5.それは突然始まった。
「もうそろそろでしょうか?」
サンドイッチを食べ終えた精霊さんが口を袖でぬぐいながら俺を見た。
「服汚れるぞ。」
俺は店員がテーブルセットしていた手拭きで精霊さんの口をふいてやる。
「何が、もうそろそろなの?」
「ふふ。ナイショです。」
やけに楽しそうだな。
おやつでも期待してるのか?
俺はブラックのコーヒーを口に運びながら首をかしげた。
だだだだだだだーーーーー
んん? 何の音だ?
「このやろーーー。くそ、あの女、どこに行きやがった! 」
おお?
この洒落た街並みに似合わない罵声が聞こえる。
なんだろう?
「予定通りバッチはあたったみたいね。」
んん? 精霊さんの仕業?
「何をしたんだ?」
「どもっ!」
誰だ?
うおーーー。無駄に美人。
すげー美人が俺達のテーブルにしれっと相席してきた。
誰?
「あの?」
「ああ、私もコーヒーで。」
えっ? コーヒー頼べばいいの?
無駄に美人は、落ちつきがない様子で、キョロキョロと周りをうかがっている。
ああ、そういうことね。
むむっ。ここはコーヒーを頼むべきか?
いきなり相席して一言あってもいいだろ。
「相席するの?」
俺は少しムッとした顔になっているだろうか。
「ああ、ごめん。お願い。」
おお? 意外だ。
素直な反応だ。
美人に素直に頼まれると悪い気はしないな。
「じゃあ、コーヒーだね。」
こくっ。
無駄に美人が頷く。
「じゃあ! 私はオレンジジュースがいいですね。」
お前も飲むんかい!
俺は店員に追加を頼む。
俺もコーヒーのおかわりを頼む。
あー。出費が、、
「それで、あなたは何で追われてるの?」
「はは、やっぱりわかる?」
このシチュエーションでわかんない方が難しいでしょ。
店員が追加の飲み物を運んできた。
一瞬沈黙のまが流れる。
無駄に美人が、コーヒーを口に運ぶ。
「それが、わかんないのよ。」
おい、精霊何をした!
「身に覚えがないのに追われてるの?」
「う~ん。身に覚えね。あるけど?」
「?」
「どれをしくじってるのか。う~ん?」
精霊さん?澄まし顔でジュース飲んでるけど。
この美人、厄介な人では?
「あら? このコーヒー美味しいわね。」
ごほっ!
んん? 精霊、なぜ、そんなに焦ってジュースを飲み干そうとしてる?
むせてんじゃん!
だだだだだだだーーー。
「あいつどこに行った!」
あっ、戻ってきた!
無駄に美人がスッと俺の手に何かを握らせる?
名刺?
無駄に美人が冷めきっていないコーヒーを流し込む。
「じゃ! 後お願い!」
「えっ?」
無駄に美人がサッと立ち上がる。
フワッとストレートの柔らかい髪がなびく。
普段から逃げなれてるのか、すすっとテーブルの間を抜けながら無駄に美人は路地裏に消えて行った。
「行ってしまった。」
「我々も行きましょう。」
えっ?
精霊さんがそそくさと椅子から降りようとしている。
あっ! コーヒー代!もらってない!
「テーブルチェックで!会計お願いします。」
店員さんに右手をあげて合図を送る。
なんかよくわからないけど、精霊さんが急いでいる感じがする。
会計がかかれた紙を、渡される。
やっぱり、海外な感じだ。
トキョって?どこまで東京と一緒なんだろうか?
「急いでください!」
えっつ?
「うわっ、2000円越えてる。」
俺は、2500円をテーブルにおく。
チップっているよね? 足りてる?
「何、もたもたしてるんですか!」
精霊さんが、歩き出してしまった!
わかんねー!
「ご馳走様です!」
俺も急かされるように席を立った。




