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異世界ウサキック物語  作者: 草食丸
2章:人助け、悪徳ギルドにウサキックの巻
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6羽:返品するウサギさん

ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)

『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』

 ・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい

⁴⁴

『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』

 ・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい


『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』

 ・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい

「よがっだねぇぇー、ぐすんぐすん」



 僕、大号泣。


 あれから僕達はディアスさん達家族を部屋に残し、先日通して貰った応接間にいる。

 あの後すぐ5羽程ミラさんの所へ行くようお願いしたので、そろそろ到着して月光華を咲かせているはずだ。

 そして今僕の元にも5羽デリバリーされている。

 僕はその子達を抱き締めて、ミラさんが助かった事に喜んでいる最中だ。



「いや、なんでお前さんがそんなに泣いてんだ? 付き合いの長い俺やジャスパーなら分かるが・・・」

「だってぇーっ! ミラさん身体が割れていく恐怖の中でも、きっと子供達やディアスさんの事心配してたんだよ!? でも身体が動かなくなって、目も見えなくなって、どれだけ心配してた事か! 子供達だって、触れたいのに割れるから触れられなくて寂しかった筈っ! それを想うとっ、ぐすんぐすん」

「くぅーん?」「くー、くー」「くぅ、くぅー」

「ぅ゙んぅ゙ん、僕は皆を置いて消えたりしないからね。約束!」

『きゅーん♪』



 部屋にいる皆から「なんだかなぁー」みたいな視線を受けるが、んなもん知ったこっちゃない。

 どの道、ギルマス泣かないでしょ。え、泣くの?

 嘘でしょ、それ涙じゃなくて肉汁か何かだよ。



「肉汁ってなんだっ! 俺だって、普通に泣くことくらいあるがっ!?」

「ウソだぁー」



 あー、ちょっと落ち着いたぁ。

 でも本当に良かったよね。手足が本当に戻るのか僕も半信半疑だったけど、戻って良かった。僕の予想通りだったわけだ。



「「「「あのぉ〜・・・」」」」



 僕が「いやぁ、良かった良かった」と独りごちていると、おずおずと声が上がる。



「ねぇっ、そこのイナバちゃん激似な美女は誰なのーっ!?」

「そそそ存在感が、尋常じゃありません!?」

「えっ、皆が知ってる人じゃないんすかっ! じゃあ、誰っすか!?」

「俺も初めてお会いする方なんですが・・・」



 ウチの子達と一緒に部屋へ来ていた龍の翼の面々だったんだけど、何故かずっと恐縮したままだった。

 僕も何でかな?って思ってはいたんだけど、僕はまぁ先程まであんな感じだったので、取り敢えず放置してた。

 そうかそうか、僕が誰か分からなかったのか。



「バーナードさん、酷いっ。熱い夜を一緒に過ごした僕を忘れるなんて・・・」

「「「えっ!?」」」

「うえええええっ!?」



  おぉー、そんなバーニィさんの顔、初めて見たぜ。真っ青だ。



「ア・ン・タッ、あの美女は誰なのよっ! しかもそれを忘れたああっ!? 取りなさいっ、責任を取りなさいよおおおおっっっ!!!!!!」

「ぐ、ぐるじぃ・・・」

「バーナードさん、ひどいっ! そんな事をする人だとは、思いませんでしたっ!」

「バーナード酷いっすっ、何でバーナードばっかりっ! 俺っちもあのお姉さんみたいな超絶美女とお知り合いになりたいっすっ!!」



 へぇ、バーニィさんは普段からモテモテなのか。

 モテる男は命を狙われる、これは世界の真理みたいなものだからね。バーニィさん、諦めて☆


 さて彼等が言っているその超絶美女とやらの正体だが、まぁ言わなくても分かると思うけど・・・実は、僕のことだ。

 初めそれを言われた時、僕もその超絶美女とやらを探したさ。だって見たいじゃん?なのにそれが僕だと言われて、僕がどれだけ肩を落とした事か。

 まぁそれは後で鏡を借りて一人ニヤニヤしておくとしよう。



「おい、そろそろバーナードを助けてやれ。貴重なBランク冒険者が一人減っちまう」



 へいへい、分かりましたよ。

 僕は楽しむのを止めて、マリアさんに声をかけた。



「マリアさん、バーニィさんは何も悪いことしてないから許してあげて」

「ダメよっ、このスケコマシは此処で処分・・・あれ? 何でウチを知ってるの? それにバーニィって・・・え、まさかっ!?」

「ババ、バーナードさんをバーニィなんて呼ぶ人は一人しかいませんっ。もしかして・・・イナバさん、ですか?」

「あったりぃー、二人には景品としてウチの子達を抱っこする権利を差し上げよう!」

「「「「ぅええええええっっっ!?!?!?」」」」



 ふぉっふぉっふぉ、ええ反応じゃ!

 今の僕は恐らく20歳〜25歳くらいの外見をしていて、背はバーニィさんより少し低いくらい。大成長だ、まぁウサ耳分僕の方が高いけどねっ!

 そして元々長めだった髪は更に長くなり、今はスーパーロング。先端に行くにつれて銀色に染まっている。


 次に注目したいのが、このプロポーション!

 これが僕の成長した未来の姿なのかなんなのか分からないけど、今の僕はナイスバデー。

 見下ろして見ただけだから自己評価になるけど一言で言えば『バーンッ!・キュッ・ボンッ』、バイオリンみたいだ。今ならアルメリアさんと良い勝負が出来るだろう。

 流石に服がパツパツでヤバい事になっていたので、ヘイル隊長さんにマントを借りてる。サンキュー!


 なお顔は知らん、鏡見てないからな。でも元々それなりの(つら)をしてたから、大人っぽくなってるだろう。周りの反応から察するにかなり良い感じらしい。


 みんな目の前の人物が僕だと理解出来たけれど、やや僕の方がお姉さんな見た目になった為に話し掛け辛いみたい。初心な奴らめ!

 僕はそれに満足して「むふー!」と息を吐いた。



「イナバ・・・さん? じゃあさっきウチらに言った『熱い夜』ってのは・・・」

「イナバちゃんのままで良いよー。ほら、初めてこの街に来た日に皆で兎御殿に泊まっていったでしょ? 子供らが初めてのところで心細いのか、寝る時にむっちゃ集まってきて暑かったじゃん。あれよー」

「あぁ~、確かに暑かったね。なんかモフモフで気持ちよかったけど」

「そ、それに皆可愛かったですっ!」

「イナバ殿、勘弁してくださいよぉぉー」



 ごめんて、おふざけが過ぎたね。でもすぐ助けたから許して!






 暫くするとディアスさんが部屋に現れた、ミラさんと兄弟は休んでいるらしい。



「もう良いの?」

「あぁ、今は少しでも休ませてやりたい。子供達も一緒の部屋で休んでいる」

「そっかそっか」



 やっと触れられるようになったんだ、二人もお母さんと一緒に居たいだろう。



「イナバ、本当にありがとうっ! 俺は、お前に何て感謝を伝えたら良いのか分からないっ。とにかく今は言葉で感謝を伝えさせてくれ」



 ディアスさん、ジャスパーさん、ヘイル隊長さん、そして何故かギルマスも頭を下げてくれる。

 まぁ僕は自分にできる事があって当然の事をしたまでだから、そんなお礼を言われる程の事じゃない。

 ところでなんでギルマス? そう言えば、そもそも何で居るんだろう?



「俺はよ、ディアス、ミラと若ぇ頃からの知り合いなんだ。一緒に冒険者パーティーを組んでたんだぜ、ちなみにジャスパーとヘイルも一緒だ」

「ジャスパーさんもなの!? え、意外」

「若気の至りで御座います」



 なるほど、だからジャスパーさんってなんか強そうなのか。



「イナバ、ミラは今どういう状況なんだ? 勿論呪いが解けたという言葉を疑うつもりは全くないが、あれは一体何がどうなったんだ?」

「あれは呪いを解いたっていうか・・・僕が食べちゃった、みたいな?」

「「「「「食べたぁっ!?」」」」》



 あの時僕が使った魔法は《月喰》、効果は読んで字の如く『月の魔力であらゆるものを喰う力』だ。

 ちなみに解呪ってやっぱりイメージが湧かなくて悩んでいた時に、子供達が人参を根と葉で分けて食べてるのを見て思い付いた。


 あとミラさんの手足が治ったのは、そもそも彼女の手足は無くなっていなかったからだ。

 分かりやすく言うと呪いっていうテスクチャーを貼られた状態、きっとそうだろうって予想がついていた。

 まぁ案の定、呪いを食べちゃったら解呪と一緒に戻ってきたってこと。魔法ってつくづく不思議。



「イナバちゃんっ、なんでそんなもの食べちゃうの!? ペッしなさい、ペッ!」

「それは食べても問題ないのか?」

「うーんとね、食べたって言っても別に僕のお腹の中にあるわけじゃないよ? 引っペ剥がして隔離してる感じ」



 その呪いも対象を失ってそろそろ消える。

 普通なら月蝕に飲まれた魔法の類は消滅する──しかし、呪いはその限りじゃない。



「『人を呪わば穴二つ』ってね。行き場を失った呪いはたぶん魔力のラインに沿って、その効果を持ち主に返す。ミラさんが受けた恐怖を身をもって知る事になるかもねー」

「・・・そうか。それなら少しは溜飲が下がるな」



 残酷だと思うかな? でも僕は聖人君子でもなければ、漫画の主人公でもない。

 ムカつく奴にはウサキックするし、嫌な奴が不幸な目に遭えば「ざまあみろ」と思う。当然でしょ、人間だもん。

 だから因果応報は当然だと思ってるし、僕は子を持つ母の思いを踏み躙る奴に容赦はしない。

 僕が呪いを引き剥がしてから何時間か経っているから、たぶんそろそろ効果が出始める頃だろう。


 そう思っていたら、たぶん見張りの人だろう騎士さんが部屋に駆け込んできた。



「お話中失礼致しますっ! ディアス様っ、ヘイル隊長っ、大変です。捕まえている治術ギルドの男の体がっ!?」



 効果はテキメンだったみたいだ。

 あの呪いに魔力のパスが繋がっていたのは一人じゃなかった、きっと今頃てんやわんやだろうな。

 ディアスさん達にもそれが分かったのか、報告を聞いて喜ぶでも同情するでもなく、ただ溜息を吐くだけなのであった。


 えっ、もし頼まれたら解いてあげるのかって?

 僕ウサギだから分かんなーい。






「さて、イナバへの礼に関しては後日しっかりとさせて貰うとして、今後の事だな」



 そう言葉にしたディアスさんからジリジリと空気を焦がすような怒気・・・いや覇気かな、そのようなものが伝わって来る。



「本当に、本当に今までよくもまぁ好き勝手してくれたもんだ。俺は今回の事をただで済ませるつもりは無い」



 ディアスさんの言葉に皆が頷く。



「後顧の憂いは晴れた、だが事が終わっても問題は残る。一番の心配は領民の事、だからどうしてもイナバの協力が必要だ」

「良いよ、ここまできたら僕も最後まで協力する。街の人が可哀想だからね!」

「街へ来たばかりなのにすまない、感謝するぞ」



 詳しく聞いたわけじゃないけど、治術ギルドから本当に色々されてたみたいだねぇ。

 ミラさんの件の仕返しができるだけじゃ無くて、治術ギルドを痛い目に合わせられる。その事がとっても嬉しいらしい、ディアスさんの笑顔が凄く怖かった。



俺んとこ(冒険者ギルド)と仲の良いギルドに声掛けとくぜ。冒険者ギルドだってデケェ組織だってことを教えてやらねぇとな」

「周辺貴族と有力者関係は私にお任せを。ターハント家を、ドスの街を、旦那様を敵に回したこと、存分に後悔させてみせましょう。どうかご随意に」

「我々騎士団も衛兵と連携を組み、いつでも動けるよう手配致します! そろそろ騎士団の存在理由を見せねば、民に見捨てられてしまいますからなっ。はっはっはー!」

「俺たち龍の翼も微力ながら協力させて頂きます、何でも言ってください!」

「心強いな」



 なんか良いな、こういうの!

 漫画とかであるでしょ、敵組織を潰すのに仲間がどんどん集まってくるシーン。僕ああいうの大好きなんだよね、すっごく燃える!


 ひとまず僕は以前ギルマスとヘレンさんに話した事をそのまま実行すれば良いみたい。

 オッケー、じゃあやってやろうじゃない!


 僕だって治術ギルドと治療院にはガツンとやってやらないと気が済まない。ただこれにディアスさん達も加わったことでかなりの騒動に発展しそうだなと、僕は子供達の頭を撫でながら苦笑いした。



「ぷぅぅ〜♪」

「きゅー♪」

「可愛い、可愛い♪」

ちなみに子兎達には大人Verの方がウケがいい

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