捌拾肆話.魔王の書庫
俺は通路の先にあった扉をゆっくりと開けた。
「広い......。」
「そうだな。」
扉の先にあったのは高さはゆうに30メートルはありそうで、縦横に関しては最早先が見えないほどのとてつもなく広い空間だった。その空間に所狭しと並んでいるのは本棚。
「想像してたよりもだいぶ広いんだよ......。」
あのシャーノでさえ、驚いているようだ。
「広さはだいたい17000メートル×17000メートル、高さは32メートル。そこに本棚が512個置いてあって例外もあるけど、それぞれの本棚には49個の縦の仕切りと127個の横の仕切りがあるの。」
いつのまにか、後ろには金髪の少女。
「ちなみに蔵書の数は40億冊ぐらいで、その他にも大切な手紙や色々な資料も置いてるよ。」
金髪の少女は眠いのか目をこすりながら説明をしてくれた。
「あの......?君は?」
「私の名前はライカ......エルフ族で女、年は103歳。ここ、魔王の書庫の司書をやってる。」
え?この子が魔王の書庫の司書......?それに100歳超えてるって......マジで?
「あなたたちってメルトとクローフィーだよね?......もう1人、そこの子は知らない子だけど......。」
「どうして私たちの名前を?」
「魔王様に頼まれたんだよね。あなたたちがここにきたらまず、丁重に接するようにって。」
......いや、クローフィー、そこじゃないだろ。まずシャーノが見えていることに......ってよくよく考えたらクローフィーも当たり前かのように見えてるよな?......シャーノってよく分からないな。
「あーとりあえず、1つ言っていい?」
「別にいいんだよ!」
......シャーノも自分が見えてることにはノータッチかよ。
「私が魔王様から聞いてた情報によると、あなたたちは初代龍王が書いた“解放の書”が読みたいんだよね?」
「あ、あぁ。」
「なら話が早い。探しといた。これでいい?」
ライカは右手に持っていた少し薄めの本を俺に渡した。......いや、これでいいかって聞かれても、俺には分からない。とりあえず、読んでみれば分かる......のか?
俺はその本を開いてみた。
「これは......。」
その瞬間、あなたの中に俺が知らなかった知識が流れ込んできた。これは......共鳴属性の使い方か。
「うん、多分これで大丈夫だね。理由は知らないけど......特殊属性でも持ってるの?」
「あ、あぁ、共鳴属性っていうんだが......。」
「共鳴属性......聞いたことないなぁ......私、司書やってるけど小説以外読まないし......そうだ、そういえばO-1棚は全部特殊属性についてかいてある本ばっかりだから好きに読んでいいよ。」
「え?」
「O-1棚は1番通路側のこっちから15番目の棚だから......51番口だね、付いてきて。」
「......。」
色々起こりすぎてツッコミが追いつかない。なんでこんなどこから来たのかも分からないようなやつにこんなに色々してくれるんだ?......っていうか、名前はバレてるっぽかったから全部調べられているのか?
ライカについていくと、壁に黒い穴が無数にある場所についた。
「51番口は......これだね。どうぞ。」
ライカは無数の穴の中から1つ選んで指差した。
え?ここを行くの?
「すごい量の魔力を感じるんだよ!」
「あー、これは魔王様が直接作ってくれたからね。」
「あ、すごいねこれ。ここ抜けたら棚の前だよ?」
「......クローフィーはこんな得体の知れないものに警戒とかしないのか?」
「全然?」
「......得体の知れないものとか言わないで欲しいんだけど。」
......女子ってこんなにうるさいんだな。よくよく考えたら今俺以外全員女子......これは後で疲れそうだな。
ライカが指した穴を抜けると、たしかに目の前には大きな本棚があった。
「この棚は全部特殊属性関係の本だから好きに見ていいよー、ただ、500万冊くらいあるから......共鳴属性っていうワードが入ってる本だけピックアップして......あれ?意外と少ない。結構同じような本があるはずなんだけど......。」
ライカが本棚の方に手をかざすと、30冊ぐらいの本が飛んできて俺たちの前に積み上げられた。
......いや、これで少ないの?多くね?
「で、これを片っ端から読めばいいよね?」
クローフィーって環境適応能力高くね?この状況で普通に適応するって......俺がおかしいのか?
「メルトは読まないの?」
......なんで俺の周りはこんな変な奴ばっかりなんだよ。




