17羽:ロックオンされていたウサギさん
ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)
『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』
・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい
『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』
・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい
『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』
・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい
当時のことを思い出したのか、僕に縋り付いて泣きじゃくるアルメリアさん。
その様子を見て、何故か当事者というか加害者の魔術ギルドの人達が狼狽え始めた。
「すす、すまないアルメリア嬢。当時の事は我々も気が急ってしまい、我が派閥の者が貴女の気持ちを蔑ろにしてしまった。心を入れ替えるから、どうかギルドに戻って・・・」
「いやああああああっ、気持ち悪いですううううっ!? キモいですっ、キモいですっ! うえええええん、助けてイナバさああああんっ」
「それ以上僕のアルメリアさんに近付いたら、秘境まで蹴り飛ばすよ」
僕のじゃないけどね。もう大丈夫だよー、よしよし。
僕はガチ泣きでしがみついてくるアルメリアさんを抱き締めて、彼らを睨んだ。
そう言えば前にも派閥がどうこうって聞いたことがあるけど、結局アルメリアさんは派閥騒動で無理矢理組み入れられそうになってギルドを辞めたとか、そんな感じなんだろうか?
「違うんです、全然違うんですよイナバさん。それが理由ならどれだけ良かった事か・・・」
「あんまりこういう事をイナバちゃんの耳に入れたく無かったんだけどね、コイツ・・・『ロリ巨乳派』なんだよー」
Watts?
ごめん、なんて?
「そうっ、私はロリ巨乳派閥の筆頭幹部『ロリキョメデス』!」
「我はメスガキ派閥の筆頭幹部『メスガキウス』である!」
「俺はロリババア派閥の筆頭幹部『ロリバメデス』だ!」
「拙者、亜人ロリ派閥の筆頭幹部『ケモロリオス』でゴザル!」
「僕は褐色ロリ派閥の筆頭幹部『スクミズトス』です!」
「自分は無知幼女派閥の筆頭幹部『アリスメデス』であります!」
もうお前ら滅びてしまえ。なんで胸張って言えるんだよ、お前ら無敵かっ!
しかも派閥ってそういう派閥かよっ!? それ派閥じゃなくて、同じ趣味の変態が集まっただけじゃんっ!
「だからイナバちゃん達に行って欲しくなかったんだよー」
「なのにイナバさん、食べ物に釣られてひょいひょい着いていくものですから、どれだけ心配したか・・・」
「こ、ここここの人達っ幼い外見の女の人とっ、一緒に暮らすことしか考えてないんですっ!」
「失礼なっ、私はちゃんと貴女と結婚する事まで視野に入れていましたよ?」
「ひいいいいいいいっっっ、絶対にお断りですううううっ! うえええええんっ、イナバさんあの人達気持ち悪いですううううっ!!」
これはヒドい、お前等NOタッチの精神はどこに行ったんだよ。
しかしこれで分かった。コイツ等、色々な趣味(全部ロリコンだが)の人間が集まって組織化してるんだ。
そして僕はアルメリアさんがここでイジメを受けていたんだと思っていた、でもそれは違うくて正しくは──。
「だが私は裕福だぞ? 魔法に造詣も深い、きっとお互い理解し合えるし楽しい未来が築けるはずだ」
「イヤですっ、絶対イヤですっ、地獄しか見えないですーっ!」
ロリ巨乳派閥に交際を迫られて逃げたって事か。
アルメリアさんはよく見ると凄く可愛いし、中高生程の体格にそれはそれは大変なたわわをお持ちだ。ロリキョメデス達にとっては理想の女性だったんだろう。
そう言えば冒険者ギルドで、僕の取り込みに必死だったのが亜人ロリ派閥と無知幼女派閥の二人だったな。
これを知ってしまった今となっては、今までの彼らの行動に全て納得がいってしまった。
どうやら僕は二派閥から狙われているらしい。
「うん、キモいっ☆」
「あふんっ!」
メスガキ派閥の男が胸を抑える。
しまった、三人目も刺激してしまったらしい。
「ちなみにここを脱退し冒険者ギルドにいる方々は、この虫たちと一緒にされることが耐えきれなくなった方々です。残っているのは変態か、この状況にも耐える心臓に毛の生えた方々です」
「ここだけじゃなくてギルド全体がそうなんだね・・・」
そりゃ犯罪組織だって言われるわ。
しかし彼らの魔法技術は確かなもので、魔物討伐だけでなく生活のあらゆる面でその技術が使われている。
そして冒険者ギルドもその戦闘力を借りないと街を守りきれず、また魔術ギルドも冒険者の力を借りないと研究が進まない。
お互い嫌いつつも切り捨てることが出来ない関係なんだそう。
「一応ちゃんと研究してたんだね」
「はい・・・。しかも、国から一定の評価を得ているので余計に面倒なんですよね」
「はぁはぁ、イナバ様・・・」
「素晴らしい毛並み、そこに顔を突っ込みたい・・・」
「あぁなんと素晴らしいアリスロリの子兎様達、自分は今天にも昇る気持ちですっ」
「ぐぅぅぅ・・・」
「ぶー、ぶぅぅ・・・」
これさえ無かったらなぁ。
「・・・帰ろっか、ここに居たら身の危険しか感じないし」
「そそそそれが良いですっ!」
「そうですね。幸い、信じられないことに、誠不思議な事にこの方々は犯罪を犯してまで手は出してきません。帰っても問題ないでしょう」
「帰ろー帰ろー」
「そ、そんなっ!? 待って欲しいのでゴザルッ!」
「どうか自分達とギルドで暮らして欲しいのでありますっ!」
ずぅえったいにイヤ! これ以上こんな所には居られない。
もちろん今日の人参祭り、もとい歓迎会には感謝してるよ。
人参という素敵食材に会えた事、そして子供達がこんなにも喜んでいる姿を見せてくれた事には心からお礼を言いたいし、何なら後日何か御礼の品を届けようと思う。ただ今後は近付きたくない、さらばだ!
僕は子供達を引き連れて、扉に向かう。
ただ部屋にはいっぱい扉があって、どれが入ってきた扉か忘れてしまった。とりあえず一番近い所ので良いか。
「あっ!? ま、待つのであるっ、その扉は!」
「入っちゃいけないのであります! とりあえず待つのであります!」
「どうか待って欲しい!」
待たへん待たへん。
僕は彼らの「ああああっ!?」という謎の声を無視し、ドアを開け──そして、閉めた。
「・・・・・・」
今、何が見えた? おかしいな今の一瞬の記憶が無いぞー?
僕はまたドアを開き──本能的に閉める。ドアを開かなきゃいけないのに、本能が拒否してしまう。
Hey,Hey,まぁ落ち着きたまえよ僕。
とりあえず、この扉は外へ向かう扉では無ぁい。それだけは分かってる。だからここは無視して別の扉へ向かうんだ。
ただ、その前に。
その前にちょっと聞いてみよう。
大丈夫、僕は今クールだ。何を聞いたところで全く問題無い。
僕は後ろにいる変態達に声を掛けた。
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ・・・ここは何の部屋?」
「・・・・・・ぼぅ、です」
何て? もっかい言って。
「・・・厨房、です」
「・・・・・・」
「お前等、そこに全員正座」
バカっぽい偉そうな名前、頑張って考えました




