3.深酔いって夢続くんだね。
「ん~! 痛っっ!!」
二日酔いかな? 頭が痛い。
「飲みすぎたかな?」
でも、お陰で、眠れたみたいだ。
6時半。まだ、薄暗い。
早起きする必要なんてないのに、習慣って、嫌になるな。
あー。でも、今日からは、二度寝できるんだ。
俺は、ごそごそと、再び布団にくるまる。
「おはっよ~ございます! 準備! できましたよ~!」
うるさいな! 寝かせてくれよ! どうせ、暇なんだし。
「おはようございます! 準備!! できてますよ!!」
って! 誰だ!
俺は、がばっと布団から起き上がる。
んん? あれっ?
「だから! 準備できましたよ!!」
あれっ? 夢? 俺、また、夢見てる?
昨夜の夢の人だよね。
精霊さんだっけ?
続き? 続き見るってあるんだ。
「起きてください! 今日中に仕事につくんですよね!」
ああ、ちょっとした願いを叶えるってヤツか。
「仕事就くって、就職先斡旋してくれるのと違うの?」
「あっ! その手がありましたか!」
「えっ? 他に、手があるの? 」
「ははっ! やり過ぎちゃいましたね。」
「ん?」
「あっ! でもですね! 願いは、安定したた生活の持続ですからね! 斡旋しても、続くか分からないですから!」
何をいってるんだ?
俺の夢の中なのに、理解ができないなんてことあるんだ。
「はい! そういうことで、出かける準備してください!」
「はい、はい、」
ま~夢の中だし精霊さんに従っとくか。
「服装は、スーツ? それとも、ビジネスカジュアル? どっちがいい?」
「あー。服装か。そうですね~。 できるだけ、ラフな感じなら、違和感がないでしょうか? 少し、カラフルな感じがいいですね。」
ん~? 就職活動するのにいいのかな?
あ~。夢だし、考えるのやめよ!
「わかったよ。 でも、あったかな?」
俺は、クローゼットを開ける。
ないな。そういえば、就職してからは、そういう感じの服装、無意識にしなくなってたな。
「あっ。ちょっと待ってて。」
クローゼットの奥にしまってあった、スポーツバックを引きずり出す。
「確かここに、大学できてた服を、、あった。」
律儀にキレイにたたんで入れてあった虹色のパーカーを取り出す。
「これなんて、どう?」
「はい! それなら、馴染みそうです!」
は、はっ! もう、突っ込まないよ! 俺は!
パーカーとジーンズ、、カバンは、ああ、この斜めがけショルダーでいいかな。
俺は、急いで歯を磨き、髭をそり、シャワーを浴び、身なりを整えた。
「準備できたよ。」
部屋に戻ると、精霊さんが、机にうつ伏せになって寝ていた。
よく見ると、かわいい顔立ちだ。
少し、幼さの残る口元は、ピンクでほっぺたはマシュマロのようにふっくらだ。耳が少し尖っているのが、ファンタジーぽい。
本物の精霊か。
無意識に俺は、人差し指で精霊さんのほっぺたをぷにぷにとつついていた。
夢の中だけど、俺は、存在を確かめて見たくなった。
柔らかい。赤ちゃんのほっぺたの感触だ。
リアルだ。
「夢だよね。」
シャワーを浴びているときも感じたが、夢の中なのに、感覚がリアルすぎる。
「おわっ、なな、なんんですか!!!」
「あっ! ごめん。 本物かな? っつて思って。」
俺は慌てて、精霊さんから離れる。
「はは、夢なのに感覚があるだね。」
「もうっ。 やめてくださいよ~。」
「準備できたよ。」
斜め掛けのショルダーを背負おう。
「では、行きましょう!」
精霊さんは、アパートの部屋の扉の前に立ち、呪文ぽい聞いたことがない発音の言葉を唱える。
あー、ファンタジーだ! 魔法だよね。これ、魔法だね。
アパートの扉に円形のマークが浮かび上がる。
なんだろう?
魔法陣ってやつか。
精霊さんが、そこに手をかざし、いっそう大きな声で呪文を唱えた。
ぱーっと、光が強くなり。シュッとその光は次の瞬間消えた。
「はい! これで、扉が、Tokyoに繋がりました。」
Tokyo? 発音がやけにいいな。
「東京に繋がったって、ここは東京都葛飾区だよ。」
「違いますよ。 東京ではなく、Tokyoです。」
「発音が違う?」
「ち、が、い、ま、す~。 トキョです。」
トキョか。 精霊さんのこだわりかな?
「まーいいです。 行けばわかります。」
精霊さんが、ため息をつく。
俺、なんか困らせてる?
「では、この扉の使い方を説明しますね。」
「はい。」
「この扉は、トキョと東京を繋ぐ異次元ポケットになりました。このアパートはあなたが寝ている間に、私のマイスペース、空間のひずみに移動しました。なので、これからは家賃不要ですよ! すごいでしょ!」
「、、、、、」
「それで、ですね~。 この扉から、東京へもトキョへも出れるように、切り替え機能をつけました。 この 丸のところにですね~。 こうやって、手をかざします。 そして、東京に行きたいときは、東京。 トキョに行きたいときは、トキョと唱えれば、出ることができます!」
「、、、、」
「聞いてますか? わからないですか? 簡単だと思うんですけど?」
「、、、、」
「では、トキョに行きましょう!」
うん! 夢だからね!!!
「よし! うん。行くよ。」
俺は、服装に合いそうなブーツを履き、扉の前に立った。
精霊さんがしていたように、円印に手をかざす。
「いざ! トキョへ!」
唱えた瞬間に俺は腕をつかまれるような感覚があったかよ思うと、扉の中に吸い込まれた。




