伍拾話、もしくは番外編陸話.突然の別れ
「メルトが、“異世界人”で、私が“血の民”だから。」
目の前でメルトと戦っていた女の子はそう答えた。
「何?」
メルトは冷静にそう答えたが、心のどこかでは動揺しているのか、半歩後ずさった。
無理もない。私たちはご主人様に“血の民”の危険性、そして“異世界人”への思想を聞いてきたのだ。
「どうして......バレているのだ............。」
横でご主人様がそう呟いた。
「さて、お話はそろそろ終わりにして......決着をつけないと。」
女の子がそういうと、纏っている雰囲気が一変した。この空気を言葉で表すとしたら......殺気以外には無理だろう。
「俺もやられっぱなしになる気は無いんでな。」
メルトも警戒態勢を強める。
そして、次の瞬間。
互いの火球がぶつかった。周囲に爆風が飛ぶ。
「フーカ、ここは危険だ。逃げるぞ!」
ご主人様がそう私に言う。
「でも、メルトが......。」
「お前はまだ異世界人とバレてないんだ。逃げ切れるだろう。ここは私がなんとかする。」
ご主人様とメルトを置いて逃げるなんて......そんな......。
「君はまだまだ若い。死ぬには若すぎる。だから、逃げろ。これは命令だ。」
こうしている間にも何かがぶつかる音と爆風が絶え間なく続いている。確かに私がここにいて出来ることは何もない......。
「分かりました。あとは......よろしくお願いします。」
「うむ。任せろ。」
私は振り返り、お屋敷の扉を開ける。
「残念だったな、嬢ちゃん。」
「え......。」
中には片手剣を持った女。そして、その件が振り下ろされ......
「大丈夫か!?」
振り下ろされる直前でご主人様が放った土球が女の剣を弾く。
「毎度毎度邪魔しやがって。何が目的だ。」
「私は貴様らを壊滅させるだけだ!」
「へっ、元気なおっさんだこった。」
女とご主人様は5秒ほど見つめ合う。そして......
「来ないのか?ならこっちから行かせてもらうぜ!」
女から仕掛けた。ご主人様は瞬時に土の壁を作って受け止める。
「脆いなぁ!」
女は一撃で壁を破壊。
「まだまだ行くぜ!」
それから女が攻撃を仕掛け、ご主人様が壁を作って耐えるという攻防が続いた。だが、あちらは使用魔力0、対してこちらはかなり魔力を消費していく。つまり......
「やぁっ!」
「ぐあっ!」
ご主人様が一撃受けてしまった。そしてそこからは早い。
「はぁああ!」
女は次から次へと剣を振り、ご主人様が壁を作る。だが、明らかにご主人様がミスをする回数が多くなっていく。
「フーカ......少し下がれ......。」
「はい!」
ご主人様の指示通り私は後ろに下がる。メルトと女の子が戦っている場所に近づいてしまうが仕方ない。
そのメルトと女の子の戦いも終わりを迎えようとしていた。
メルトと女の子は土で作った剣のような形の武器でうちあっていたが、女の子の方は剣術の心得があるのか無駄のない動きで着実にメルトを攻撃している。対してメルトは防戦一方だ。
また、土の剣なので3秒もうちあえば、崩れてしまうのだが、新しい剣を作る時間にも差がある。
女の子は剣が崩れても一瞬で新しい剣を作っているが、メルトは1秒ほど時間がかかっている。その差は小さいようでとても大きく、その1秒の間にメルトは大きく動かされ、体力を消費している。
「さーって、そろそろ終わらせよ。」
女の子がそう呟くと今までの無駄のなかった動きが一瞬止まり、次に剣を大きく振り上げて下ろした。
メルトにその隙を突く技術はないからか、その件を受け止めようと剣を横にした。
そして、2つの剣は両方粉々に砕けた。この時、女の子はメルトに大きく手を出している状況なので......
「おしまいっと。」
女の子はメルトの首を掴んだ。これで、もう、メルトの負け......
「え?」
世界が真っ白になる。薄れゆく意識の中で最後に感じたのは強い爆風と、熱だった。




