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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢再生の魔法使い
52/90

伍拾壱話.爆発

「くそっ!」

「ふんふーん♪」


クローフィーは呼応属性の効果、おそらく自分に接触した魔力を打ち消す......つまり魔法が効かないことを利用し、俺の火の球を打ち消し続けている。


ただ、勝機が見えなくもない。火の球をぶつけるとクローフィーにはノーダメージらしいが、水の球をぶつけると、水は球状を保てなかったが、クローフィーは水に濡れた。つまり、こうして土の球を作ってぶつけると......


「......くっ」


クローフィーは打ち消さずに避けた。


「バレちゃった、かな?」


つまり、クローフィーは魔力を打ち消すことは可能だが、魔力によって作られたものを打ち消すことは出来ない、ということだ。


「あぁ!バレバレだよ!」


今度は土の杖を作った。長さはちょうど今の俺とクローフィーの間合いぐらい。これなら、当たるはずだ。


土の杖を勢いをつけてクローフィーへぶつける。そして杖はクローフィーに......


「ふーん、お返し、しよっか。」


当たらなかった。


クローフィーは杖......というより棒を土で作り、俺の杖を防いだ。


「何!?」

「だって私と戦うと、みんなそうするんだよ?対策ぐらいするよね。」


......言われてみればそうだ。自分の弱点が分かっているのに対策をしていないわけがない。


「さて、次はこちらから......」


クローフィーは大きく間合いを詰めて棒を俺へ向ける。土の壁......いや、間に合わない!


「セーフだね。」

「......。」


土の壁を作るほどの時間はなかったが、簡単なもの......クローフィーと同じく土の棒ならギリギリ間に合った。


「ちなみに、これ棒じゃなくて剣だから、切れるよ。」

「は?」


あの速度でそんな精巧なものを作った?......少なくとも、僕には出来ない。もしそれが本当なら、紛うことなき化け物だ。


「どんどん行くよー。」

「ぐっ......!」


クローフィーは次から次へと剣を打ち込んでくる。俺はそれを防ぐことしかできない。そして、一番の問題が棒を作る速度だ。


魔力で強化しているとはいえ、あくまで土なのだ。何回かうちあえば、すぐに壊れてしまう。そのあとに、クローフィーは即座に新しい棒を作るが、俺は1秒ほど時間がかかってしまう。


その差は本当に大きく、武器がない1秒間は俺は逃げるしかない。


そうして少しの間うちあっていた。理由は分からないが、クローフィーは手加減をしているらしく、まだ勝負はついていない。だが、それは気まぐれだったのか、


「さーって、そろそろ終わらせよ。」


と呟くと、棒を大きく上に振り上げながら俺へ近づいてきた。そして俺はそれの攻撃を防ぐように棒を頭の上で横にすると......


互いの棒が崩れた。だが、分かっている。この隙を狙う技術も体力もない。クローフィーもそれを分かっていて、こんなリスクのある行動を取ったのだろう。クローフィーの手が俺の首へと伸びる。そして......



爆発が起きた。強い爆風と熱が体を包む。俺の首をつかんだはずのクローフィーの手は離れたが、それ以上の大惨事が目の前で起きたのを直感した。


爆発による塵で何も見えない。自分が宙を舞っているのがわかる。だが、そのせいでどっちが上か、どっちが前か、分からない。


何かが体にぶつかった。いや、体が何かにぶつかったのか?分からない。ただ、朦朧とする意識の中で、フーカの声が聞こえた気がした。

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