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【悲報】光の国が滅びたので、最後の【輝石】を持って脱出します~薪ではなく【善き心】で輝く石と、滅びかけた世界の挽回劇~  作者: 風風風


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第1部(2)  第4話:鉄鎖の死闘と解放の輝き(下)

カイの魂の叫びとともに、

胸のランタンが、爆発的な輝きを放った。


ガアアアアアアンッ!!!!


それは黄金でも純白でもない。

精霊たちの命の輝きとが混ざり合った、

澄み切った「翡翠色ひすいいろびた至高の光」。


光の波が円環となって部屋全体に広がった。


「ぐああああっ!?」


ヴァルツが両目を押さえて後退する。


その漆黒の甲冑に刻まれた律法呪印りっぽうじゅいんが、

光を浴びて

激しい音を立ててパチパチとぜ、

次々と消滅していく。


さらに、その光は

制御台と無数のガラス管を包み込んだ。


パリイイン! パリンッ!


不浄のエネルギーで

固く閉ざされていたガラス管の結界が、

光の波動を受けて一斉に砕け散った。


捕らえられていた数百の精霊たちが、

縛られていた黒い鎖から解放され、

歓喜の光粒となって空中へと舞い上がる。


「な……精霊の拘束が……消えただと……!?」


レノが目を丸くした。


解放された精霊たちは、

カイの周りを祝福するように旋回すると、

彼らの感謝の意志エーテル

カイの輝石へと注ぎ込んだ。


輝石の光はさらに強まり、

砦の地下から延びていた

「不浄の燃料パイプ」を

内側から浄化・破裂させていく。


チュドーーーーンッ!!


連鎖爆発が

第4補給廠の地下で巻き起こった。


煙突から吐き出されていた黒煙が止まり、

砦全体を覆っていた不浄の結界が、

ガラスのように砕け散っていく。


「バカな……我が第4補給廠が……

帝国の『法』の砦が……!」


甲冑の呪印を焼き尽くされ、

激しく膝をついたヴァルツが、

血を吐きながらカイを睨みつける。


カイは静かに歩み寄り、

光を宿した短剣の先をヴァルツに向けた。


「ヴァルツ。お前たちの『法』は、

誰一人幸せにしない。……もう終わりだ」


「……ククッ、ハハハハ!」


ヴァルツは吐血しながら、

薄汚れた笑いを漏らした。


「終わるだと……?

勘違いするな、小僧。

ここはただの『補給廠』に過ぎん……。

西の都【ソーレム・プリムス】では、

すでに

『至高の天秤』の全稼働が始まっている……」


ヴァルツの身体が、

黒い煙となって崩れ始めた。


自らの甲冑に仕込まれていた

不浄の崩壊術式だ。


「お前がいくら精霊を救おうと……

あの都へ着く頃には、

世界は完全に『無』へと還っている……!

おもむくが良い……自らの絶望の地へ……!」


捨て台詞を残し、

ヴァルツの身体は黒い灰となって消滅した。


爆破と浄化の光が収まった第4補給廠。


天井の崩落した穴から、

久しぶりに

濁りのない本物の陽の光が差し込んでいた。


解放された精霊たちは、

カイとミーナにお礼を言うように

小さな手で二人の頬を撫でると、

それぞれの故郷である

東の樹海や自然の地へと飛んで行った。


「やったね、お兄ちゃん……!

みんなを助けられたよ!」


ミーナがカイの腰に飛びつき、

涙を浮かべて喜んだ。


「ああ……よかった」


カイはその場にへたり込み、

安堵の息を吐いた。


ランタンの中の【原初輝石】は、

やり遂げたかのように優しく、

けれど以前よりも力強い輝きを宿して

静かに脈動している。


「おいおい、喜んでる暇はないぞ、少年」


レノが

砕けた鉄骨を退けながら歩み寄ってきた。


その表情は真剣そのものだ。


「ヴァルツの言った通りだ。

補給廠が潰れたことで、

西の『法の都』は異変を察知したはずだ。……

それに、

あいつが言っていた

『至高の天秤』って言葉が気になる」


「至高の天秤……」


カイは聖都で出会った、

あの白銀の仮面の男が抱いていた

「無色の結晶」を思い出した。


不浄すら纏わぬ、

あらゆる存在を

「無」へと還す絶対の虚無。


ソーレム帝国の真の狙いは、

単なる領土の拡大や支配ではない。


世界のすべてを消し去り、

完全な「無」の上に

新しい理を打ち立てようとしているのだ。


「行きましょう、西へ」


カイはしっかりと立ち上がり、

胸のランタンを握りしめた。


「ソーレム・プリムス……帝国の本拠地へ。

そこで、すべての決着をつけます」


崩れ去った鉄の砦を後にし、

三人は西の地平線を見据えた。


その先には、

世界を呑み込もうとする漆黒の暗雲と、

帝国の首都が不気味にそびえ立っていた。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

明朝、8:10 に、投稿します。

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