2羽:爆誕したウサギさん
ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)
『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』
・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい
『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』
・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい
『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』
・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい
血の滴るナイフ、体温の下がっていく感覚。
睨見つけてくる男と、女性の声。
次第に動かなくなる体。
怖い、冷たい、寂し、い・・・
◆◇◆◇
「う〜〜ん・・・ふぇ?」
何か変な夢見たな。
固い何かに寝かされている慣れない感覚に、僕は目を覚ました。
背中は固い何かのせいでちょっと痛いんだけど、周りが無茶柔らかくて温かい。寝ている間に布団の外に出てしまったんだろうかと、寝足りないと文句を言う体を起こし目を開く。
「ぷぅ〜・・・」
「ぷうぅぅ・・・ぷうぅぅ・・・」
「ぷぐぅ~ぷぅぐぅ~」
「ぷゅぅぅ・・・」
「・・・・・・」
なんか、白いのがいっぱい居た。
視界を埋め尽くす白い毛玉達、それは兎の獣人。
そしてそれに包まれている僕も勿論、兎の獣人。
此処は薄暗い穴倉、そしてみんなスッポンポン。
「なる程な、夢か」
僕は寝直すことにした。
起きたらベッドに戻ってるだろう。
◆◇◆◇
グッドモーニング! 残念ながら起きてもベットに戻れなかった。
悲しいかな、これが現実みたい。
僕が目を覚ました時には兄弟達(?)も何羽かは既に起きていて、思い思いに動いていた。
寝ぼけてたし薄暗くてよく見えてなかったけど、この穴倉は結構広いみたいだ。
「すぅ~〜〜・・・はぁああああぁぁぁ・・・よし!」
何が「よし!」か分からんが、僕は現実を受け止めることにした。
認めよう。今居るのは異世界、僕は兎獣人、此処は土の中だ。
さっきから言っているように、僕達は兎じゃなくて兎獣人だ。見た目の70%くらいは人間だな。
ただ僕だけ他の兄弟とは違い、膝下だけがモッフモフの毛皮に包まれている。兄弟は下半身全部だな、だから今の僕が女の子だっていうことが一発で分かった。
鏡が無いから分からないけど、周りの子を見る限り僕は今小学生くらいの年頃みたい。
まぁ子供の成長具合なんて知らんけどな!
それから暫く穴倉で兄弟達と遊んでいたんだが、親兎が帰ってきやしねぇ。
育児放棄か? こんな可愛い子達を放置するとかいい度胸してるな、帰ってきたら僕の今世最高のうさキックを御見舞いしてやろうと思う。
僕が今思った様に、この兎達は無茶苦茶可愛い。
兎だから可愛いってわけじゃなくて、人間基準で無茶苦茶可愛いんだ。
前世で「可愛いとか美人とかよく分からん」とか言ってた僕が言うんだから間違い無い。
この子達でアイドルグループ結成したらブレイク間違いなしだ。USG48とかどうだろう? まぁ今15羽くらいしか居ないけどな! はっはっはー!
冗談はさておき、腹が減ってきた。
親が帰ってこないなら飯を取りに行かなきゃいかん、出口どっちだ?
僕が穴倉をキョロキョロしていると端の方にこんもりしている場所を発見! ありゃ何だと近付いてみると草の山だった。
「ベットか? いやでもさっき皆地べたに寝てたし・・・え、まさか」
「ぷゅいー♪」
悪い予感的中、隣でマイブラザー(シスターかも)が美味そうにむしゃむしゃとそれを食い始めた。
Oh・・・これ、食料か。
どう見ても雑草。でもむっちゃ美味そうに食ってるし、意外と美味いのか?
試しに口に含んでみた。
「ぶふぅあああああっっっ!?!?!?」
く、臭っ・・・苦っ、うぉえっ!
口に含んだ瞬間感じる土の食感とやたら悪い草の舌触りと青臭さ。
次の瞬間に鼻を突き抜ける比喩不可能な臭みと、飲み込んでもいないのに胃を攻撃してくるエグみ。
最後に謎の刺激臭が目を攻撃してくる。ダメだ、これはダメだ、人間の食いもんじゃね。死ぬほどクセェ、草だけにっ!
「おえっ、ゲホゲホッ! お、お前等、よくこんな物を美味そうに・・・」
「ぷぅい?」
これはあれか、僕が人間だったから不味く感じるだけなのか?
・・・いやよく見たら兄弟達の中に無表情で食ってる奴もいるな、ってことは不味いことに変わりはないはずだ。
「これしか食えないのか? そんな風には見えない。人の身体でもあるんだ、雑食も考えられる。となるとこれしか採れないのか、もしくは──これしか食べられない状況かだな」
兄弟は元気そうだけど、若干アバラが見える程度に痩せている。これじゃ可哀想だ。
せめてマフマフができる程度にはふくよかにしてあげたい。
「ひとまず外に出ないと何も分からんな」
情報を得るには外に出るしかねぇ。
出口どこだ? Hey,ブラザー、ちょっとそこ退いてくれ。外に出てぇんだ。
えっ、こっちじゃねぇの? あぁ、あっち? あの毛玉の向こうにあんのね、ありがとう。
僕は兎を掻き分けて進むと、そこに穴が空いているのを発見した。
よし、出るか。そう思い穴の頭を突っ込むと、何故か兄弟に制止された。
凄く心配そうな目をしている。
何をそんなに心配してるんだ? 大丈夫だって、ちょっと見てくるだけだし絶対戻ってくるよ。
僕は腰にしがみついてくる兄弟を引きずり青い空を目指す。
ここはどんな世界なのか、僕達以外にどんな種族が居るのか、冒険者ってやっぱり居るのか。
ここはラノベで慣れ親しんだファンタジーの世界、沢山の期待を胸に、僕は、一歩を踏み出し──
──盛大に後悔した。
ズゥゥゥンッ!
巨大な生物が、僕の上を跨いでいった。
それが僕に気付かず通り過ぎる、全体が見えるようになって分かったけど八本足のトカゲだった。たぶん背は二階建ての建物くらい。
僕がその存在感に圧倒されていると、次の瞬間にはそのトカゲさんは首の長い何かに食べられていた。
「gyaaaaaaa!!!!!!」
あれはなにかな、ぼくわかんなーい。
ジュラ紀から来たとしか思えない首の長い奴が、トカゲを丸呑みにする。
手品のように姿を消したトカゲに呆然としていると、首が長い奴は虫みたいのに群がられて骨になっていた。
「・・・・・・」
何ここっ、怖い!? これはアカン奴や!!
僕はすごすごと巣穴に戻った。
ウサギって集まってる方が可愛い




