質拾肆話.メルトの記憶
「シド!俺と遊ぼ!」
「私もー!」
「おいおい、こういうのはグレインの仕事だろ?」
「私はシドとも遊びたいの!」
「俺も俺も!」
「参ったな......でも、あのフレンの兄弟みたいなやつらだし、少しは恩返しの足しになる、か。」
「フレンってだーれ?」
「メルトたちはまだ知らなくていいさ。いずれ嫌でも知ることになるしな。さて、何をして遊ぼうか?」
「「かくれんぼ!」」
「いいだろう。では、俺が鬼となろう。」
「じゃあ60秒数えて!」
「分かった分かった。」
「くそっ!なぜお前がそちら側に力を貸す!?」
「なぜと言われてもな。ただ、寝返った、それだけだ。」
「ちっ!実験体を全員シェルターに入れろ!急げ!」
「無駄なことを。」
「ねーねー、君なんて言うの?」
「ルイだよ。」
「ルイくんはどうしてここに来たの?」
「それは教えられないよー」
「えー、ケチー!」
「教えてくれてもいいじゃん!」
「え......ルイ...くん?」
「ごめんね、そっちのメルト。こっちのメルトにしか用事は無いんだよ。」
「やめて......連れてかないで......メルトを返して!」
「悪いな。俺が依頼されたのは女の子のメルトだけだ。お前を連れて行くわけにはいかない。」
「嫌だ......絶対に嫌だ!俺とメルトは2人で1つなんだ!だから......」
「うるさいな。ほら、少し眠ってろ。」
「......。」
「メルト、今回の件は本当に......。」
「......メルトを返して。」
「君たちがまた一緒になれるように、全力を尽くしている。少しだけ、待ってくれないか?」
「嫌だ......今すぐ返して!!」
「......それは、無理だ。」
「なんで!?なんでいつもこうなるの!?俺たちは一緒じゃダメなのか!?なぁ!」
「すまないな、メルト。これ以上、君を苦しめるつもりはなかったのだが......せめてもの償いに彼女に関する記憶を消しておこう。そうすれば、君はこれ以上苦しまないで済むから、な。」
「やめて......!消さないで!俺を......1人にしないで......。」
「大丈夫だ。少々......いや、かなり荒っぽい考え方だが、記憶を改ざんすれば君は彼女のことを忘れられる。そうすれば......君はこれ以上苦しまずに済む。」
「忘れ......たくない。」
「本当に悪いが、それはダメだ。これ以上の負荷は体を壊しかねない。せめて、君には生きて欲しい。」
「そんなの、シドの都合じゃないか。」
「そうだ。俺の都合だ。だが、俺は君のことを守らなければいけないんだ。」
「......嫌だ。」
「......納得して欲しい。そうだ、1つだけいいことを教えよう。ある世界線に君とほぼ同じ能力の痕跡が確認されたんだ。そこに行けば、或いは彼女に会えるかもしれない。」
「俺をそこに行かせろ!」
「......記憶を消すが、それでもいいか?」
「記憶を消されても、また思い出してやる!俺は......俺はメルトとまた一緒に生きる!」
「いい答えだ。」
「では、そこの装置に乗るといい。記憶改ざんと同時に世界線を移動できる。」
「分かった。」
「......最後に1つだけ。あれから調査が進んでね。彼女らしき人物を確認した。」
「何でもいいから情報を教えろ。」
「......記憶が消えるのに、か?そもそも、君をあんな世界に送るつもりなんてなかったんだからな?」
「記憶が消えても思い出す。絶対に、思い出す。だから、教えろ。」
「......やれやれ、分かったさ。情報と言っても彼女の名乗ってる名前だけだがね。彼女の名前は______」




