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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢消滅の襲撃者
78/90

質拾捌話.最終章への橋渡し、もしくはサクシャの接触(1人目)

「やっと起きたか。」

「ブラッドも大概暇だなぁ。」

「減らず口を叩く余裕はあるんだな、56番さんよぉ!」


辺りを見渡す。ここは......牢屋かな。しかも、かなり強固っぽいね。


「あーやめて。私、戦うの好きじゃない。」

「舐めたこと言いやがってくそがっ!どうせ処刑なら今殺したって......」


あーやっぱり私、殺されるんだ。


「で、ブラッドさんはこんな所で何を?」

「お前が起こした爆発の責任を取らされてるんだろうがっ!」

「あー、ごめん。」


っていうか、なんで爆発したんだろ?

あれは私も想定外......。

こんなに不安定ならさっさとこんな場所、逃げた方がいいかな。


「やっと交代の時間だ。絶対殺してやるからな!」


ブラッドが出て行く。警備、ザルだなぁ。逃げちゃうよ?私。



あれ?


誰も来ない?


何で?


「僕が時間を止めたからだよ!」

「誰?」


気配が急に現れた。


「あなたは一体何者?」

「僕はサクシャだよ!あ、そうは言っても今の記憶は後で全部消させてもらうけどね!」

「記憶消去......?それは天啓?それとも、能力?」

「んー、その二択なら能力よりかな?」

「つまり、どっちでもないってこと。」

「ま、そゆことー!」


この人は本当に何者だろう。何も感じない。でも、確かに強いのだろう。この人によって本当に時が止められているのだから。


「で、サクシャさん、何の用?」

「まず、1つ。これ、君の石だよね!」

「それは......うん、私の“石”」


あれが壊されると、私も死ぬ。そういう契約をブラッドと交わした。......いや、交わされた。あれがある限り、私たちは逆らうことは出来ない。


「これ、僕が貰ってくね!」

「え?」

「ま、この記憶は残らないから後で君はびっくりするだろうけどね!」


この人......何が目的だろ?全く分からない。私をコントロールして何かいいことでも......。


「で、2つ目。別に僕は君の計画を邪魔するつもりはないよっていう情報。」

「......それはありがとう。」

「お、すぐにお礼が言える人、嫌いじゃないよ!」


なぜだろう、この人と話しているとすごくイライラする。......本当になぜだろう?


「でさ、最後だけど......“夢変化”!」


......これ、ヤバいやつ......意識............飛ぶ..................




「ごめんごめん!まぁ聞こえてないと思うけどさ!ってか聞こえてても今から記憶消すから意味ないけどね!さてさてー、僕は僕の仕事をやりますかー!」



「これでよしっと。僕の記憶は消えたね!あとは彼女の自己治癒力にかけるかなー、綺麗に記憶が戻ってくれるといいけど......あー、メルトとの関係を思い出した時、クローフィーはどんな顔するかな!想像しただけでゾクゾクしちゃうよね!」



「それにしても、僕の権利を少し削った人って誰なんだろ?今回の登場人物にそれっぽい人はいないし、外部からの侵入者でもないっぽいんだよねー!あ、そうだ!ねぇ、読者さんたち!それっぽい人見なかったー?変な登場人物とかー、物語の齟齬とかー、その他もろもろの変なこと起こってなかった?」



「教えてくれないんだね!まぁ、いっか。君たちの協力なんか無くても僕が解決してみせるよ。なってったって、僕はサクシャだからね!あー、こんなことになるからサクシャである僕が色んな人に“接触”しなきゃいけない事態になるんだよねー!あー、こういうことされると本当に困るなー。」




「メルト......?私と戦ってた、あの人がメルト?それとも、私自身が......。」


頭がクラクラする。この記憶は......?


「............なるほどね。なんで思い出したかは全く分からないけど、この記憶は計画に矛盾しちゃう。」


この計画は私がこの世の全てを壊すというもの。でも、私の中には研究所の命令よりも深く、メルトとの楽しい日々が刻まれている。



「おい!56番の“石”がないぞ!お前らちゃんと見張ってるんだろうな!」


その声に反応したのは檻の外にした“血の民”のメンバー。


「まさか......そんなはずは!確かに56番はここにいる!」


あー、そういう情報渡されると、私も逃げたくなるなぁ。もうここにいる意味は果たしたし、隙を見て裏切ろうかと思ってたけど......計画を果たすにしろ、果たさないにしろ、私は多分ここから逃げるべきだ。


この檻は硬さよりも壊れにくさを優先して、ある一定の伸縮が出来る金属で出来ている。......つまり、私の能力で脱出できる。


「“夢消滅”」

「あ!おいっ!待て!!」


檻を抜け出して私は走る。時には能力を使って逃げる。もう、こんなところに拘る必要はない。私は、地図を手に入れた。これさえあれば、計画が実行できる。......今は迷ってるけど。



「この辺でいいかな。」


ここは、魔王城やギルド本部にほど近い森。魔物なんかはウジャウジャいるけど、人はあまり入らない。つまり、私にとっては安全地帯。


さて、これからどうしよう?

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