴はよく酒の摘まみになっていた。
精霊さんが言っている事は、馬鹿げているけど、つじつまは合っている。
「むむっ。まだ、難しい顔してますね?」
待ってくれ!
「大丈夫だ! わかったよ。」
このまま、わかってない表情をしてたら、さらに、困惑の情報が追加されそうな予感がして、俺は急いで、精霊さんにうなずいて見せた。
「そうですか! わかったんですね! 良かったです!」
夢だし、夢だ?
本当に、夢なのか?
こんな、頭使う夢って有り?
「そういえば、朝ご飯、食べてませんね!」
飯、食うのかよ。
昨日から、食ってばっかじゃん。
「お腹、空きましたね~。ね~。ね~?」
何か、食わせろってことか?
俺、飲みすぎで食欲ないんだけど、、
「サンドイッチとか、見えますね~。」
精霊さん、カフェをのぞきながら、それ言う?
自分じゃ買えないのかな?
「ここって、日本円、使えるの?」
「はい! 使えます!」
おい! 食いぎみかよ。
って、使えるんだ。いいのか?
「ちょっと、待ってて。」
財布の中、いくらあったかな?
斜めがけのバッグから、財布を取り出し確認する。
「、、まー、サンドイッチくらいなら、食えるかな。」
「サンドイッチですか! いいですね!」
さっきから、上目遣いで、明らかに要求してるよね!
まっ、いいけど。
俺、無職なんだけどね。
「わかったよ。 お腹すいてるんだね。そこのカフェ入ろうか。」
大丈夫かな。言葉って通じるんだよね。
海外旅行で店に入るときのドキドキ感がある。
カフェは、オープンテラスの開放的な感じだ。
卒業旅行で行ったイギリスで入ったカフェがこんな感じだった。
カラフルだけどね!
緊張するな。
「ここ、いいですか?」
俺は、テラス席を整えている女性の店員さんに声をかけた。
「はい、どうぞ。 メニューをお持ちしますね。」
うおおおおおおお。
普通だ! 日本だよ! 日本語だよ!
大丈夫だ! 行けるよ。これなら行ける。
「あっ、はい。 ありがとうございます。」
よし! 座ろう。
「精霊さん、テラス席で良かった?」
「いいですよ! お外で食べるのも美味しいですからね!」
精霊さんが、よいしょっと椅子に座る。
円筒のテーブルに椅子が4つ。
俺は精霊さんの向かいの席に座る。
「メニューをお持ちしました。」
店員さんがメニューを渡してくれ、水と手拭きを俺の前に置く。
「ありがとうございます。」
あれ? 俺にだけ?
「お決まりになられましたら、お呼びください。」
と言い残して、去っていく。
あれ?
「精霊さん、もしかして、店員さんに嫌われてる?」
「はァ~? 何、言ってるんですか!私を嫌う人なんていませんよ!!!」
と言うことは。
「もしかして、店員さんには、精霊さんが見えていない?」
「もーう。またですか! 当り前じゃないですか! 店員さんはくじ当たってないですもん!」
そうですよね。 すみません。 ファンタジーですからね。 設定重要ですよね。
「そうだったね。 くじの精霊だったね。 ごめん、忘れてた。」
という事にしておこう。
読んでくださってありがとうございます!
更新不定期ですが。
ぼちぼち書いてます。
のんびりお付き合いください。




