陸拾参話.試験(上)
「試験はここ、イマージナリーフィールドで行います。ここで起きた怪我やアイテムなどはあとで元に戻るので安心してください。30分という制限時間時間内に我々3名の職員全員を死亡判定にすれば、試験は合格です。」
試験当日、ギルドに来た俺たちをメイさんはギルドの奥へ案内した。そこには魔法陣らしきものがあり、その上に立って魔力を流すと別の空間に飛ばされた。
そこでメイさんを含めた3人の女性職員をこのイマージナリーフィールド内で死亡判定にすれば試験合格だと聞いた。ちなみにイマージナリーフィールドは普通の森のように木が乱立している場所で多少の高低差もあるが、広さはそれほどではなくせいぜい20メートル四方の正方形ほどの大きさだ。
「ではこれより3分は準備期間とし、攻撃は禁じます。メルトさんは場所についてください。」
「メイさんたちは?」
「我々も位置につきます。あ、そうそう、言い忘れてましたが......我々は近接、中衛、後衛に分かれています。戦闘に役立ててください。では。」
ふむ、三者三様に戦闘形式がバラバラだから対処を変えろってことか?......あ、でも誰がどの役割かは言われなかったな。それを発見するのも試験の一環か。
「この辺でいいか。」
俺はイマージナリーフィールドの端の方にある丘の更に端側に身を潜めた。
「3分って言われてもな。」
分からない。もう3分経ったのか?
「シャーノ、もう......。」
「まだ1分ぐらいしか経ってないんだよ!」
「......そうか。」
緊張しているのが嫌でも分かる。時間の流れが遅く感じるな。
「そろそろ3分なんだよ!」
「りょーかいっと。」
戦闘準備でも始めようか。と言っても、ガチガチに固めた剣を魔法で作るぐらいしか出来ないが。
『これより、試験開始とします。』
どこからか、メイさんの声が聞こえた。ふむ、戦闘開始時刻は教えてくれるらしい。
ーヒュン
っと、どこかから矢が飛んできた。......場所はバレてるらしいな。普通の人なら迂闊に動けないことがわかり、より一層緊張感が増すだろうが......
「シャーノ、どこから飛んできているか分かるか?」
「丘を挟んだ木の上なんだよ、ちょうどメルトの真後ろの場所で高さは5メートルぐらいなんだよ!」
「分かった。」
俺は動かずにシャーノに指示された場所へ火の球を撃ち込む。
「......!」
なにやら後ろの方で、場所を立ち去った気配がした。
「シャーノ、ありがとな。」
「これぐらいどうってことないんだよ!」
まぁ、でも分かったことが1つ。
「場所がわかっていて、正確にその位置にいると分かっていても、当たらないと意味がないな。」
俺へ飛んできた矢の先制攻撃のように。相手へ当たらなければ意味がない、それどころか外せば相手へ自分の場所を知らせてしまうかもしれない。
しかも、矢が飛んできたことから今のは近接の人ではないのだろう。つまり、近接の人は更に反応が速い可能性が高い。
「どうしようか。」
「私にいい考えがあるんだよ!」
「......なんだ?」
「それはね......」
......ふむふむ、なるほど、その作戦なら当てられるかもしれないな。やってみる価値はありそうだ。




