弐拾壱話.不老樹からの手紙
“不老樹の枝”
それは不老樹という枯れない不思議な木の枝のことである。
そして、その不老樹はどこにあるのか......それは......
「シャーノ、俺たちこの頃地下に来すぎじゃないか?」
「しょうがないんだよ!アイテムはここじゃないと取れないし......。」
“光龍の巣片”を取ってから約1ヶ月。俺はシャーノの指示で地下のダンジョン、エアローズを探索し続けた。エアローズはルー洞窟のすぐ近くにあるダンジョンで、比較的活気に溢れたダンジョンだ。他の冒険者もたくさん居る。だが、俺たちはダンジョンの魔物を狩りに行ったのではない。
エアローズに来た目的は隠し部屋のボスがドロップする“不老樹からの手紙”というアイテムだ。これは“不老樹の枝”を得るためには必須アイテムらしい。シャーノによると、不老樹の場所に行くための転移魔法があるのだが、そのために使うとかなんとか。まぁ、よく分からないが、とりあえず必要らしく毎日狩りに来ては隠し部屋を探している。
「見つけた!ここから最初の角を左に曲がったすぐ右の壁が扉になってるよ!」
実は隠し部屋の探索はシャーノの探索魔法のおかげで苦労していない。俺にも探索魔法は使えるらしいが、慣れないと難しいそうなので任せている。
「よし、ここだな。」
「うん!」
隠し部屋を見つけたらまずその扉が隠れている壁に火の玉をぶつける。そうする事で、壁の向こうのボスを牽制しながらも、扉を壊すことができる。
“ロックベア”
それがボスの正体だ。俺の体の3倍はあるかという大きな体でクマのような見た目をしている。1発1発の攻撃は遅く簡単に避けられるが、ツメに魔力波という魔力の波を起こす機構があり、直接当たっていないところにも攻撃が当たる。
どうやって耐えるかって?それは簡単だ。“ロックベア”の魔力は頑強属性、特殊属性の一つだ。つまり、同じ特殊属性を持っている俺にとっては物理的なダメージ以外無効というわけだ。
「っと、終わりか。」
「うん、ちゃんと倒せているよ!」
ロックベアは体力自体は多いが、攻撃が単調なおかげで少しずつダメージを与えればいつかは倒すことが出来る。ついでに言うと、魔力によるダメージを打ち消しているおかげで、“水属性強化魔法のコア”を持っている状態だと、5発は受けないと死ぬことはない。
「今回も落とさなかったな。」
「うん、次、がんばろ!」
「......そうだな。」
1日10〜11体、計300体以上の“ロックベア”を倒しているが、依然、“不老樹からの手紙”はドロップしていない。魔石だけ作って次に行こうか。
「メルト!200メートル先の左の壁だよ!」
「あぁ、分かった。」
左の壁に向かって、いつものように火の玉をぶつける。よし、穴が空いた。
中にはもちろん“ロックベア”。よし、少しずつ削っていくか。
避けて、攻撃、避けて、攻撃、避けて、攻撃。
これの繰り返しだ。30分も続ければ“ロックベア”は死ぬ。最初の頃は1時間以上かかって、1体の“ロックベア”を倒すだけでとても疲れていたが、今では簡単にこなせるようになった。
「よし、今回も倒せたな。」
「メルト!やっとドロップしたんだよ!」
「ん?」
シャーノの声を聞いてすぐ、地面を見てみると何やら紙のようなものがある。
「これが、“不老樹からの手紙”か?」
「うん!そうだよ!」
やっと、ドロップしたようだな......あー、疲れた。




