参拾肆話.焦り
「......フレン、メルトを呼んで。」
「“夢再生の魔術士”がどうしたんだ?」
「いいから早く!貴方だけでしょ、権限持ってるのは。」
「まぁ、そうだけどね。分かった、呼ぶよ。」
「出来るだけ早くにお願い!」
「分かったよ。」
「で、何の用だ。」
「貴方の物語、大変なことになってるよ。」
「大変な事ってなんだよ。」
「これ読んで。」
「あ、あぁ。」
「......確かに酷いな。“聖光の杖”の材料が増えてるし、フウカも役割が変わってる。」
「私はこの歪みを止めてくる。貴方はどうするの?」
「......俺は、システム開発に戻る。せっかく呼んでもらって悪いが、システムは必ず完成させないといけないんだ。そのためには“夢管理の恋人”の元に戻るしかない。......情報、感謝する。また進展があったら呼んでくれ。」
「分かった。」
「......僕、空気だったじゃん。」
どうなってるの?
彼女はメイドなんかやってる場合じゃないのに!
血の民が動き出しちゃう......!
そうなると、結末が変わってシステム開発の方も......
メルト、どうしてついてきてくれなかったんだよ......
「あれ?“夢堕ちの女帝”さんは?」
「よくもまぁのこのこと現れたもんだな、サクシャ。彼女が出て行ってすぐ都合よく現れるなんて、そんなに彼女が嫌いか?」
「よくのこのこと現れたもんだな、に関してはブーメランが過ぎると思うんだけどなぁ。......ってそうじゃなくてさ!彼女はどうしたの?わざわざ下に下りてさ!」
「お前が作った歪みを直しに行ったんだ。自覚はあるだろうが。」
「??何の事?この物語は僕が初めて書く物語。歪みも何も、比較対象がないよね?」
「は?」
「......もしかして君たち“決着者”はこの物語の別の展開を知っているのかな!」
「......。」
「沈黙は肯定っと!本当、追い詰められると嘘が下手になるよね!」
「......何でもいいが、これ以上下手なことはしないことだな。」
「今までにも下手なことしたつもりはないんだけどなぁ!まーいいや!面白ければ僕はどうでもいいけどね!君たちもそう思うでしょ?」
「いや僕たちがそんなこと......」
「いや、君たち“決着者”に聞いてるんじゃないよ!」
「......!ちょっと待て、今彼らがこの世界を覗いているのか!?」
「うん!ねぇ、読者のみんな!面白ければ別に展開がどうなろうとどうでもいいよね!」
「サクシャ......!」
「おっと、フレンくんが怒っちゃったかな?んじゃ、僕はこれで!」
「待てっ............くそっ!」




