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異世界ウサキック物語  作者: 草食丸
1章:イナバ誕生、学歴主義にウサキックの巻
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12羽:勉強するウサギさん

ウサギ語の大味説明(会話内容は想像しましょう)

『ぷぅ、ぷぷぅ♪、きゅっ! きゅー♪ ごろごろ』

 ・・・嬉しい、楽しい、興奮、甘えたい、気持ちいい


『ぐぅ、ぐーっ!、ぶぅ ぶー だむだむっ!(足ダン)』

 ・・・不満、怒ってる、警戒、拗ねてる、羨ましい


『くー、くぅーん、きーっ! だんだんっ(足ダン)』

 ・・・怖い、危ない、痛い、悲しい、寂しい

 手続きを済ませ、僕の手元にカードが来たのは30分ほど経ってからの事だった。

 確かに一枚発行するのにこれだけ時間かかるなら、200枚なんて途方も無い時間が掛かりそうだ。

 僕はヘレンさんの気持ちがよく分かった、あと筋肉へのイラつき度も。


 ちなみにこの筋肉の名前は『グスター』って言うらしい。

 まぁ、ギルマスで良いだろう。


 貰ったギルド証は二つ。

 ひとつは普通のカード、魔力を通すとステータスが浮かぶようになってる。

 もう一つが木で作られたドックタグだ、これは地球のドックタグと使い方は同じ。遺体を持ち帰れないときの遺品代わりだ。

 冒険者は危険な仕事もあるので、当然そういう事も起こり得る。この形が普及したのもまぁ納得だ。

 尚、登録はどのギルドも年齢不問。僕達みたいに異常に成長の早い種族もいるからだと説明され「なるほど」と納得。まぁ僕達ほど早く成長する種族は初めて見たってヘレンもびっくりしてたけど。


 さて、何で今回僕だけ先にカードを作ったのかというと、それは『預金』の為。

 僕の手元には今一千万円を超えるお金がある、これを早くどうにかしたい。

 というか、生前でも財布に二万円以上のお金を入れたことが無い僕としては、ぶっちゃけ大金を持ち歩くのが怖いっ!それで、ギルド証にお金を預ける機能があると聞いた時「これだっ!」と思ったわけだ!


 あと普通に重い。何十キロあるか知らんけど、そもそも“十キロ”ってのが日常で持って歩く重さじゃねぇ。筋トレの世界だ。そんなん喜ぶの筋肉(ギルマス)ぐらいだろ。

 というわけで、ある程度を手元に残しあとは預けた。

 カウンターに革袋を出した時のヘレンさんの顔は、それはもう凄いものだった。





 この世界では、5人家族が一ヶ月普通に暮らすのに金貨5枚ほど必要らしい。

 僕達兎は低燃費だけど、あの広い敷地の家賃を払わなきゃいけないし、だいたい同じ金額がかかると見ていいだろう。と言うことは一ヶ月に金貨200枚必要になる。


 ・・・あれぇ〜、最近それに近い数字見たぞ? そう、工事の報酬だね!

 つまり僕達がこの街で一ヶ月暮らすには、公共事業並みのお金が必要ということになる。



「うん、無理ゲー☆」



 これは流石にお母さんでも無理かなー。

 というわけで、情けないが子供達にも協力して貰うことにした。


 協力と言っても、何も食費を減らそうってんじゃない。それだけは、お母さん許しません。

 では何をして貰うのか、それは『山菜集め』である。


 自慢じゃ無いが、僕達は食える雑草探しのプロである。

 魔境のあのヤバい環境下ですら食えるものがあったんだ、この辺に無いわけがない。

 そこでヘレンさんに聞いてみたところ、やっぱり山菜はあるらしい。やったね!

 とはいえ、すぐに出られるわけじゃない。

 明日にでも未納だった入城税を払いに行くけど、ギルド証を貰えるまで出入りに税金がかかる。この人数分を払ってたらあっという間に破産だ。

 というわけで数日は街中で待機になる。


 その事を兎御殿(ウチん家)に帰ってきたマリアちゃんとアルメリアさん(魔獣騒ぎの後処理が終わったらしい)に話していたら、魔法の勉強を勧められた。



「いいイナバさん達の魔法力は本当に凄いんですっ、なのに何も知らないなんて勿体ないですっ!」

「ウチも魔法の熟練度レベル10なんて初めてみたよー。何せレベル5で一流って言われてるからね! 魔法を使わなくても魔力で身体を強化できるし、知っておくと便利だよー?」



 とのこと。あのスキルの後ろの数字は熟練度だったらしい。


 確かに僕達は《土魔法》以外に《月魔法》という意味不明なものを持っている。それに《共有》の検証もしてみたかったし、折角なのでギルド証が出来るまでの数日間は勉強に充てることにした。


 ちなみに余談だけど、マリアさんとアルメリアさんはウチの子達と一緒に寝るのが当たり前になり過ぎて、子供達が居ないと熟睡出来なくなったらしい。

 その結果、この間から毎日ウチにお泊まりに来る。

 アニマルセラピーの効果がやべぇな、ウチの子達からは癒し効果のある何かが出てるのかもしれん。

 もし見付けたら『ウサニウム』とか名前つけて学会で発表してみよう。





 翌日、流石に200羽で街中を行動するのは大変なので、先日と同じく幼年組(見た目は全員一緒)の60羽だけを連れてあちこち歩く。


 まずは未納だった入城税を払いに行く。

 正確な人数が分からなかったので聞いてみたら「ざっくり200人分で良いよ」って言わてたので銀貨400枚、つまり金貨40枚払った。

 ・・・あれぇ〜、めっちゃお金減るじゃん(汗)


 次に服屋へ移動する。

 ここは先日女性騎士さんと訪れた店で、沢山の古着を扱っているお店。お金が無い僕にとっては大助かりだ。

 ここのお店はなんと安い反物も扱っていて、ちょっとお金を出せばオーダーメイドも受け付けてくれる。

 というわけで、先日購入した子供達の服と全く同じ形デザインのものを140着依頼した。

 お店の人も前回のことで何となく予想をしていたらしくて、快く受け付けてくれる。「よーし、腕が鳴るわー!」って楽しそうだったのが印象的だった。


 ちなみにウチの子達が来ている服は、オスメス全員ノースリーブのワンピーススカートだ。

 騎士のみんなに買ってもらった時、流石に男の子にスカートは可哀想かなって思ったんだけど当人は気にしてなかったし、何より無茶苦茶可愛いウチの子に最高に似合ってたので別に良いかなって思いました、まる。

 尚、毛皮の多い獣人は服を着ないことが多いそうで、ウチの子達はヘソから下が全部毛皮&ウサ足なので着るのは上だけだ。

 その格好で集まってる様子がスモック着た幼稚園児みたいで、もう可愛くて仕方ありませんでした(昇天)。


 次に来たのが冒険者ギルドの三階資料室。

 ここにはスキルや魔法に関する本が揃っているので、色々と情報収集をしようと思いやって来た。

 その間、子供達はギルドでお手伝い中。

 ウチの子達は賢いので迷惑は掛けないと思うけど、手伝える事なんてあるのかなぁーと思い聞いてみたら、「そこに居るだけで役に立ってくれてる」「もう厳つい男ばっかり見ていたくない」「癒しが欲しい」だそうだ。

 受付って大変な仕事なんだなぁ・・・。






 さて、気を取り直しページを捲ると、そこには僕の知らない魔法の事が沢山書かれていた。


 まず魔法というのは『想像(イメージ)を器に魔力を注ぎ込み、現象を引き起こす』事を言うらしい。

 大切なのは何よりもイメージ力であり、魔力量は二の次。完璧なイメージと必要な魔力量、そして十分な熟練度があれば神々の法則すらも覆す、それが『魔法』なのだそう。


 そこまで読んで、僕は「あれ?」と思った。

 僕達は土魔法で泥を操る。それは液状化させた《沼》だったり、板状に固めて《土壁》にしたり、逆に固めて《硬化》させたりする。

 でもよくよく考えると『土』と『泥』は似ているようで結構違うし、実際やっているのは水分量の操作だ。

 まぁ確かにあの子達は土を操るのに長けてるし、僕は土を泥にしたり岩にしたりする方法を知ってる。

 そう、僕は知ってる。でも子供達はどうやって知ったんだ?



「・・・もしかして、《共有》か?」



 僕達の象徴とも言えるスキル《共有》、これはお互いの居場所や気持ち、言葉や状況を共有するスキルだって書かれてた。

 でももし、僕の持っているイメージも《共有》できるのだとしたら・・・いきなり泥を作れる様になっても可怪しくない。だって説明される前から知ってるんだから。



「てっきり土いじりが得意だから出来たんだと思ってた。この《共有》、たぶん隠れてる能力が幾つもある。調べないといけないな」



 まったく、とんだチートスキルだ。


 それから僕は何冊か本をざっくり読んだあと子供達を呼び戻し、ギルドの訓練場へ移動した。








「お、何だ何だ、可愛いのがいっぱい来たぞ」

「あっ、ウサギの嬢ちゃん達じゃないか。今日はどうしたんだ?」

「ちょっとスキルの検証に来たんです、ちょっとだけお邪魔しますね」



 訓練所には魔獣騒ぎや食堂で見た冒険者が結構居た。

 彼等は僕達のスキル検証に興味が湧いたらしく、邪魔にならない距離で集まっている。

 見てても地味だと思うんだけどなぁー、まぁ良いか。僕は気にせず検証を始めた。


 まず子供達に5羽、5羽、25羽、25羽で別れてもらう、そして全員僕が見えないように後ろ向きで立つ。

 それから最初に5羽、こちらに来てもらいジャンケンする。



「いい、結果を他の子に教えちゃダメだよ? 実験が終わるまでナイショ、分かった?」

『ぷぷぅ!(敬礼)』

「あはは、可愛い。じゃあ行くよ、じゃーんけーん──」


 1羽1回づつ、僕は全て『グー』を出して順番にジャンケンしていく。

 すると結果は、子供達の勝率20%だった。


 次にまた5羽来て貰いその子達も同じ条件でジャンケンする、勿論、僕は全て『グー』だ。

 すると結果は、子供達の勝率60%になった。


 次、今度は25羽来て貰いまた同じ条件でジャンケンする。

 すると結果は、驚いた事に子供達の勝率100%だ。

 25羽全員が『パー』を出した。

 次に呼んだ25羽も全く同じ結果になった、どうやら()()()()()()()()()()



「なぁ嬢ちゃん、これで何が分かるんだ?」



 近くに居た冒険者に聞かれる。

 実はこれ凄いチート能力が判明した瞬間なんだ、いや本当にマジで凄いぞ。

 なんと子供達、多分僕もだけど、経験を《共有》出来るんだ。


 最初ジャンケンで僕は全てグーを出した。

 子供達は絶対約束を守るから、他の子に『どうやって僕に勝ったか』を教えていない。なのに次は5羽中3羽がパーを出した。

 5分の3、まぁそのくらいなら無くはない。

 でも次は全員がパーを出した、何故ならその子達は『理由は分からないけど、パーを出せば勝てる』事を知っているからだ。

 25羽全員がパーを出す、これが偶然なんてあり得ない。その証拠に次の25羽も全員がパーを出した。


 これはもう確定だ、《共有》は全ての経験値を群れ全体に共有できる。

 そう言えば昔マンガで、影分身を使って似たような事をしているキャラが居たな。きっとあんな感じなんだろう



「・・・なぁ、それって凄くねぇ?」

「そうだな、1回の練習が200回分の練習になるって言ってるようなもんだし」

「しかもこれって別に戦う以外でも効果あるんでしょ? 例えば魔法の勉強とか、ダンジョン探索とか」

「あっ、ホントだ! 良いなぁ〜」



 流石冒険者、少し聞いただけでその有用性にすぐ気付いた。

 多分彼等の言う通り、このスキルは僕達の生活全てに適用されるんだと思う。


 例えば子供1羽に平仮名を一文字教えたとする。その子は恐らく一分掛からず覚えるだろう、そしてその瞬間全員がその一文字を覚えるんだ。

 じゃあ、子供50羽がそれぞれ一文字づつ覚えると?子供達は平仮名50音全てを一分で覚え、書けるようになってしまう。



「これは・・・考えれば考える程、とんでもないな」



 この《共有》というヤバすぎるスキルの根幹を支えているのは、恐らく『数』。

 僕達兎の200羽というとんでもない人数が、このスキルの凄まじさを引き上げている。


 僕達兎が魔境という地獄をこれまで生き抜いてこれたのには、やっぱりそれなりの理由があったってことだな、うん。

このスキル、僕も欲しい

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