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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢干渉の精霊
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肆拾参話.聖光の杖(下)

あれから“ルー鉱石”、“光龍の巣片”、“不老樹の枝”、“精霊の魔石”の順に液化圧縮した。


液化圧縮したら魔石は1つなくなるわ、1つ液化圧縮したら次の材料と混ざらないように入念に拭かないといけないわで想像以上に時間がかかってしまったが、なんとかやり終えた。


ちなみに“命の泉水”は元々液体なので液化圧縮の必要はないらしい。


そしてやっとのことで、“ルー鉱石”、“光龍の巣片”、“不老樹の枝”、“命の泉水”、“精霊の魔石”をそれぞれ、青、黄、緑、赤、紫の色のガラス容器に入れ終え、作業は一段落した。


「これで最初の作業は終わりなんだよ!」

「......かなり大変だったがな。」


本当に大変だった。もう2時間以上時間が過ぎてしまって、あと1時間ほどしか工場(こうば)は使えない。


「時間がないから早く次の作業を始めるんだよ!」

「わかったよ。」

「あそこの色の付いてない入れ物を1つ取って欲しいんだよ!」


俺は無色透明のガラス容器を一つ手に取り、机の上に置く。


「次は“ルー鉱石”の液体を2つ目の目盛りまで入れて欲しいんだよ!」

「2つ目の目盛り......?」


よくガラス容器を確認すると、確かに1から15まで数字と一緒に目盛りが書かれている。


「少なくてもダメだし、入れ過ぎてもダメなんだよ!」

「あ、あぁ、分かった。」


かなり緊張するぞ、これ。一気にドバドバ入れる訳にもいかないか。......あ、そういえば。


「これ使っていいか?」


例のスポイトのような道具を持ってシャーノに聞く。


「別に問題ないんだよ!」

「分かった。」


これならまだ幾分か気が楽だな。


そして、少し時間をかけながらもなんとか移し終えた。


「じゃあ、次は“光龍の巣片”の液体を4つ目の目盛りまで入れて欲しいんだよ!」


......。


「もしかして、ここの液体全部2目盛りずつ入れればいいのか?」

「そうなんだよ!」


めんどくさい......が、さっきまでの作業に比べたらマシ、か。




......前言撤回。

こっちの方が気を張らないといけないからキツい。


やっとのことで全部の材料を移し終えた。材料が入っていたそれぞれのガラス容器にはほんの少しずつ液体が残っていて、少し勿体ないような気がしたが、シャーノ曰く


「こんな少しずつだと役に立たないんだよ!」


とのことなので仕方なく捨てた。


「シャーノ、次はどうするんだ?」

「“耐性機”を取って欲しいんだよ!」


あー、“耐性機”か。前にも使ったな。


「よし、取ったぞ。」

「じゃあ、今作った水を全部入れて欲しいんだよ!」


この液体を耐性機の中に流し込んで......っと。


「これでいいか?」

「うん!じゃあ次はそれを炉の小窓に入れて火をつけて欲しいんだよ!」


だいたい前使った時と同じだな。俺はシャーノ指示通り、“耐性機”を小窓に入れて炉に火をつける。


10分ほど経つと、シャーノがもういいというので“耐性機”を取り出した。相変わらず熱くないな。


“耐性機”を開けると、液体だった中身が、固体になっていた。と、言ってもどっちかというと粉のような形状だが。


「それを取り出して、錬成魔法で30センチメートルくらいの棒にして欲しいんだよ!」

「了解っと。」


30センチメートルか......こんな感じのイメージでだいたい均等な太さになるように......できた。


「すごく綺麗なんだよ!」

「ありがとう。これで完成か?」

「うん!そうなんだよ!」


よし、やっと完成したな。今回は前と違ってとても疲れた。


「って、そろそろ時間がギリギリだな。出るか。」

「うん!」


俺は道具を片付けて工場(こうば)を後にする。よし、忘れ物はしてないな。


そして、ギルドの受付に帰ろうとすると、とても強い視線を感じた。


不思議に思ってその方向を見ると、俺と同い年、もしくは少し上くらいの男の子が立っていただけだった。それに、もう視線は感じない。その男の子はこっちを見ているようだが、別に俺を見ているというわけではないだろう。少し向いている向きも違うし。


......それにしても視線を感じたの、多分生まれて初めてだな。

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