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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
消滅と再生のリフレイン
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捌拾陸話.エルメナ

「そなたらがメルトとクローフィーか。我は魔王エルメナ。そなたらに折り入って話......いや、質問があるのだ。」


あれからライカはすぐに戻ってきて、案内された穴に入ると、目の前に魔王様がいた。どうやら魔王城へ繋がる穴だったようだ。


「質問とは、どんなものですか?」


ちなみに魔王様はシャーノが見えないのではなく、ここにシャーノはいない......いや、姿がない。


「敬語などなくてよい。質問は質問だ。そなたらに聞きたいことがある。」


ここへ来る直前、シャーノは俺の体に入った。......精霊術の応用だそうだ。シャーノ曰く、一度魔力線で繋がった人間と精霊は魔力線を出そうとしていなくても微弱な魔力が流れているそうだ。そしてその微弱な流れも、元のつながりが深ければ強くなる。


「......なんでも聞いていい。答えるかはともかく。クローフィーもいいか?」

「うん、私も大丈夫。」


そのつながりを利用して、シャーノは俺の体に同調しているそうだ。うん、魔力ってすごい。もう訳がわかんない。


「では問おう。まず、1つ目。そなたらはサクシャと名乗る人物を知っているか?」


サクシャ?サクシャって作者か?聞いたこともないな。


「俺は知らない。」

「私も。」

「......そうか。では、“爆発”関連で心当たりのあることはあるか?」


俺とクローフィーに関係して、“爆発”って......多分、ローシュ伯爵の件だよな。


「......心当たりがあるようだな。話してくれぬか?」

「......いや、話そう。」


俺はローシュ伯爵邸で起こった出来事を敵対していたと言うことを隠して話した。要は、俺たちが接触した瞬間、爆発が起こったということだけを伝えた。


「なるほどな。そなたらが触れ合った瞬間爆発が起こった、と。規模はどの程度か分かるか?」


確かあの時は伯爵邸の塀も壊れていたな。ってことは伯爵邸よりも広い範囲なのは間違いなんのだが......外の様子を気にする余裕はなかったしな。


「爆発が半径約100メートルの円の内部が全て吹き飛ぶほどの威力があります。」


俺が色々考えていると、クローフィーが答えてくれた。......そういえば、クローフィーはあの状況でなんとか撤退できたんだよな。


「......そうか。分かった。こちらからの質問は以上だが、明日レードという人物がここへ来る。そやつも聞きたいことがあるそうなのだが、少しここへいる気は無いだろうか。もちろん、今夜泊まる部屋やご飯はこちらで用意する。」


俺とクローフィーは互いに顔を見合って、頷く。


「じゃあ今夜の部屋とご飯はよろしく頼む。」

「そうか、ありがとう。リーリ、客の案内をしてくれ。」


何か危険なことがあったらシャーノが教えてくれるだろう。シャーノ曰く、この魔王城は周りを色々な結界で覆っているが、中に入ればそこまでの数はないから、シャーノも無事に同調を解けるだろう。


「わしはリーリというものじゃ。メルト、クローフィー、お前たちの案内を頼まれた。では、ついてくるがいい。」


リーリと名乗る女性は優しそうな老人だ。......うすうす気づいていたが、魔王領といっても悪い人ばっかりっていう訳じゃない......?


「お客人、行かないのかい?」

「あ、す、すぐ行きます!」

「うむ、元気なのはいいことじゃ。」


......魔王エルメナには敬語を崩したのに、リーリにはつい敬語を使ってしまった。老人は敬うべきだし、まぁ、いっか。




「そろそろ入っていい?魔王様。」


「うむ。」


「ふぁ〜あ、あ、ごめんなさい。それにしても魔王様にしては珍しいね?お客様を指定して、手厚くもてなせとか言ったり、1人きりでお話したり......あの2人は何者なの?」


「......そうだな。いわゆる異世界人。別の世界の者たちだ。」


「え?別の世界なんかあるの?書庫の蔵書にもそんな本はないけど......。」


「我も直接確認したことはないがな。だが、たしかに存在する。」


「なんでそう言い切れるの?」


「昔、会ったことがあるのだ。魔神戦争の真っ只中で、聖女と呼ばれていた双子......確か名はシャーノとファーノだ。彼女らは人族の中では群を抜いて強かった。ファーノの攻撃力もなかなかだったが、シャーノの治癒力はもっととてつもないものだった。魔王領全てを探してもあれだけの使い手はいないであろう。」


「......その2人が凄かったのはいいとして、なんで異世界人と言い切れるの?」


「我の記憶操作が、効かなかった。」


「え?」


「我の記憶操作は魂を直接触るものだからな。もし、この世界以外で生まれた存在の未知な魂ならば操作することは不可能だ。」


「ってことは本当に......?」


「あぁ。別の世界から来たのは確実であろう。少なくとも、過去の2人は。」


「メルトとクローフィーは?」


「......彼らに関しては、魂を見つけることすら出来なかった。」


「それはどういう......」


「魂の存在しない操り人形か、ただの傀儡か、はたまた我らの知らない力が働いているか......それは分からない。なんにせよ、かの2人には注意せねばなるまい。」


「うん、分かった。私も気を向けとくよ。」


「すまないな、ライカ。」

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