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異世界ウサキック物語  作者: 草食丸
1章:イナバ誕生、学歴主義にウサキックの巻
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19羽:お風呂に入るウサギさん

ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)

『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』

 ・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい


『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』

 ・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい


『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』

 ・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい

 今日は疲れた。なんで僕は歓迎会にお呼ばれして、大掃除して帰ってきたのか、今でもよく分からん。

 とりあえず、あの変態たちが悪いってことにしておこう。

 僕がそんな益体もない事を考えながら歩いていたら、近くから不満げな声が聞こえた。



「ぶぅぅ・・・」

「ぐぅー! ぐぅー!」

「ぶぅっ!(ぐいぐいっ)」

「んー? 何、どしたん。何を怒ってるの?」

「ぶぅぅーっ!」



 怒ってるというより、なんか不満げ。

 皆が僕に集まって、服を引っ張りながらぶーぶー言ってくる。なんか滅茶苦茶可愛い・・・って、萌えてる場合じゃないな。

 ただ聞いてあげたくても、一斉に話し掛けて来るから何言ってるか分からないんだよね。《共有》ってこういう時不便だなぁ。


 僕が困っていると、近くに居た年長組でセミロングボブの男の子が皆を纏め始めた。流石年長組、しっかりしてはるわ。

 実はこれが僕と子供達との決定的な違いで、凄く嬉しいけど凄く困ることでもある。


 正直、今みたいな事は結構頻繁に起こる。

 理由は様々だけど、基本的には僕起因で起こる子供達の不満だね。で、それが起こると今みたいに僕に集まってきて一斉に不満を言って来るんだ。

 これが子供達同士で起こった場合「まぁ仕方ないかー」って感じで納得して、特にギスギスせず言い争いもせず収まっちゃうんだけど、僕が相手だとむっちゃ言ってくる。

 これは裏を返せば、僕には言っても大丈夫だって思ってるということ。つまり僕は甘えられる相手だって認識してくれてるってことなんだ。


 これ、凄く嬉しくない?

 自称母親としては喜怒哀楽全てで甘えてもらえるっていうのは、この上なく嬉しい。だからつい抱き締めたくなっちゃう、お母ちゃんやってて良かったと思う瞬間である。


 しかし見方を変えれば際限なく文句を言ってくるって事で、いくら可愛い内容の文句でも200羽いっぺんに話しかけられると《共有》が混線して何を言ってるのか分かんなくなっちゃうのだ。

 ただ今みたいに年長組の子が纏めてくれると、みんな無茶苦茶言わないから重要なことだけが伝わるので大変助かる。


 そう、凄く助かるけど・・・やっぱり母親として子供を便利に使っている気がして気が引けるし、何よりちゃんと聞いてあげられないのが少し情けない。



「はぁ、僕もお母さんとしてまだまだだなぁ・・・」

「い、いえ、流石に200人は本物の母親でも無理なようなぁ・・・。と、ところで、子供達はなんていってるんですかっ?」



 おっとそうだった。Hey,セミボブ君、君のブラザー達はなんて言ってるんだい?


 この子が纏めた話を聞くに、どうやらみんな僕がロリキョメデス達に料理を作ったことが不満だったらしい。

 自分達もまだ僕が作った料理を食べた事がないのに「なんであの変なのが食べてるのっ!」とのこと。

 君ら、僕が作った料理食べたかったの?



「ぷぅ!」

「ぶぅ、ぶー!」

「だむだむ(足ダン)」

「ぷぅぅっ、ぷぅー!」



 そうかそうか、食べたかったのか。そっかぁ~っ!

 やっべぇ、超顔がニヤける。そっか、この子達は僕が自分達を優先してくれないことが不満だったのか。そうだったのかーっ!


 僕は嬉しすぎて子供達を順繰り抱き締めて、チューしまくった。



「そうだね、真っ先にみんなに食べさせてあげるべきだったよね、ゴメンね。お詫びに近いうち何処かでキッチン借りて、料理作ってあげるから! んで、そのうち人参料理もいっぱい作ろう、それでどう?」

「ぷぅっ! ぷぅっ!」

「ぷぅぅ〜♪」

「きゅ〜♪」

「ぷぅ、きゅぅーん!」



 僕達兎は基本誰にだって優しいし、危険人物でもない限り不満があってもすぐに受け入れる。そして弱っている個体に寄り添う、ある意味究極の平和生物だ。

 でもそれと同時に僕達の仲間意識は非常に強い、『友達』と『仲間』の間には絶対の壁があるんだ。


 魔境から行動を共にし、普段からも寝食を共にする龍の翼のみんなは勿論『仲間』。


 お仕事をやオヤツをくれる優しいギルド職員さんや冒険者さん、そして優しくしてくれた騎士さんや街の人達は『友達』。


 そして今回知り合った魔術ギルド(変な人達)の人達は『知り合い』。


 そう、ロリキョメデス達は下も下。

 子供からすれば仲間を優先して当然の存在であるうえ、弱った個体が居るわけでもないのに僕が不文律を破ってしまった。そりゃ子供達だって文句言うわ。


 僕はその辺の意識というか本能?がちょっと薄いから、感情に流されがちなんだよね。気を付けないと、僕にとっては子供達が一番なんだから!



「人参を使った料理、なににしようか? いっぱいあるよー。キャロットパンに人参しりしり、シチューとかも良いよね。君らならゴボウと人参のサラダも良いかもね」

「きゅー♪ きゅー♪」

「ぷぅぅ〜・・・じゅるり」



 《共有》で料理のイメージが伝わったんだろう。喜び、中にはヨダレを垂らす子まで居た。いや、まだ作れないからね? 人参どころかキッチン無いから・・・ってあぁ、そんなにお耳しょげないでっ! 近いうちにキッチン借りるからー!

 《共有》も良し悪しだな。



「そういえば、イナバちゃんって料理出来るんだねー。なんかさらっと作ってたから疑問も浮かばなかったよー」

「そういやそうっすね、どこかで経験があるんすか?」

「まぁね〜」



 一人暮らしが長かったってだけさー。


 ・・・ん、一人暮らし?

 あれ、誰かが居たような・・・大切な誰かが・・・。


 僕の朧気な前世の記憶への疑問は、子供達の頭を撫でているうちに霧散してしまった。





 ◆◇◆◇





 ヘレンさんとも別れお家に到着した僕らだが、一つ僕はどうしても気になることがあった。



「体が埃っぽい・・・」



 大掃除したからね、全身がなんか汚れてるというか埃っぽいというか・・・。

 気分的なものかも知れないけど、このまま御飯食べるのも寝るのもヤだなぁ。特に今は危険の無い場所にいるんだから清潔にしたいし、子供達は常に綺麗にしてあげたい。



「こんなことなら魔術ギルドでお風呂借りて帰れば・・・いや、その選択肢だけは無いな」



 覗きが怖いし。

 しかしお風呂の存在を間近に見たせいか、妙にお湯に浸かりたい。



「お、お湯作りましょうかっ? 桶があればそこに出しますよ?」

「え、アルメリアさん火と水の魔法使えるの?」

「え、えぇ一応・・・」



 アルメリアさんが照れ照れしてる、うん可愛い。



「なぁーにが“一応”よっ! イナバちゃん聞いてっ、アルメリアはね凄いんだよー!」

「アルメリアは四重奏魔法師クアドロプル・キャスターなんですよ、凄く珍しいらしいです」

「本来なら俺っち達じゃなく、もっと上位の冒険者パーティーに居てもおかしくない実力者なんすよ!」

「そそそそんな事ないですぅーっ!」



 そうだったのか、全然気付かなかった。け、決して可愛い顔と大きなたわわばっかりに目が行ってた訳じゃないゾ!


 しかし、そっか。お湯が作れるなら・・・。



「と、とにかく、お湯が作れますっ」

「ねぇ、それっていっぱい出せる?」

「え、えぇそれなりには」

「じゃあ、それならさぁー・・・」



 僕は今日夢を一つ叶えることになった。






「というわけで、ドーンと作ってみました大浴場!」



 こらっ、「えぇ・・・」とか言うな。良いじゃんみんなで入ろうよ! まぁ男女は分けるけどね!


 僕は借りている敷地の空きスペースを使って、巨大な四角形の浴槽を作った。

 縦横25メートル、深さ1メートル、床や浴槽には裸足で歩いても痛くないようツルツル加工した硬化土を敷き詰めて、目隠しに5メートルの壁を作った。

 浴槽の間に仕切りを作り男女分けてはいるけど、下に水穴を作ることで湯を共有し沸かす手間を省いている。



「ふふん、どう?」

「いや、どうと言われましても・・・」

「こ、こんな量無理ですーっ!?」



 あ、やっぱり?

 聞けばアルメリアさんは水魔法で出した水を火魔法で温めるつもりだったようで、この量の水を出したうえでお湯にするのは魔力が足りなくて無理だそう。

 この大きさだと36万リットルくらいか、そりゃムリだわ。でも、「両方は無理」ってことは片方ならイケるのかな?



「そ、それなら何とか・・・」

「オッケー、じゃあ水は任せてよ!」



 僕もそこまでおバカじゃないので、ムリかもなーと予想はしていたし代案も考えていましたとも!



「月魔法『月の雫』」



 僕が月に手を翳すと、月の光が浴槽に振り注いだ。

 光は数秒何もない浴槽の底を照らし続けると、突如そこから『コポッ、コポコポコポ』と泡立つように水が溜まりだす。水は澄み切っていて、よく見ると中で銀色の何かが輝いていた。

 月の雫は本来、古い意味で霞や真珠を現す言葉なんだけど・・・まぁ魔法はイメージだし、僕が想像しやすければ何でも良いのだ。

 これ、同じ名前の和菓子があるんだけど、そっちをイメージしたら月からそれが出てくるのかな? ・・・気にしたら負けだな。



「な、なんですかコレッ!?」

「んー、『月の雫』って言って月の魔力を凝縮して液体化・・・されたような感じ? 知らんけど。まぁ触っても飲んでも全然大丈夫だよ、何なら魔力も回復するし」

「それっ、『女神の涙』じゃないんですかっ!?」

「女神の涙って、あの超レアアイテムの!?」

「マジっすか!?」



 なんかヤバいものらしい。ってそれよりも『女神の涙』ってネーミング良いな、僕も今度から月の涙にしよう。



「こ、これ少し掬っても良いですかっ?」

「良いよー! でもお風呂も早く入りたいから、火お願いね」

「任せて下さいっ! ふんふふ〜ん♪」



 おぉ、アルメリアさんが珍しく上機嫌だ。


 僕達はそれから30分ほど経った後、仲良くお風呂に入る。

 ぶちゃけ「一緒に入ろうぜー」と言っていた僕だけど、一緒に入るってことをちゃんと想像していなかった僕はちょっとした罪悪感を覚える・・・のだが、目の前の桃源郷にそんな気持ちも一瞬でどこかへ消えてしまった。



「お風呂なんて、お貴族様みたいっ」

「頑張った甲斐がありましたぁー」

「ありがとうね、アルメリア! 良いお湯だね〜」

「ふぅ〜・・・良いお湯ですぅ」

「イナバちゃん、こっちをジッと見てどうしたの?」


 二人ともすんばらしい! というかめっちゃ二人とも美形だよねー。


 まずマリアちゃんは猫耳のついた美人お姉さん。

 猫獣人の特徴なのか、身長は普通なんだけど体格の割に手足が長くて頭身が高い!

 女の人って七頭身ってだけでもスタイル良く見えるのに、マリアちゃんはそれ以上。お腹もすらっとしていて、薄っすら腹筋が割れてる。そしてその上にはちょうど良い感じのたわわが・・・良きっ!

 髪型もスポーティで、まさに『カッコいいお姉さん』だ。


 次に我らが(?)アルメリアさん!

 彼女は身長が僕より少しだけ上。僕が140センチだとしたら150センチくらいだろう、なのに顔がちっちゃい。

 だから頭身も高くて大人をそのまま縮小したような感じだ。それにも関わらず・・・え、何あれ。すごっ、すごいんだけどっ!?

 何あれ、細っ!? 普段の服がダボッとしてたから分かり辛かったけど、脱いだら細っ!? どこに御飯入るの?

 アルメリアさんはマリアちゃんと比べると、確かに運動している体型じゃないけど充分細い。そして実る、たわわがわわわしてるっ・・・浮くんだ? それって浮くんだ? それにもしかしてIカッ・・・ゲフンゲフン、とりあえず良きでした。眼福眼福ありがたやぁ~。



「イナバさん、どうして拝んでいるんです?」

「さぁ〜? それにしても、イナバちゃんって結構スタイル良いよね」

「で、ですねっ。凄く美人さんですし、足がウサギさんなので分かり辛いですが足も長いですっ!」

「そうだよね! あと足腰が強いからかな、お尻と太ももが太くてムッチリしてるよね? あ、いい意味でね」

「いい意味でムッチリってなに!?」



 初めて聞いたわ、そんな評価。

 あぁでも、よく子供達が膝枕せがんで来るのは、それが関係してるのかな? 君らそこんとこどうよ?



「ぷぅいゅぅぅ〜♪」

「ぷぅぅぅぅ~~~♪」

「ぷぅぅ〜?」



 うん、堪能してくれているようで何より。

 僕達はそれから、スライム化した子供達を見つつお風呂を堪能した。





 一方、その頃男湯では。



『イナバちゃんスタイル良いよねー』

『ケモ足のせいじゃない?』

『そんな事ないですー』



 壁越しに、聞こえる兎と、女子の声(字余り)。


 女性陣の楽しそうな声を聞きつつ、バーナードとリド、そしてウサBOYSがお風呂を楽しんでいた。

 だが見る者が見れば男二人が、沢山の幼女を風呂に連れ込んでいるように見えなくも無い。

 彼らの名誉の為に言うが、ここに居る子兎達は全てオスである。

 誰が何と言おうと間違いなくオスであり、彼ら二人もそれを認識していて特に思うことは無い。仮にメスだったとしても親戚の子を風呂に入れてやってる以上の気持ちは無い真っ当な大人である。

 そこの所は、注意してもらいたい。



「楽しそうっすねぇ〜」

「そうだなぁ」

「ぷぅ?」



 男は風呂をじっくりと堪能する者が殆どで、それはこの世界でも同じようだ。実に静かなものである。

 しかし壁越しにあれほど楽しそうな女子の声が聞こえていれば、男として思うところが無いでもない。



「俺っち実はイナバちゃんが『みんなで一緒に入ろう』って言った時、ちょっとだけ期待したんすよ」

「あー、まぁ気持ちは分かるぞ」

「良かったっす」



 男の悲しい性が月夜に溶けつつ、兎御殿の夜は過ぎていく。

ただのサービス回

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