8羽:200羽でこんにちわ、ウサギさん
ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)
『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』
・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい
『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』
・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい
『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』
・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい
家も出来上がったので、みんなを中で休ませて僕はヘイルさんの所へ・・・と思ったんだけど、子供達が寂しがって離してくれなかった。
いや僕だって離れたくないよ、でもお仕事の話だし君等来てもつまらないよ?
それに疲れてるでしょ? お母さんが帰ってくるまでネンネしてても良いんだよ? え、いやなの? でもちゃんと帰ってくるよ。あ、それでもいやなの?
うーん、さて困ったぞ。流石にこの人数で訪問するわけにもいかないし・・・。
「あ、だったら平気そうな子達はウチらが此処で見てるよー」
「そっすね! 護衛のお礼もありますし、そのくらいさせて欲しいっす」
「わわ私達も休憩になりますしっ!」
それは嬉しいけど、子供達の相手って中々休まらないけど大丈夫? みんなが良いなら助かるけど。
「みんなが家の中にさえ居てくれるなら何とかなりますよ、みんな賢いですし言うことも聞いてくれますしね」
「んー分かった。じゃあお言葉に甘えてお願いするね。皆もお兄さんお姉さんの言う事、ちゃんと聞くんだよ?」
「ぷぷぅ!」「ぷー」「ぷぅぅ〜」
そんなわけで僕は、どうしても僕から離れない約60羽(たぶん全員1歳未満)の子供達を連れヘイルさんの元を訪れた。
まぁ200羽だと迷惑かもだけど1/3くらいに減ったし、これなら大丈夫だろう(混乱)。
で、言われたのがこの一声。
「ず、ずいぶん大人数で来られたな・・・」
ですよねー。
すみません、特に幼い子達が離れたがらなくて・・・。
「まぁ子は親から離れたくないものだ、仕方あるまい。庭で話すことになるが構わないか?」
「はい、お願いします」
どうやら此処は領主邸にある兵舎らしい、ということはあの隣にある綺麗な建物が領主邸なんだろう。
真っ白な壁と青い屋根が美しい、お城みたいな家だ。一回住んでみたいね。
そんな事を考えている間に案内されたのが、庭・・・っていうか、ここ訓練場じゃね? なんだよ庭って、ものは言いようだな。
何かここに来るまでも沢山の人にジロジロ見られて、ちょっと気分は良くない。
「ふむ、やはりその服装はいかんな。特にイナバ殿のような年頃の女性がその様な格好をしているのは、若い騎士には刺激が強すぎる」
「あ、この視線は僕のせいか。すみません、お金が手に入ったらすぐ買います」
「うーむ、それは当然だがその格好のまま仕事をさせるわけにもいかんな。クレア、女性騎士の中でイナバ殿の体格に合いそうな者が居れば声をかけてくれ」
「はっ、かしこまりました!」
何から何まですみません。
「いや気にしないでくれ、我々もそれだけのことをイナバ殿に期待しているのだから。それで仕事の話だが、イナバ殿達には城壁の補修を手伝って貰いたい」
ヘイル隊長の話によると、僕達が入ってきた門の反対側、東の門には先日の大型魔獣との戦いで大きな穴が空いてしまっているらしい。
普段は街の職人さん達に頼んでいるらしいんだけど、今回はその穴の大きさもありかなり時間がかかる。もう補修というより建て替え工事のレベルだそう。
ただ魔獣の住む森に一番近い東の城壁ということもあって、早く直さないと住民が不安がる。
不安はそのまま経済に繋がるので早急の対応が求められているらしい。そこで僕達の魔法に目を付けた。
「ひとまずは穴を塞いで欲しい、魔法を解いても効果が続くのであれば城壁にはこの上ない。職人にはその後の外観工事を頼めば無駄がないしな」
「職人さんにも迷惑がかからないなら僕も問題ないです」
仕事は貰っても恨まれちゃ世話ないしね。
仕事に提示された報酬は大金貨100枚、日本円にして500万円くらいだ。
やたら高いなって思ったけど、これは材料費込みらしい。あとどれだけ人数かけても時間がかかっても報酬は変わらない。そう考えると安いのか? よく分かんないな。
まぁ人数も材料も時間も掛からない僕達には無関係、僕は快く依頼を引き受けた。
「クレアから服を借りたら、一度現場を視察してくれ。良いか、絶対にその格好で現場に行かないでくれ。世の中、子供に手を出す悪い大人も居るのだからな」
「分かりました、色々ありがとう御座います。工事が終わり次第またお伺いしますね」
「うむ、君はすぐに通れるよう伝達しておく」
そう言ってヘイル隊長さんは兵舎に戻っていった。
そして僕達はというと・・・。
「きゃ~、可愛い!」
「クレアさん、この子達どうしたんですか? 兵舎に住むんですか? 今晩一緒に寝て良いですか?」
「待て待て。この方達は今日、秘境からこの街に来られた方達でイナバ殿という。明日から城壁補修に協力して下さる、失礼のないようにな。あと兵舎には住まない、だからその願いも却下だ」
「「「えぇ~」」」
ここは女子校かな?
騎士であっても、女性が集まると何処もそう変わらないらしい。
「それよりイナバ殿に服を貸して差し上げたい。誰か体格の合う者はいるか?」
皆が眉をハの字にする。
流石にみんな大人の女性だし、騎士ということもあって皆背が高くカッコいい。つまり身長が全然合わない。
「あのーせっかくですし、このまま服屋にお連れしませんか? この様子ですと下着も・・・着けてないよね?」
「あ、はい」
「ダメだよっ! 君みたいな可愛い子が、それはダメ。目いっぱいオシャレしないと!」
「あ、いや。明日から土木作業で・・・」
「今日非番の人いるー? 一緒に服屋行こうよ」
「あたしも行くー! やったね、ラッキー」
「良いなぁー、アタシは無理ぃ。これ軍資金、可愛いの選んであげてね」
「もっち、任せて!」
「ふむ、なら私も行こう。面倒を預かっているしな」
「みんなの分も買おうねー」
「ぷぅ?」「ぷぅぅー!」
き、聞いちゃくれねぇ・・・。
この後めっちゃくちゃ着せ替えされた。
◆◇◆◇
色々あって、工事現場に着いたのは夕方も遅い時間だった。日が落ちかけてんじゃねぇか。
服屋では色々、本当に色々着せ替えさせられたが、何とかヒラヒラの服は回避できた。
今はシャツにホットパンツ、ジャケットといった装いだ。
「すまない、みんな可愛いものに飢えていてな」
「イナバさん達のお姿がクリティカヒットだったみたいです」
「タノシンデモラエテ、ヨカッタ」
みんな顔をツヤツヤさせて帰ってった、たぶん兵舎に戻ってみんなと今日の事で花を咲かせるのだろう。
「それで、ここがその穴のなのですが如何ですか?」
「穴・・・穴?」
「言いたいことは分かります、もう穴ってレベルじゃないですもんね」
見てびっくり、この分厚い城壁が何十メートルにも渡って崩れているのだ。
一体何がぶつかればこんな事に。
「今回ぶつかってきたのはベヒモスですね、体長20メートル、体高8メートルにもなる巨大な魔物です。それがこう、城壁を抉るようにしてぶつかってきたのでこうなりました」
ベヒモス怖えええー、できれば会いたくないね。
「よく倒せましたね」
「いえ、倒せませんでした。撃退するのが精一杯で・・・」
「それもあって工事が急がれていたんです」
「なるほどねぇ」
また来るかもって思うと、そりゃみんな怖いよね。
しかし僕達の土壁で防げたのも、魔境のとはいえ猪だしなぁ・・・猪とベヒモスってどっちが強いんだろう?
「本気で言ってますか?」
「そんなの比べ物にもなりませんよっ!」
だよね、絶対ベヒモスの方が強いに決まってる。
魔境の猪は、そりゃ地球に比べりゃ化物かってくらいデカかったけど、それでも20メートルは無かった、きっとここいらの小動物レベルなんだろう。
「こりゃ気合い入れてガッチガチに固めないとね」
きっとベヒモス強いんだろうなー(棒)
今日も30分おきに3話更新しますので、どうぞお楽しみくださいm(_ _)m




