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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢消滅の襲撃者
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質拾参話.記憶混濁

「う......。」


「メルト......!」


突然目が覚めた。なぜか頭がズキズキと痛む。


「俺は............。」


思い出そうとしてそこで思考が止まる。


「痛っ......!」

「メルト......?」


どうやら俺はベッドで寝かされていたらしい。横で俺を覗き込んでいた女の子が心配そうな顔でこちらを見ていた。


「......そのメルトっていうのが、俺の名前か?」

「そうなん............そうだよ。あなたの名前はメルト。」

「そっか。教えてくれてありがとな。君の名前は?」

「シャーノ......私の名前はシャーノだよ。」


俺を見つめるその顔は研究所では誰も負けてくれなかった顔で......


研究所?どこだそこは。いやでも俺は確かに研究所の実験室で......


実験室?じゃあ俺は実験される被験体だった?じゃあ何で今こんなところにいる?


そうだ。俺と一緒に居た女の子と2人で逃げたんだ。逃げて逃げて......


思い出した。確か俺たちは“ロード”という組織に匿われたんだ。


「......ありがとう、シャーノ。少し記憶がごちゃごちゃしていた。もう大丈夫だ。」


「そう......それは良かったんだよ!」


思い出した、何もかも。メルトという名前は俺だけのものじゃない。メルトというのは俺と、その女の子の名前だ。


俺たちはメルトとして、一心同体だった。どこへ行くのも一緒、だった。


「メルト、大丈夫?」

「......あぁ、もう少しだけ、待ってくれ。」

「うん!」


ある時、俺たちは離れ離れの檻に入れられた。確か、これ以上の接触は危険だとか言っていたはずだ。


檻が分かれてから数ヶ月が経った頃だろうか。俺たちはある男に助けられた。


黒いフードを被って、銃を持っている男だった。そいつは“フレン”と名乗り、俺たちを1人ずつ助けてくれた。


ある日、フレンが戻ってこなくなった。フレンの家にいた俺とメルトを含めた実験体は孤児院のような場所に預けられた。


だが、預けられる直前、俺とメルトの行く先がバラバラな事が分かった。


そして、その日の真夜中。俺とメルトは互いに手を取り合って街へ逃げた。どこへでも行ける気がした。そして、逃げて逃げて、疲れて座り込んだところを“ロード”が助けてくれたんだ。


そういえば、この世界に転移した理由は何だっけ......この世界に行く直前は......


“すまないな、メルト。これ以上、君を苦しめるつもりはなかったのだが......せめてもの償いに彼女に関する記憶を消しておこう。そうすれば、君はこれ以上苦しまないで済むから、な”


“やめて......!”


“ダメだ。これ以上の負荷は体を壊しかねない。せめて、君には生きて欲しい”


そうだ。“シド”、そいつとはこんな話をしていた。


これ以上の負荷?どういう事だ?俺に何があった?俺たちの身に何が......




「本当に大丈夫?」

「......少し思い出した事がある。が、どうしても心の整理がつかない。少しだけ1人にしてくれないか?」

「分かったんだよ。」

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