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異世界ウサキック物語  作者: 草食丸
1章:イナバ誕生、学歴主義にウサキックの巻
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5羽:兎を語るウサギさん②

ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)

『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』

 ・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい


『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』

 ・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい


『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』

 ・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい

「す、すみません。助けていただいた方になんて失礼を・・・」

「あーいや、こっちこそゴメンねー。怖がられるなんて初めての経験でさー! お腹空いてない? これ食べる?」

「あ、いえ・・・大丈夫っす」



 いやーまさか兎が怖がられる日が来ようとは! 長いウサ生何が起こるか分かんないね♪


 僕は持っていた木の実をひょいッと口に入れる。

 この5年間の間に僕の感覚もだいぶバグってるみたいだな。今の木の実だって美味しいしもう慣れたから何とも思わなくなったけど、よくよく考えると確かに何かの肉に見えるかも!


 味はリンゴだから脳がバグるよねー。僕も悪かったからさぁ、そんな顔しなくても良いじゃん。

 僕、結構な美少女だと思うんだけど? それとも癒しが欲しいかい? この子達膝に乗せる?



「僕はイナバ、見ての通りウサギだよ! 一応この子達のリーダーかな。ここは僕達が作った地下空間で、とりあえず敵はこないんで安心して良いよ! んで、君達は?」

「俺はバーナード、この秘境から少し離れた所にある街『ドス』を拠点にしている冒険者です。こっちに居るのは俺の仲間で冒険者パーティー『龍の翼』のメンバーです」

「槍使いのリドっす!」

「弓手のマリアだよー」

「ままま魔術師のアルメリア、ですっ!」



 ふむふむ、ネコさんの名前はマリアさんってんだね。ウサギ、オボエタ。



「マリアさん、もしかしてマタタビとか好き?」

「どうして一族の秘密をっ⁉」

「あ、秘密なんだ?」



 秘密だったのか、理由は知らないけどマリアさんの顔真っ赤だしあんまり聞かない方が良さそうだね。

 兎さんは紳士なのさ、メスだけど!



「あのー、イナバ殿?」

「もっと気軽に呼んでくれていいよ、たぶん僕の方が年下だし」

「オッケー、イナバちゃんっすね」

「ぶっ殺すぞ」

「何でっ⁉」



 誰がイナバちゃんか! で、なんだ? え、槍? んなもん捨てたわ。

 何でって・・・お前、そんな長いもん持って穴に入れるわけねぇだろ。おんなじ理由で弓も捨てちゃった、ごめんねマリアちゃん。

 でもそっか、武器が無いと帰れないから困るのか。んーどうしようかねぇ。

 ・・・これは渡りに船か?



「僕さ、そっちの生活圏に興味があるんだけど、そっちってどんなとこ? 僕達住めそう?」

「え、ドスっすか? ドスは、比較的亜人種でも住みやすいと思うっすよ。ほら、自分もこんなですし。でも困ったことはないっす」

「ウチも特に困ったことはないかなー。結構大きい街で寂れてる感じないし、人の出入りも多いから賑わってるよー! イナバちゃんみたいに可愛ければ、すぐに彼氏も出来そうなくらい。ドスはね亜人種と人の夫婦とかも居るから皆優しいしよ。」



 要らない情報ありがとう、彼氏は要らんなー。

 なんか僕、メスのはずなのに繁殖しようって気にならないんだよね。ウサギなのに。

 にしても亜人種の住みやすい街ってのは良いことを聞いた、この子達が行っても問題なさそうだね。

 ただ、僕等って亜人種で良いのか?



「俺もそれ程詳しいわけじゃないんですが、言葉が通じて人型なら多少人っぽくなくても人間扱いですね」

「そうなのか」

「ただ、イナバさんって子供さんいっぱいいらっしゃるんで・・・その、お金の問題があるかもしれません」



 そっか、お金か。サバイバル生活が長すぎて、存在を忘れかけてたわ。

 自分の産んだ子なんて一羽も居ないけど、まぁリーダーだし養う義務があるよね。



「うん、色々教えてくれてありがとう。とりあえずドスって街に興味が湧いたから、道案内してくれるなら護衛してあげるよ!」

「本当ですかっ、すごく助かります!」



 聞いてみたら、此処を抜けるまで結構かかるみたいだし、道中色々聞いてみよう。

 いやぁ賑やかな旅になりそうだ!



「こんな地獄を生き抜いている猛者の護衛なんて、ウチ等ツイてるねー♪」

「逃げ隠れに関してウサギの右に出る者は居ないんだから! 安心してくれていいよ♪」

「あ・・・うっす」

「ななな何だか一気に不安になってきましたぁー!」



 何でだよ、失礼だな。





 ◆◇◆◇





 大所帯での長距離移動は、速度的にも安全性的にも実は地上の方が良い。


 こんな危険地帯、本当なら出歩きたくも無いんだけど・・・流石にウニョウニョしながらの移動はちょっとねー。

 あと空気穴も作りながら進まないといけないから、下手したら3倍くらい時間がかかる可能性もある。

 そうなるくらいなら多少危険を押してでも地上から行こうってのが兎の総意なのだ。



「ああああのっ、イナバさん!」

「ん? どったの、アルメリアちゃん」



 移動中、アルメリアさんがキョドりながら僕に話しかけてきた。

 ビビリな彼女にしては珍しい。



「なななんか、この子達が私の周りに集まってくるんですがっ!?」



 彼女の声に振り向くと、確かにめっちゃ(たむろ)してた。

 勿論バーナードさんやリドさん、マリアさんの周りにも子供達がいっぱい集まっているし何なら手を繋いで歩いてるけど、彼女の場合はその数が尋常じゃなかった。

 背中に乗っかっている子もいる、アルメリアさん小柄だから潰れやしないか心配。



「おー、随分懐かれたね。あれだ、きっと仲間だと思われてるんだよ。良かったね」

「そそそうなんですか?」

「ほら、アルメリアって・・・一番弱そうだし」

「ひどいっ!?」



 弱そうだから、子供達がアルメリアさんを守ろうと近くにいるんだと思う。なめられているとも言うが、何も言うまい。



「そういえばイナバ殿、この子達の言っていることが分からないのですが、どちらの言語なのですか?」



 バーナードさん・・・長いからバーニィで良いか。

 バーニィはウチの子達が気に入ったのか色々話し掛けてくれてるみたい。でも言葉が通じなくて不思議がっている。


 ちなみに僕も彼等に教えて貰って初めて知ったけど、この世界の言語は基本的に一つに纏っている。

 それはこの世界を作った神様が、皆仲良く暮らせる様にと考えてくれた結果らしい。

 だから皆ある程度成長すると、勉強しなくても最低限会話が成立するようになってる──はずなのに、この子達の言葉が分からなくて困ってるみたい。

 でも分からなくって当然だ、だってこの子達は声が無いんだから。



「あー、バーニィちゃんには悪いんだけど、この子達は生まれつき声帯が無いんだ。だから話したくても話せないの、ゴメンね」

「あ、いえ。そういう種族も居るって聞いたことがあるので気にしないで下さい。残念ではありますけれどね」



 そう言って、バーニィはうちの子達を撫でる。

 子供達は何で撫でられたのか分かんなくて不思議そうな顔してるけど嬉しそうだ。



「ぷぅ?」

「ぷうぷぅ♪」

「あれ・・・じゃあこの声は?」

「あぁそれはね、喉を鳴らしてるんだよ」



 この子達は声が無い、だから地球の兎もそうだけど喉や歯を鳴らしてコミュニケーションをとってる。

 それに加えて僕達はスキルか何かで遠く離れた仲間の様子を察する事も出来るから、何処かで仲間が死ぬとそれも何となく分かる。


 こんな場所だ、外に出た仲間が帰ってこない事なんて日常茶飯時だ。

 10羽でご飯を探しに行った仲間が1羽しか帰ってこない日々。僕達は弱者だから少しでも仲間にご飯を届ける為なら、この子達は進んで命を差し出す。

 ここでの生活はそんな毎日だった。

 そんな時、何処かで誰かが居なくなった悲しい気持ちが群れ全体に伝播する。

 でもこの子達は声が出せない、だから泣きながら喉を鳴らす。その様子が悲しくて悲しくて・・・僕は前世の記憶があるからマシだけど、精神的に幼い子供達は心を落ち着けようとリーダーである僕のもとに集まって眠る。

 その時の僕の気持ちが分かるだろうか?

 だから僕はこの子達の犠牲が少なくなるよう考え、少しでも安全な場所を目指すんだ。


 それを聞いた龍の翼の皆は慈しみの視線を子供達に向ける。



「それは・・・イナバ殿も沢山の子供を亡くされて、何と申し上げたら良いか・・・」

「あ、いや。確かに凄く悲しいし、何よりも大切な子供達だけど、僕が産んだわけじゃないよ?」

「「「「えっ?」」」」



 いや、よく考えようよ。この数を僕一人で産めるわけないじゃん。あれから更に増えて、今150羽近く居るんだぞ。



「えっ、でもじゃあ・・・」

「ここに居る子は皆、ここに居る誰かの子供で誰かの孫だよ。僕との関係は・・・玄姪孫(げんてっそん)かその更に下。ほぼ血は繋がってないねぇ」



 玄姪孫ってのは、僕にとって姪甥の孫辺りだな。

 悲しい事に僕が生まれた時に成長を共にした親兄弟はもう居ない、顔も覚えてないけど全員犠牲になってしまった。

 ただこの子達は謎スキルで仲間が減った事を察知すると、それ以上の子供を産む。


 そう、なんとこの子達はこの見た目で普通に子供を産む。

 しかも二週間で生まれて、二ヶ月で大人になる(小学生サイズ)。で、その子達が大量に産む。ヤバいよね。

 仲間が居なくなって僕だってしんみりしてるのに、一週間後に子作りしてるんだから僕だって「スンッ」ってなるわ。

 あと、途中でお隣さんも混じってくるんでよく考えると赤の他人も居るな、もうどの子か分からないけど。


 その話をすると、皆近くにいる子を何とも言えない目で見た。


 その気持は凄く分かるけど、その目止めろ。

 そういう種族なんだから仕方ないじゃん、あとその「逆に何でお前が産んでねぇんだ?」みたいな目も止めろ。

 確かに僕が一番見た目大人だが、幼児の相手出来るわけねぇだろ。寄ってこられても対応に困るしね!



「あれ? そういえば、どうしてイナバちゃんは喋れるんすか? この子達と同種族っすよね?」

「・・・そう言えば何でだろう?」



 人間だったんだから普通だと思ってたけど、よく考えたら変だな。そう言えば初めから喋れた気がする。

 僕だけ違う種族なのか?


 よくわからん。が、まぁ追々分かるだろう。今は此処を脱出するのが最優先だ、他の事は後で考えよう。

 だから、さっき『イナバちゃん』って呼んだことも忘れないから。リド、あとで覚えとけよ。

色々ウサギから外れるイナバちゃん


今日も30分おきに7羽まで投稿します!

宜しくお願いしますm(_ _)m

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