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【悲報】光の国が滅びたので、最後の【輝石】を持って脱出します~薪ではなく【善き心】で輝く石と、滅びかけた世界の挽回劇~  作者: 風風風


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第1部(1) 第6話【 不浄の蛇と真理の脈動 】(下)

最高審問官サティだった。

サティはカイの前にひざまずくと、

その細い手でカイの煤けた手と、

ランタンを包み込むように握り締めた。


その紫水晶の瞳には、

薄っすらと涙が浮かんでいる。


「……見事でした、カイ」


サティの声が、

静まり返る広場全体に響き渡った。

「あなた方の輝石は、

 神々を

 不敬に貶める悪魔の石などではなかった。……

 迫り来る『真の暗黒』から、

 我が国の神霊様を救ってくれたのは、

 あなたのその清らかな心と、この光です」


武僧長が、

そして無数の神官と市民たちが、

息を呑んでカイを見つめている。


かつて

彼らの瞳にあった侮蔑と敵意は消え去り、

そこにあるのは驚愕と、

深甚なる敬意だった。


武僧長がそっと刀を鞘に納め、

右手を胸に当てて

カイに向かって深く頭を下げた。


「……疑いをかけた無礼を

 お許しいただきたい、

 アシャニアの守護者よ。

 貴殿の光に、我が身は救われた」


ミーナが駆け寄ってきて、

カイの背中に抱きついた。


「お兄ちゃん……!

 すごかった、すごく格好よかったよ!」


「ミーナ……」


カイはほっとしたように、

ミーナの頭を撫でた。


だが、余韻に浸る時間は与えられなかった。


大池の泥の中から、サティの護衛神官が

一枚の焦げた「黒い布」を拾い上げ、

顔を青くして駆け寄ってきたのだ。


「審問官様! 暴走した神霊様の核から……

 このようなものが発見されました!」


サティがそれを受け取り、広げた。


そこにあったのは、ソーレム帝国の紋章と、

複雑に描かれた暗黒の魔導陣。


「これは……『霊素汚染陣』。

 神霊の内に不浄を注ぎ込み、

 強制的に

 悪魔へと変貌させる禁忌の術式です……」


サティの表情が凍りつく。


「まさか、ソーレム帝国は

 我が国の『神霊降臨の儀』を

 裏から汚染し、国中の神々を暴走させて、

 内部からヴァルナを

 崩壊させようとしている……!?」


「……奴らは、そういうやり方をします」


カイは力強い目でサティを見つめた。


「ソーレム帝国は、

 世界中のあらゆる信仰や文化を

『異端』として破壊し、

 自分たちの『法』だけで塗り替えようと

 しているんです。

 アシャニアの聖火を消したように……

 今度はヴァルナの神々を黒く染めて、

 滅ぼすつもりだ」


サティは立ち上がり、静かに

決意を固めた瞳でカイを見つめ返した。


「……もはや、これは

 あなた方だけの戦いではありませんね。

 カイ。……我が【ヴァルナ神国】は、

 今この瞬間をもって、

 ソーレム帝国の陰謀を打ち砕くべく

 立ち上がります」


サティはカイに向かって、

深く手を差し出した。


「教義の違いを超えて、

 手を取り合いましょう。

 我が国が数千年抱えてきた

 愚かな偏見を正し……あなたと、

 その輝石の光とともに、

 世界に満ちる闇に

 立ち向かうことを誓います」


カイはその手を見つめ、

力強く握り返した。


「はい……! 一緒に戦いましょう!」


数千年の時を超え、

アシャニアの「光の継承者」と、

ヴァルナの「神霊の守護者」が結ばれた

瞬間だった。


夕陽が聖都シュリ・ヴァルナを

茜色に染め上げていく。


手の中の小さな輝石が、

これから始まる

壮大な反撃の旅路を祝すかのように、

どこまでも温かく、

力強い脈動を打ち続けていた。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

聖都

シュリ・ヴァルナを包み込む夜風には、

もはや

数千年の宿怨しゅくえんがもたらす毒気はなかった。


大池を照らすのは、

復元された無数の提灯ちょうちんと、

水面を渡る清らかな風。


明朝、6:30 に投稿します。

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