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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢干渉の精霊
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拾陸話.ルー鉱石

「メルト、これを思いっきり叩いてみて!」


何故だろう。嫌な予感しかしないんだが......。


「叩いても大丈夫なのか......?」

「うん!今のメルトなら大丈夫だよ!」


ま、まぁ、シャーノがそこまで言うなら......


「やっ!」


痛いのは嫌だから少しだけ力を込めて叩いてみると、緑色の鉱物はあっけなく割れた。そして......なにも起こらない。


「なにも起こらないんだが?」

「まぁまぁ、見てて!」


......ん?

一瞬周りに少し違和感を覚えた。何故だろうか。“エレメンタルクオーツ”が細かくゆっくり動いているのはさっきと同じだし......いや、ちょっと待て。さっきまでそれぞれで動いていた“エレメンタルクオーツ”が綺麗に揃って動いている。そして......


「ぐっ......!」


体が一気に重くなる。一歩も動けない。立っているのがやっとだ。


「ぐぁあ!」


突如、体に痛みが走る。とても耐えられない。俺は力をなくし、地面に倒れこんだ。


「メルト、大丈夫?」

「......そう見えるか?」

「メルトへのダメージは150だからギリギリ耐えられるはずだよ?」


あー......そういえば150超えたとかどうとか言ってたな。


「“エレメンタルクオーツ”は仲間意識が高い魔物なんだよ!普段は温厚なんだけど、希少種である“グリーンエレメンタルクオーツ”を攻撃されると攻撃した人に全力で魔法を使うんだよ!」

「......で、そのダメージが150だから大丈夫だと。」

「違うんだよ!光属性で300ダメージ、追撃で結合属性で2000ダメージなんだよ!メルトは闇属性を持ってるから光属性ダメージが半減で、特殊属性の共鳴属性を持ってるから同じく特殊属性の結合属性ダメージを打ち消せるんだよ!」


つまり、両方持ってなかったら2300ダメージ......ってなかなかにヤバイな。この世界の防御力も体力も平均は100なんだろ?少なくとも特殊属性持ちじゃないとやってられないってことか。......持っててよかった......。


「で、俺はいつまでこうやって突っぷしてたらいいんだ。」

「もうすぐこの重力2倍の状態異常が切れると思うからそれまで待つんだよ!」


シャーノの言う通り、すぐに体が楽になった。余裕ができたので辺りを確認してみる。


「ん?“エレメンタルクオーツ”の動きが止まってる?」

「魔力を使い果たしたんだよ!回復までには1時間以上かかるから今のうちに倒しちゃえばいいんだよ!」

「倒すって......どうやって?」

「指先で押せば十分なんだよ!」


シャーノに言われたように軽く指先で“エレメンタルクオーツ”を押してみると、簡単にポロポロと崩れてしまった。


「......弱すぎないか?」

「普段は上級の爆発系魔法を使っても倒せないけどね!魔力を使い切ると体が脆くなるんだよ!」


......“エレメンタルクオーツ”、ちょっと悲しいな。


「今のうちにいっぱい倒そ!」

「あぁ。」


指でちょんちょんと押すだけで倒されていく“エレメンタルクオーツ”たち。途中でめんどくさくなって壁を思いっきり蹴ってみたら周辺の“エレメンタルクオーツ”が全部崩れて落ちた。


このことに気づいてからは一気にペースアップし、30分ほどで近場の“エレメンタルクオーツ”は倒し尽くした。一応、魔石も取れるんだが、魔力を使い果たしたところを狙ったからか、元がとても小さいからか、ほんの小さな物が時々できる程度だ。ただし、色は“ピラキア”のものよりも澄んでいて綺麗だ。


「この辺の“エレメンタルクオーツ”は大体倒したな。」

「うん!じゃあ、壁の下をよく見てみて!」


壁の下......?よく見てみると、光源であった“エレメンタルクオーツ”を倒して一段暗くなった洞窟の中に2つ、淡く青く光る物が落ちている。


拾ってみると、それはこの洞窟の中でよく見た......


「これが?」

「うん!これが“ルー鉱石”だよ!」


......最初はかなりキツかったが、無事必要な材料の“ルー鉱石”を、しかも2つも入手できたようだ。

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