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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢消滅の襲撃者
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質拾陸話、もしくは番外編玖話.収束へ向かう物語

「レード、頼んでいた調査はどうなってる?」

「はい、抜かりなく。クローフィーはたしかに“血の民”の一員のようです。しかし現在、軟禁状態にあり、それ以外の情報は何一つ......メルトの方はまだまだ子供の冒険者です。どうやら、今、この城を目指しているということは分かりました。」

「ふーむ。」


エルメナは1週間に1度、レードに頼んでいた情報をもらっている。


レードというのは見る限り魔族の好青年で主に調査や潜伏を得意とするエルメナの直属の部下だ。私やココロにお菓子をくれたり、寝るための部屋を提供してくれたりと、とてもお世話になった。


「はい、ココロちゃん、これはクッキーっていう不思議な食べ物だよ。今潜入してる街で売ってたから買ってきちゃった。」

「ありがとう、ございます。」

「あはは、ヨシキさんもどうです?こんな茶色い塊のくせに案外美味しいんですよ。」

「いつもすまないな。ありがとう。」

「いえいえ、私もあなたたちの笑顔に力をもらってますから。」

「そう言われると少し恥ずかしいな。」

「おー?ヨシキさんが私と結婚する日も遠くないようですね。」

「ふふふ、それも悪くないかもしれないな。」

「そうですね、では、私はお仕事に戻ります。」


「あの鼻垂れ小僧もいつのまにか口説くことを覚えよったな。しかもべっぴんさんばかりときた。」

「リーリさんは口説かれないんですか?」

「わしはもう口説かれる年なんぞ過ぎて長いからのぅ......。」

「リーリさんって今何歳なんですか?」

「ははっ、秘密じゃ。」


そして、いつもどこからか現れることおばあさんはリーリさん。同じくエルメナ直属の部下で、戦争時の軍師をしている、らしい。年に似合わぬ大きな声で指揮をするそうだ。


「ココロ!遊ぼーぜ!」

「は、はいっ!」

「おっし、今日は隠れんぼだ!俺が鬼すっから、ココロは隠れてくれ!」

「わ、わかりました。」

「ココロ、エン、あんまり遠くに行くなよ?」

「あぁ!分かってるぜ!」

「はい、行きません。」


いつもココロと遊んでいるこの男の子はエンという竜族の少年だ。この城の前まではお父さんと一緒に護衛に守られてきているのだが、この城内は安全なので唯一の遊び相手とも言えるココロと、遊んでいる。彼によると、家では勉強ばかりで遊ばせてもらえないらしい。


「エルメナ様、私、来たよ。」

「来てくれたか、ライカ。」

「うん、書庫から出たのも、久しぶり。ふぁ〜あ......あ、ごめんなさい。」

「気にしなくてもよい。我の都合で呼んだのだからな。」

「そう言って、くれると、嬉しい。」


そして、今ここに来たのがライカというエルフ族の女性。女性......らしいが、どう見ても少女のようにしか見えない。いわく、もう100歳、十分大人、だそうだ。エルフ族の時間感覚は分からない。彼女はいつも、魔王の書庫の司書をやっていてほとんど顔を出さない。


「それで、フレンからの手紙はどうなってる?」

「あーそれならA-2棚のa-16にまとめといた。」


フレン......?


「いつもすまないな。ありがとう。」

「あー、あと“解放の書”も見つけた。長らく使ってないから16時間もかかったよ......ふぁ〜あ......あ、またあくび出ちゃった。」

「寝不足であるか?」

「うん、“解放の書”をずっと探してたからね......眠いからもう帰っていい?魔王様。」

「うむ、よいぞ。今回は我の都合で呼んですまなかった。」

「うんうん、大丈夫ー。」


ライカも帰り、この場所......一般的にいうリビングのような場所がまた静かになる。


「ところでエルメナ。先程の話に出た“フレン”とは何者だ?」

「フレンというのは義理堅い男だ。少し前に我の城に現れ、下につくと言ってきた。今はメルトの情報収集を担ってもらっている。レードがクローフィーの情報収集をしているように、な。」

「違っていたらすまないが、フレンというのは黒いフードを被り、不思議な武器を持っていなかったか?」

「そういえば黒いフードを被っていて顔はよく見えなかったな。武器の類は見せてもらっていないが、真偽判定にもかけたし間違いなく信用できる人物だぞ?もしや、ヨシキの友か?」

「......いや、少し話した程度の仲だ。」

「そうか。」


......間違いない。あのフレンだ。あの“夢を描ける世界”を共に作って......作ろうとして、全てを無に帰してしまったあのフレンだ。あの後は確か、サクシャに連れていかれたはず......なぜこんなことになっている?どうして魔王に力を貸しているんだ?


「......少し調べないとな。」

「ん?どうかしたか?」

「エルメナ、少し研究室をくれないか?ある程度の広さがあれば大丈夫なのだが......。」

「ふむ、何に使うかは知らないが、そなたがどのようなものを創り出すか興味がある。」

「助かる。」


エルメナには本当に助けてもらってばかりだな。この“研究”と並行して贈り物でも作ってみるか。

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