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異世界ウサキック物語  作者: 草食丸
1章:イナバ誕生、学歴主義にウサキックの巻
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21/44

20羽:ケタ違いなウサギさん

ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)

『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』

 ・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい


『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』

 ・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい


『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』

 ・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい

 次の日、冒険者ギルドで指名依頼を受け取った僕は、子供達を連れて魔術ギルドへ来ていた。

 そしてそこには当然のようにマリアちゃんとバーニィさんが居る。どうやらロリキョメデス達の信頼度はまだまだ足りていないようだ。


 でも二人は仕事とか大丈夫なのかな? それを聞いたら「俺達もギルドからの依頼なんです」だそう。

 誰だよ僕に同行者を付ける依頼出した人。


 そんなこんなで今日もお掃除をしている。

 ちなみに今日はお掃除以外にも別のお仕事がある、それは月魔法の研究協力だ。

 そういやそれから話が始まったんだっけ? 掃除と人参で完全にトんでたわ(笑)

 そんなわけで、汚れたり危ない掃除が終わっていることもあり、掃除のお仕事は子供達にお任せ。僕は月魔法検証の方を担当する。



「僕はこのおじさん達と庭にいるから、ロリキョメデス達の部屋を掃除してあげてね」

「ぷっ!」

「もし危なそうな物があったら、触らずに僕に伝えること」

「ぷっ!」

「1時間に1回は休憩とってね、あと甘えたくなったり寂しくなったら戻ってくるんだよ? じゃあ行ってらっしゃい」

「ぅきゅっ!(敬礼)」



 子供達はたったかたーと走っていった。

 まったく、可愛いなぁ。あの姿は本当に見飽きない、というかずっと見ていられるな。



「さて、僕もお仕事するかー」



 気持ちを入れ替えて振り向くと、そこには魔写機(カメラ)を構えたロリキョメデスが・・・。



「(⌒ω⌒)ニコニコ」

「((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」



 一つの儚い命が散り、月魔法の検証が始まった。


 まず魔法には基本6属性と言われる魔法があり、その上位に当たる属性が6種類。この合計12種類が一般属性と言われているもので、それ以外が希少属性や希少魔法と呼ばれている。

 希少魔法に関しては文字通りその希少性により存在自体あやふやなものがあり、竜魔法、海魔法、天空魔法、磁力魔法の4種類だけがしっかりとした資料が残っているみたい。

 そして今日ここに新しく月魔法が加わる。


 月魔法は名称を含めた一切の情報が無い、つまりその存在が人の目に触れること自体初めてとなる魔法かもしれないのだ。



「とまぁその様な訳で。イナバ様には是非ご協力戴き、月魔法が希少魔法なのか上位魔法なのかを検証致したく」

「成る程、今見つかっている魔法の発展形である可能性もあるんだね。ロリキョメデス、意外とちゃんとしてるんだね」

「お褒めに預かり光栄」



 別に褒めてねぇけどな。

 先程僕に蹴飛ばされたロリキョメデスが主導となって、派閥幹部六名とお手伝い数人で計測器的な物を沢山運んできた。



「そういえば僕って土と月の魔法が使えるわけだけど、もし月が土魔法の発展形じゃない場合『二重奏魔法師(デュアル・キャスター)』ってやつになるの?」

「そこは色々と基準が設けられておるのだ。そもそもお嬢は魔法使いにも階級があるのをご存知か?」

「いや、知らんねぇ」



 僕の質問に、近くに居たメスガキウスが答えてくれる。



「まず魔法使いには一から十までの階級があり、その階級に応じて魔術師・魔法師・魔導師と別れておるのだ。シングルやデュアルは使える属性の数だな。だから月魔法が土の派生でなければデュアルではあるが、魔法師と呼ばれるかは階級によるのだ」




 メスガキウス曰く十から七までが魔術師、六から四が魔法師、三から一が魔導師と呼ばれていて、『魔法使い』というのは魔法が使える者の総称らしい。

 階級が上がる条件は『操作』『応用』『魔力量』で決まり、だいたいの人がこの『魔力量』で引っ掛かるのだとか。



「魔力量は後天的に増やすことも出来るのだが、基本的には遺伝によるものが殆どと言われておる。魔法はイメージであるからな、操作や応用は努力でなんとかなる。しかし魔力量だけは増えるにも限界がある故、才能が物をいうと言っても過言では無い」

「ここにも才能の壁が・・・」



 どこの世界も世知辛ぇな。

 どこかに努力で全てが決まる世界はないものだろうか? そんな事を考えていたら、準備が終わったのか幹部達が集まってきた。



「その様な経緯がありまして、まずはイナバ様の魔力量を測らせて戴きたく!」

「月魔法を調べるんじゃないの?」

「まずは魔力量を調べて、月魔法の消費魔力量も知りたいのでゴザル!」

「その後に月魔法の効果諸々をお調べするのであります!」



 説明しつつテキパキと道具を設置していく彼ら、全てが終わると最後にプリンター的な物が繋がった水晶が目の前に置かれる。



「これは僕達が開発した魔力の総量と波長を計測する魔道具です。イナバ様、此方の水晶に魔力を流し込んで戴けますか?」

「ほい──むんっ!」



 僕は冒険者ギルドで魔法の知識を手に入れたことで、今まで適当に使っていてよく分からなかった魔力の流れを掴む事が出来るようになっていた。

 だから流し込むくらい余裕。寧ろラノベの定番みたいに、水晶パリーンッ!からの「なんかやっちゃいました?」の方を心配している。


 ・・・心配していたんだけど、残念。計測器は問題なくカタカタと動いていた。



「そういえば魔力量って普通どのくらいなの?」

「そうでありますなぁ〜、非魔法使いの魔力量が300〜500くらいでゴザル。魔術師で1,500〜5,000、魔法師で4,000〜10,000、魔導師は10,000以上でゴザルよ」

「ちなみに、この国最高の魔導師オリジン様の魔力量は920,000だな。これは王国歴史上最高と言って良いだろう」

「ひょえー、ケタ違いだね」



 ケタ違いだし、桁も違うわ。下手したら国中の魔力集めたくらいあるんじゃない?


 僕が感心していると、プリンターみたいなのから「ピーッ!」と音が鳴る。どうやら計測が終わったみたいだ。

 どうやら機械はプリンターっぽいだけで紙は出ず、リアルタイムで魔力の推移を数値化してくれるみたい。


 魔力量ってステータスにも出ないから、実はちょっと気になってたんだよねー。どれどれ──って、なんで皆固まってんのよ。

 もしかしてアレか、魔力量が高過ぎてビックリしちゃったやつか? そうかそうか、いやぁ~ゴメンね。きっとそれ転生チートってやつだわ、めんごめんご!

 そっか、僕のチートはこんな所に隠れてたんだねー。のっけからハードモードだったからそんなん無いと思ってたわ。良かった良かった!

 さて、ではそんなチートをちょっくら拝ませて貰おうかね!


 僕は彼らを押し退けて表示を見た。



 名前:イナバ  4,600,000,000/4,600,000,000 MP



「桁が違うっ!?」



 僕もまた、ケタ違いだった。





 ◆◇◆◇





 僕の魔力量はバグっていた。

 ごめん、正直テンプレ展開できっと国最高の魔導師より多いだろうなーって予想はしていた。予想はしていたけど、この量は予想してなかった。

 何だよ46億って、地球の年齢かっ! 意味不明過ぎて、自分でもよく分からんツッコミが出た。



「こ、この量は流石に・・・計測失敗か?」

「いえ、数値は正しく推移して居るのであります。と言うことは、この数値は間違っていないということであります」



 あまりのケタ違い過ぎる数値に皆が動揺する。



「イナバ様、一度全ての魔力操作を切って欲しいのであります」

「あいよー」



 僕はアリスメデスの指示に従い、身体操作と月光浴、そして水晶に流していた魔力を切る。



 名前:イナバ  0/0 MP



「桁が違うっ!?(3回目)」

「これはまた・・・判断に困る数値であるな」

「これでは魔術師とも言えませぬ」

「というか、よく生きていられるのでゴザル」

「そんなにっ!?」



 ケモロリオスが言うには、この世界の生き物は人間魔物動物植物すべからく魔力を消費しながら生きているらしい。故に全ての生物は大小魔力を宿していて、使い切ると死んでしまうのだそう。


 そんな理由で僕の様に魔力ゼロにも関わらず平気で生活しているのは、通常では考えられない状態らしい。

 そしてこれによりもう一つ、先程の46億という馬鹿げた魔力は何処からか引っ張ってきているという事が分かった。


 そんな事あるのか?と思ったが、希少魔法には往々にしてあることみたい。

 竜魔法は地脈から、海魔法は海から魔力を補填していて、魔法使いは魔法石を使うし魔物は魔石を持っている、だから今回の事も充分考えられるみたい。


 ・・・まぁ、流石に魔力ゼロは初めて見たらしいけど。


 ということで、ロリキョメデス達が計測器をカタカタと操作して魔力の大元を追っている。その結果判明したのは・・・。



「まさか、伝承は誠であったか・・・」

「ですが本当にそうなら、あの数値にも納得ですね」

「これは歴史的な大発見でありますっ!」

「うっそぉ・・・」



 皆が空を見上げる。

 僕が魔力を引っ張ってきていたのは、『月』だった。




 名前:イナバ  4,600,000,000/4,600,000,000 MP


「知っているやも知れぬが、月は巨大な魔力の塊であり、そこには神々が住んでいると言われておるのだ」

「しかし月から魔力を引っ張る方法など分かるはずもなく、私共魔法使いの間でも伝承や噂話として伝わっているだけでした」

「イナバ様は魔法を使う際、月の魔力を借りられる。これはつまり月の魔力量がイナバ様の魔力量と同義なのであります」

「46億かぁ、半端ないね」



 そんなん、余ってしょうが無いでしょうに。

 でもまぁコレに関しては心当たりが。間違いなくクラス『輝夜姫』が影響してるんだろうなぁー。

 そうか、お前ここで出てくるか。てっきり名前だけの存在だと思ってたよ、しかも案の定チートだし。


 自分の事ながら呆れていると子供達から《共有》で連絡がきた、洗濯物が集まったから洗いたいらしい。



『じゃあ《土壁》で大きな水溜め場作って、誰かに水入れて貰って。洗い終わったら手分けして干してってね』

『ぷぅ!』

『頑張ってるね、良い子。あとでモチモチしてあげる!』

『うきゅっ♪』



 あの子達は賢いから言葉が通じなくても上手に伝えるだろうし、最悪バーニィさんかマリアちゃんを探すだろう。

 日々成長するのが実感できて、お母さん凄く嬉しいです。今晩は全員モチモチして褒めてあげないと!


 モチモチが何かって? モチモチはモチモチさ!



「おや、魔力が。イナバ様、今何か魔法を使われましたかな?」

「いんや、何も。スキル使ったくらい」


 名前:イナバ  4,599,998,000/4,600,000,000 MP


「2,000も減ったのでゴザル!?」

「量としては中位魔法、未熟な魔術師ならば一瞬で干乾びる量であるな・・・」



 名前:イナバ  4,599,996,500/4,600,000,000 MP


 名前:イナバ  4,599,995,200/4,600,000,000 MP


 名前:イナバ  4,599,994,900/4,600,000,000 MP



 なんだなんだ、すごい勢いで減っていくぞ?



「こ、これは何事でありますかっ!?」

「全体で見れば少量だが、中位魔法を連発しているぞ。イナバ様は大丈夫で・・・平気そうであるな」

「イナバ様、何か心当たりは御座いませんか?」



 スクミズトスにそう聞かれるが、全く心当たりが無い。そもそも僕はここで水晶に魔力を流す以外の事を何もしていないんだから。



『ぷぷぅ!』

『んー、どしたの?』

『ぷっぷぅ! ぷっぷぅ!』

『干す所かぁ、そういや物干し台とか無さそうだもんね。んーじゃあ《土壁》を細長く伸ばして、うんそうそう、そこに棒掛けたら良いよ』

『ぷぅっ!』

『届かない所も《土壁》で踏み台作ったら届くから。うん、頑張ってね』

『ぷぅー、きゅきゅっ♪』


「な、なんだっ。減る速度が上がったのであるっ!?」

「もう2万を超えていますっ、何か不味くありませんかっ!?」


 名前:イナバ  4,599,968,400/4,600,000,000 MP



 減る速度が上がったらしい。

 でも本当に僕何もしてないんだけどなぁ・・・。






 ん? え、いやまさか・・・そんな事あり得るのか?


 僕は一つの可能性に気が付いた。

知ってるかい、まだ月魔法の検証にすら入ってないんだぜ?

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