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メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
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グローネンKS6

メルシュ博士が生身とロボットの二つの体を同時に使えるようになっていく一方で、いつの間にか新しいロボットが増えていた。それは、大型のネコ科の動物を模して造られた、<アームドエージェント>と呼ばれる軍用の戦闘ロボットだった。名前はグローネンKS6。リヴィアターネを爆撃したロボット艦隊に配備されていた地上戦用のロボットで、<無差別かつ徹底的な殲滅>という命令を受けていたが、ロボット艦隊自体が地上戦を行うことなく地上に投棄された際に殆どが壊れていたもののその中のごく一部が辛うじて破損を免れ、待機状態のまま放置されていたのだった。


それがあるきっかけで活動を開始。<無差別かつ徹底的な殲滅>という命令に従ってその場に居合わせたメイトギアと戦闘になり、そのメイトギアが機能を失う寸前に放った攻撃によって戦闘モードを司るシステムが破壊され、現在は通常モードによってのみ動作している状態だった。


通常モードのグローネンKS6は、味方の兵士に過剰な緊張感を与えないようにする為にまさに<借りてきた猫>のように大人しく、ある意味では愛らしい振る舞いをするように設計されている。


それが、フローリアCS-MD9がいた拠点に居ついていたのである。そこに、リルフィーナがフローリアCS-MD9に成り代わって管轄することになり、リルフィーナについてきて、最終的にペットとしてここに居ついてしまったということなのだった。


しかもグローネンKS6は、この場における最上位の存在がメルシュ博士であることを見抜き、それに従う素振りを見せた。メルシュ博士に次いで懐いてるような姿を見せるのがリルフィーネに対してであり、半面、リリアテレサに対しては無視したりと不遜な態度を見せたりもした。これはおそらく、メルシュ博士に対して遠慮のない彼女の態度が不敬であると彼が判断してしまったが故のものと思われる。


その為、『何? この生意気なロボット』とリリアテレサは彼のことを快く思っていなかった。


それでもまあ、この奇妙な集団は概ね良好な関係を保ち、博士の研究の為に一致団結して行動していたのである。


そしてコラリスが妊娠して約四ヶ月、マイクロマシンが送ってくるデータを見ながらメルシュ博士は腕を組んでいた。


「ふーむ……脳の重量は既にCLS発症の条件を満たしている筈だが、まだ兆候が見られんな。やはり単純に重量だけの問題ではなく、いかに脳として機能しているかという点が発症のカギとなるのかも知れん…」


そう、コラリスの胎児の脳の重量はもうとっくにカラスのそれを上回っており十分なものである筈なのだが、まだ発症していないのである。データを見る限りでは子宮内にもCLSウイルスは存在しているにも拘わらずだ。


「やはり実験は大事だねえ…」


と、彼女は嬉しそうに笑っていたのだった。



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