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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢干渉の精霊
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拾伍話.ルー洞窟

「ここが“ルー洞窟”、“エレメンタルクオーツ”がいる場所だよ!」

「ふむ。」


目の前にあるのは崖の下にぽっかりと空いた穴。中には明かりがあるのか、仄かな光が漏れ出ている。......そして、気になることが一つ。


「シャーノ、俺たち以外、人っ子一人いないのはどういうことだ?」


そう、洞窟周辺は不自然なくらいシーンとしている。人の痕跡すら感じられない。


「それは、中が迷路みたいに入り組んでて、一度入ったら出られないってギルドで勧告されてるからだと思うんだよ!」


いやいや、そんなところに連れてくんなよ......。


「大丈夫、私は小さい時にこの洞窟でよく遊んだから道はバッチリだよ!」


そういう問題じゃなくて......。


「さ、行くよ!私に着いてきて!」


シャーノについていきながら恐る恐る洞窟の内部を進む。外から見えた光は鉱物が放つ光らしく、青い鉱物が洞窟の中にいっぱいあった。


「この鉱物は何かに使えないのか?光源とかにはなりそうなんだが。」

「使えない......というか、とーっても硬いから採取が大変なのに、採取したら光も一瞬で消えちゃうんだよ!光源となる鉱物なら他にいっぱいあるから、わざわざこれを使う必要がないんだよ!」


なるほど。他にいい光源があるから要らない、と。確かにそれじゃあ誰もここには入らないか。奥へ進むと迷うらしいし。


「メルト、もうすぐ着くんだよ!」

「わかった。」


歩き始めて30分ほど。かなり奥まで来てしまった。途中何回も道を左へ右へ曲がったし、確かに一人で来たら迷っただろうな。......こいつに感謝するのはちょっと癪だが、シャーノさまさまだ。


「ここだよ!」

「ほう。」


一見、今までの光景となんら変わりない。だが、一つだけ明らかに違うことがある。それは......


「鉱物が......動いてるのか?」

「あれは、“エレメンタルクオーツ”っていう魔物だよ!倒したら時々、“ルー鉱石”っていう鉱物......つまりは洞窟で光ってる青い鉱物が光った状態のままで得られるんだよ!」


なるほど。この鉱物は“ルー鉱石”っていうのか......じゃなくて!


「その“ルー鉱石”っていうのは何に使うんだ?」

「“聖光の杖”っていう、運気を上げるアイテムの材料になるんだよ!“聖光の杖”を作るためには“ルー鉱石”が1つあれば十分だからすぐだよ!」


なるほど、それはありがたいな。運気を上げるアイテムも欲しかったし、しかもそれを作るために1つしか特殊アイテムが必要じゃないなんて......こんなに便利なのになんでみんなやらないんだ?


「こんなに簡単に運気があげられるならやっぱりみんなやりそうなんだが......。」


道の問題は地図なんかを作れば一発だろうし。


「“ルー洞窟”は12時間ごとに道が変わるんだよ!道の種類は全部で11種類あるから全部覚えればいいんだけど、この事実を知ってるのは本当に一部の人だけなんだよ!」


......つまり、世間では12時間ごとにランダムに道が変わるヤバイ洞窟って認識ってわけか。そりゃギルドも入るなって言うよな。


「あと、“ルー鉱石”が取れる確率も、ものすごく低いんだよ!“水の契り”なんかとは比べられないくらいずーっと低いんだよ!」

「ちょ、ちょっと待て。それを取れと?」


ちょっと心が折れかかってるんだが?


「大丈夫だよ!ほんとにすぐ終わるから!ここら辺に......っと、あった!」


シャーノが指差したところには周りの青い鉱物に混じって緑色の小さい鉱物があった。


「メルト、これを思いっきり叩いてみて!」


何故だろう。嫌な予感しかしない。

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