陸拾弐話、もしくは番外編捌話.魔王城
「我の城へようこそ。適当にくつろいでよいぞ。少し待っててくれ。」
「あぁ。」
魔王城の中でも最高階の広く煌びやかに飾られた部屋に案内された私とココロはエルメナに一礼しつつ、近くのソファに座る。
「あのお方がお客様とは珍しいの。良ければ名前を聞いてもええか?」
近くを通りかかったおばあさんは私たちに興味があるらしい。
「私はヨシキで、この子はココロですよ。」
腰が曲がっており、かなり高齢だと分かる見た目だ。
「ほうほう、ヨシキにココロか、ええ響きじゃのう。そなたらはここで暮らすのかの?」
「それは......まだ分からないです。」
「ふむ、行く宛がないが、迷惑はかけられないと遠慮してるとみた。」
どうやら、このおばあさんは見た目に反してなかなかの思考力をお持ちのようだ。
「あのお方に聞いてみぬとはっきりとは分からぬが、あの人間嫌いのお方が連れてきた初めての人間のお客様だ。まず、邪険には扱われんじゃろうて、安心せい。宿泊も許可してくれるじゃろう。」
エルメナって人間嫌いなのか。ちょっと意外だな。面白そうな人なら拉致しそうだが。
「それは良かったです。私はともかく、この子には安心して暮らせる場所を用意したかったもので。」
「そうじゃろうな。どんな種族でも子供はかわええもんじゃ。」
ちなみに当のココロは私の腕の中ですやすやと眠っている。......今日は色々なことがあったからな。疲れるのも無理はない。
「ヨシキ、待たせたな......ってリーリか。腰はもういいのか?」
「うむ、あなた様のおかげでしばらくは大丈夫そうじゃ。では。」
リーリと呼ばれたおばあさんはそういうと、私たちの前から立ち去った。
「さて、少し提案していいか?」
「あぁ、言ってくれ。」
「そなたら、この我が城にとどまる気はないか?」
「それは私たちからしたら願ったり叶ったりだが......そっちは大丈夫なのか?」
「我からしたらその方が都合がいいのだ。で、了承ということでよいな?」
「あぁ。」
都合がいい?それはどういう......
「では、ヨシキ、そなたを我の補佐官として任命する。」
「え?」
ちょっと待ってくれ。流石にそれは想定外だ。
「ん?何か不満か?」
「不満も何も......いいのか?」
「我がしたいことをしたまでだから遠慮は必要ないぞ。」
......理由は分からないが、リーリによると邪険には扱われないらしいし、
「では、お受けしよう。」
「うむ、助かる。」
なんかよく分からないが、補佐官になったらしい。
「活躍、期待しておるぞ。」
「......期待されても困るんだがな。」
「ふふ、冗談だ。」




