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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢干渉の精霊
12/90

拾壱話.日常の周回

本当に単純だ。


単純な日常の周回だ。


朝、眼が覚めると、シャーノと相談してその日行く場所を決める。


朝ご飯を食べて、その日行くと決めた場所へ向かい、魔物を討伐する。


そして得た魔石をギルドで売って、お金を確保して昼ご飯。


午後からも魔物を討伐し、魔石を得てお金を得る。


また宿に戻って夜ご飯。明日の準備をして寝る。


それを既に1ヶ月。


お金は1000フィロほどたまったが、そろそろこの日常に飽きてきた。


「っていうか、シャーノもよく飽きないよな。」

「だって、メルトと居ると楽しいんだもん!」

「......はぁ、お前も変わり者だな。」


格安で1泊7フィロということは1フィロは200〜300円ぐらいか?

ってことは1000フィロは20万〜30万円ということになるな。

あれ?じゃあ子供にしては結構な大金持ってる?


まぁ、とりあえず、そんな生活が1ヶ月続いて。今日も朝を迎える。


「今日はどこにいく?」

「ランクアップを目指してエイジア湖だよ!」

「またか。」


この頃はよくエイジア湖に行っている。理由はよく分からないが......ちなみに狩っている魔物は“ピラキア”という大きくて凶暴な魚だ。


体調は1メートルは超えていて一度噛み付くと腕を引きちぎられるほどの力を持っている危険な生き物が生息しているエイジア湖の危険度はどれくらいかというと......実はDランク。ダジル草原より1高いだけだ。その理由はある致命的な弱点にある。


「今日も崖から木属性魔法か?」

「うん!それが一番楽だからね!」


エイジア湖の北側は崖になっており、安全に魔法を使えるのだ。しかも、“ピラキア”は魔法が使えず、飛び跳ねることも出来ない。なんなら体が真っ赤で上からでも見やすい。これだといい的だ。更に、木属性の最弱魔法、“ウッドボール”でワンパンと来た。......もう、雑魚としか言いようがない。


「そういえば、ランクアップを目指してっていうのはなんなんだ?」


いつもシャーノはエイジア湖に行く時、ランクアップがどーのこーの言っている。......ステータスは上がる気配がないし、どういう意味なんだろう?


「え?それは、“水の契り”っていうアイテムを取るためだよ?」

「なんだそれ?」

「え?“水属性強化魔法のコア”の材料だよ?」

「なんだそれ?」

「え?」


いや、俺は異世界人なんだから知らないって。


「......あ、あー、そういえばメルトって他の世界から来たんだから知らないよね!」


こいつ、忘れてただろ。


「......で、“水属性強化魔法のコア”ってなんなんだよ。」

「その名の通り、水属性を持つ者の攻撃力や体力、魔力、防御力を底上げするアイテムだよ!」

「......それってつまり、僕のステータスを上げられるアイテムってことか?」

「そうだよ!」


......すごい便利アイテムじゃないか。あれ?でも、ここ1ヶ月でそれらしきアイテムつけている人も見たことないし、売っている店を見たこともないんだが?これはどういうことだろうか?


「なぁ、シャーノ、このアイテムを付けてる人や売ってる店を見たことがないんだが、これはどうしてだ?」

「そんなの決まってるよ!“水属性強化魔法のコア”......“水の契り”は“ピラキア”を倒した時にほんとに時々にしか得られないんだよ!しかも、“ピラキア”は体力こそ低いけど、防御力は高めなんだ!だから上級魔法や木属性の魔法が必要なんだけど、水属性も木属性も使える人はほとんどいないんだ!」


......つまり、俺の属性が普通じゃないからできるってことか。でも、それだと......


「じゃあ、木属性の魔法使いが作って、水属性の魔法使いに売ればいいんじゃないか?」

「それじゃダメなんだよ!“水の契り”は倒した時に霧散する魔力から魔石のように作られるんだけど、それには作った人の魔力が大きく影響するんだ、だから、作った本人じゃないと使うことは出来ないんだよ!」

「ふむ。」


なるほど。なら使う人がほぼいないのも頷けるな。


「だから、“水の契り”を10個取らなきゃいけないんだよ!がんばろ!」


ふむふむ、“水の契り”を10個......ん?10個!?


「おい待て、今10個って言ったか?」

「うん!“水属性強化魔法のコア”を作るには最低でも10個は必要だよ!」

「は?」


ここ1週間は狩り続けているのに1個も取れなかったアイテムを10個......?何それ大変過ぎない?......まぁ、でも、目的があるとこの飽き飽きしてきた日常の周回のモチベーションも少しは上がったような気がする。

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