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15/17

15 連絡

村田係長、どうなんの?

 私と夏子は、クルーに付き添われて112号室へと戻った。ここで一気に疲れが出てきた。もう23時半頃だったので、ベッドに飛び乗って休むことにした。

 深い眠りについていた時、スマホから " ピロン " という音が聞こえた気がした。目を開けられないくらいまぶたが重かったが、ハッとなって飛び起きた。驚くことに、係長からメールが届いていたのだ。


  香崎、電話しても全く繋がらない

  だからメールする

  俺が落ちた船の底に303号室のルームキーがあった

  西武雄のものだ

  このルームキーから出てる電波が受信されてるってことは、ここにも船内Wi-Fiが繋がる瞬間があるはずだ

  何度送ってもエラーになるが送り続ける

  ここには俺以外誰もいない

  誰かがルームキーをここに落とした

  発見されにくい場所だから、隠すためだろう

  西が船内にいると思わせたい何らかの理由があったんだろう

  総務の井上豪が最も怪しい

  西はデスクの中に隠れて下船したはずだ

  井上と西はグルかもしれん

  もしかしたら西は殺されてるかもしれん

  井上を調べてくれ

  K県警の大田刑事に朝一番で事務所に急行するように言ってくれ

  山崎課長にも連絡を頼む

  滝田、山田、谷中、酒木にも疑いを向けるのを忘れるな

  十分気をつけてくれ


 私は、係長にもしものことが起きたかもしれないと思っていたので、メールが届いて内心ほっとした。私はすぐに山崎課長に連絡した。あの殺人の後に起こったことを簡潔に伝えた。課長からK県警に連絡してもらうことになった。それから、私はK県警の大田刑事と話すために直接電話した。

「はじめまして。T県警の香崎です。大田刑事でしょうか」

「はい、K県警刑事課の大田です。はじめまして。状況はどうですか? 何かありましたか?」

「はい、上司の村田が、穴に落ちて、えっと、船の底に落ちてしまいまして、私しか大田刑事と連絡することができません」

「穴に落ちて、船の底!? ですか……」

「はい、幸い命に別状はありません。T県警の山崎刑事課長からもそちらに連絡がいくと思いますが、折り入ってお願いしたいことがあります」

「はい」

「村田からメールで指示がありました。明日の朝一番に、S港にある、四国なると観光本部の総務課の井上豪を当たって下さい。今回の殺人事件の重要参考人になり得る人物です」

「……えっと……S港……本部……総務課……井上……ごう……ですね。わかりました」

「よろしくお願いします」

 私は興奮してまくし立てるように話してしまっていた。電話中に、眠っていたはずの夏子がいつの間にか起き上がって、スマホを触っていた。

「お姉ちゃん、村田さん無事なんだね、良かった〜」

「うん。でも、怪我してるかも」

 夏子はとりあえずひと安心していた。

「はーーー、思いっきり目が覚めて、もう眠気が吹っ飛んじゃったわ。ふぅー。で、夏子、何見てるの?」

 私は伸びをして、大きなため息をついた。夏子はスマホをカチャカチャして何かを調べているようだった。

「津元さんのユー・ストリームの動画。犯人って、身近にいたりするじゃない。だから動画に写ってたりして……」

「ふーん。そういえば、オホーツクの事件の時、京子がユー・ストリームを見てて、すごい発見をしたのよ」

「へー、意外だよね。京子さん、武闘派だから、そういうのと無縁な感じがするけど……」

 私は少し鼻で笑ってしまった。

「あっ! お姉ちゃん、これ、ほら」

 夏子は突然、私にスマホの画面を見せた、津元さんの " 野外キャンプ&料理チャンネル " の動画のサムネイルを拡大して。そこには、鶏冠(とさか)ヘアの津元さんと、女性が写っていた。どこかで見たことあるようなセンスの悪い紫のロングコートを着た女性が。

「お姉ちゃん、この紫のコート、見覚えない?」

「どこかで……」

「西さんと相部屋の人に、動画を見せてもらったじゃない。そこに写ってた西さんが着てたコートと同じだよね」

 夏子にそう言われて、私は手帳を取り出して西さんの特徴をメモったページを慌てて開いた。身長が175cmくらい、35〜45歳、紫のロングコート、茶色のマフラー、山高帽、口ひげと頬髭。それから、相部屋の人に見せてもらった動画が、記憶の中で徐々に鮮明になってきた。

「思い出した。そうよ、夏子。確かに、見せてもらった動画で、西さんはこの紫のロングコートを着てたわ」

 私は新しい発見に、活路が開けるのではないかと気分が高揚してきた。

「あっ! これって……」

「どうしたの、夏子」

「別の動画で、ほら、この帽子……」

「あっ、この帽子って」

 その別の動画には、先ほどの紫のロングコートの女性と同じ人物と思しき女性が出ていた。その女性は、大きなつばのある紫の帽子をかぶっているのだ。この帽子は、私にひとりの女性を思い出させた。自販機ルームで、滝田さんと山田さんと " ぴっぴ " のことを話していた時に、私たちの近くに来て、逃げるように去っていった、K県出身で現在はT県に住んでいると言った、108号室の女性のことを。


係長、生きてましたね。

で、夏子が大発見!

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